注目の公演&イベント|2024年7月
タリス・スコラーズ結成50周年記念ワールドツアーの一環として同団体待望の5年ぶりの来日。精妙かつ表情の豊かさと官能性に富む歌唱は今もって他の同種団体の追随を許さない。プログラムは2種類、「合唱団結成50周年プログラム」ではギボンズ、トムキンズ、ゴンベールやジョスカンなどのルネサンス〜初期バロックから現代のアルヴォ・ベルトまでも含む多彩なもの、そして「システィーナ礼拝堂からのひらめき」と題されたもう1つはパレストリーナをメインに据えつつモラレス、フェスタ、カルパントラなどのやや通向けの逸品を散りばめる。そしてこの両プログラムに共通して取り上げられるのはアレグリのミゼレーレ、当然だろう。
6/30@滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 大ホール
https://www.biwako-hall.or.jp/performance/the_tallis_scholar2024
7/1@福岡シンフォニーホール
https://www.acros.or.jp/events/13911.html
7/3@りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館
https://www.ryutopia.or.jp/performance/event/32599/
7/5@東京オペラシティコンサートホール
https://tempoprimo.co.jp/stage/y2024/tallisscholars
7/6@ミューザ川崎シンフォニーホール
https://www.kawasaki-sym-hall.jp/events/calendar/detail.php?id=3744
2004年のブルージュ国際古楽コンクールに優勝して以来、若手―今や中堅か―のオルガン/チェンバロ奏者の中でも飛び抜けた実力を誇るバンジャマン・アラール2年ぶりの来日。6月30日には水戸芸術館でオルガンによるオール・バッハ・プログラムのリサイタルが開催。7月3日の浜離宮朝日ホールでは待望のJ.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲を披露する。
6/30@水戸芸術館
https://www.arttowermito.or.jp/hall/lineup/article_4564.html
7/3@浜離宮朝日ホール
https://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/event/2024/07/event2685.html
双子座生まれの奇人・変人・怪人(褒め言葉)、曽我部清典・中川俊郎・松平敬の3人にゲストとして謎の美女、工藤あかねを加えた謎の集団双子座三重奏団が七夕を寿ぐ。曲目は松平頼暁から夏田昌和まで9人全て現代日本作曲家オールスターズ。現代の奇想の本流・奔流受けてみよ!
7/7@両国門天ホール
https://teket.jp/9875/34232
♩7/10 東京現音計画#21~ミュージシャンズセレクション8:橋本晋哉2 with 菅沼起一
2012年9月に第0回演奏会を開催してからもう12年近くが経とうとしている現代音楽の牽引者集団東京現音計画、第21回演奏会はチューバ奏者橋本晋哉がディレクター、ゲストキュレーターに気鋭のリコーダー奏者兼音楽学者・菅沼起一を迎えて開かれる。現代音楽と古楽が出会う「現代古楽」がどのように響くのか、興味津々である。
7/10@墨田トリフォニーホール小ホール
https://tokyogenonproject.net/?p=1066
♩7/12~21 佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ プッチーニ《蝶々夫人》
兵庫県立芸術文化センター夏の恒例行事、佐渡裕プロデュースオペラ。今年は昨年逝去した演出家、栗山昌良の演出によるプッチーニ《蝶々夫人》を取り上げる。2005年10月開館の翌年の夏に始まったこのプロデュースオペラが最初に取り上げた演目で、「原点に回帰する」もの。その後、2008年にも再演されたプロダクションを、初演時の演出補、飯塚励生が改訂新制作版として演出。蝶々夫人に迫田美帆と高野百合絵、ピンカートンにマリオ・ロハスと笛田博昭といった旬の歌い手を揃えたダブルキャストで臨む。
7/12~21@兵庫県立芸術文化センター
https://www1.gcenter-hyogo.jp/contents_parts/ConcertDetail.aspx?kid=5040411102&sid=0000000001
♩ 7/13 河村絢音による現代ヴァイオリン作品研究シリーズVol.2~ヴァイオリンとクラリネット~
昨今活躍著しい現代ヴァイオリン奏者・河村絢音が現代クラリネットの俊英・片山貴祐と組んでのデュオ・リサイタルを開催する。夏田昌和、シェルシ、ニュネス、ミュライユ、そして現代日本の若手作曲家・中橋祐紀と盤石かつ清新なプログラム構成に行く前から唸らされる。これは聴かざるを得ない。
7/13@紀尾井町サロンホール
https://francojaponaise.blogspot.com/2024/04/713-vol2.html
♩7/13 中江早希 ソプラノ・リサイタル〈Vollmond Presents “リサイタルシリーズ” Vol.8〉
古楽から現代まで多くのオペラやコンサートで活躍しているソプラノの中江早希のリサイタル。プログラムには、シューマンの《女の愛と生涯》、シェーンベルクの作品2の《4つの歌曲》、ツェムリンスキーの《トスカーナ地方の民謡によるワルツの歌》op.6といった作品とともに、二橋潤一への委嘱作品が予定されている。ピアノにはフォルテピアノの名手、川口成彦が当たる。この共演も多いに期待される。
7/13@Hakuju Hall
https://www.vollmond-agency.com/2024-7-中江早希/
王子ホールのジャンルを越えて音楽を楽しむシリーズ「G-Lounge」が4年ぶりに復活。「ギャップを埋めろ!」と登場するのは ヨルゲン・ファン・ライエン(トロンボーン)。“黄金の金管”と称される名門ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席奏者で、モダン、バロックに通じ、ソリストとしてもトロンボーンの可能性に挑戦する開拓者。今回はオランダでも最もエキサイティングなグループとして注目されているアルマ弦楽四重奏団とのコラボで。バッハ、バーバー、シューマン、ペルトらにヤコブTVの新作初演にロックなヒュール・マイアリング:ロック・ザット・トロンボーンなどが並ぶ。楽しそう!
7/16@王子ホール
https://www.ojihall.jp/concert/lineup/2024/20240716.html
♩7/18 リクライニング・コンサート第172回 レグルス・クァルテット
2020年結成の新星レグルス・クァルテット。メンバーは桐朋学園大学、東京藝術大学の出身者で第6期サントリーホール室内楽アカデミー受講。 吉江美桜、東條太河(ヴァイオリン)、山本周(ヴィオラ)、矢部優典(チェロ)で、モーツァルト、ハイドン、ウェーベルン、メンデルスゾーンというプログラム。昨今の若手四重奏団は綺羅星の如く並ぶが、そこに食い込む初々しい情熱を楽しみたい。
7/18@HAKUJU HALL
https://hakujuhall.jp/concerts/detail/3931
♩7/18~21 東京二期会オペラ劇場 プッチーニ《蝶々夫人》(字幕付)
〈ザクセン州立歌劇場(ゼンパーオーパー・ドレスデン)、デンマーク王立歌劇場およびサンフランシスコ歌劇場との共同制作〉
宮本亞門の演出による《蝶々夫人》。2019年に初演を行った舞台が、共同制作の3歌劇場での公演を完了し、東京に戻っての再演となる。各地での公演でブラッシュアップされたところもあるだろう。そのような変化も楽しみだが、5年前とは異なるキャストによる上演が、どのような違いを見せ、聴かせてくれるかも楽しみである。初演の後、コロナで亡くなった高田賢三の衣装も、このプロダクションの大きな要素と言えるだろう。
7/18~21@東京文化会館大ホール
https://nikikai.jp/lineup/butterfly2024/
♩7/20 神奈川フィルハーモニー管弦楽団 みなとみらいシリーズ定期演奏会第397回
「道義、神奈川フィルと最後の”狂”演」と謳った本演奏会、何と言っても注目すべきはプログラム後半、伊福部昭の『リトミカ・オスティナータ』『日本狂詩曲』であろう。もう3年以上昔になるというのに今も記憶に焼き付いている2020年12月N響で井上とタッグを組んだ松田華音と再び共演し、ラストも同じく日本狂詩曲で締めるというこの趣向はファン垂涎。必ずや忘れられぬ「最後の”狂”演」となるであろう。
7/20@横浜みなとみらいホール
https://www.kanaphil.or.jp/concert/2941/
♩7/27 NEO SYMPHONIC JAZZ at 芸劇 2024
プロデューサーに飛ぶ鳥を落とす勢いのジャズ作曲家・狭間美帆を迎え、グラミー賞受賞の作編曲家・指揮者のマリア・シュナイダー、クラシックの領域で大活躍中のソプラノ・森谷真理、そしてラージ・アンサンブルの池本茂貴isles[アイルス]と怒涛の軍勢で攻め寄ってくるというからただごとではない。ここに現代音楽あり。聴かざるべからず。
7/27@東京芸術劇場コンサートホール
https://www.geigeki.jp/performance/concert292/
♩7/27 トウキョウ・ミタカ・フィルハーモニア第89回定期演奏会
三鷹市出身の沼尻竜典が音楽監督・指揮を務めるトウキョウ・ミタカ・フィルハーモニアの定期演奏会。モーツァルトのピアノ協奏曲全27曲を沼尻の弾き振りで毎年1曲ずつ取り上げる名物企画の第22回目で、今回は第14番を取り上げる。ピアニスト・作曲家としても活躍する沼尻の音楽をたっぷり楽しめる午後。モーツァルトのほか、ドヴォルザーク:『スラヴ舞曲第2集』から第2番と、交響曲第7番という組み合わせ。
7/27@三鷹市芸術文化センター 風のホール
https://mitaka-sportsandculture.or.jp/geibun/wind/event/20240727/
♩フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2024 読売日本交響楽団
毎年夏恒例、待望のフェスタサマーミューザKAWASAKI、今回読響の指揮を執るは沖澤のどか。この俊英は既に複数回読響を振っており、その際は剛腕奏者揃いの名門を見事に統制していたのだが今回も期待は大きい。メインのサン=サーンスでは華麗さとコントロールの利いた端正さを同時に味わえるのではないか。
7/31@ミューザ川崎シンフォニーホール
https://www.kawasaki-sym-hall.jp/festa/calendar/detail.php?id=3844