Pick Up (2023/10/15) |オペラシアターこんにゃく座公演 オペラ《浮かれのひょう六機織(はたおり)唄》|瀬戸井厚子
オペラシアターこんにゃく座公演 オペラ《浮かれのひょう六機織(はたおり)唄》
2023年9月8日 俳優座劇場
2023/9/8 Haiyuza Theater
Text by 瀬戸井厚子(Atsuko Setoi) :Guest
Photos by 前澤秀登/写真提供:オペラシアターこんにゃく座
作曲:林光
台本:若林一郎
演出:大石哲史
美術:池田ともゆき
衣裳:宮本宣子
照明:成瀬一裕
振付:山田うん
舞台監督:久田善晴
演出助手:城田美樹
音楽監督:萩京子
音楽助手:小林ゆず子
宣伝美術:森英二郎(絵・題字)・小田善久(デザイン)
(松組)
ひょう六:金村慎太郎
お糸:高岡由季
お縫:川中裕子
お母ぁ:彦坂仁美
かすけ:壹岐隆邦
庄屋:佐山陽規(客演)
お糸の父:髙野うるお
村の娘たち:沖まどか、熊谷みさと、小田藍乃、小林ゆず子、入江茉奈、花島春枝、鈴木裕加、飯野薫
下男たち:富山直人、沢井栄次、武田茂、吉田進也
ピアノ:服部真理子
45歳の林光がこんにゃく座に書き下ろしたオペラの、こんにゃく座としては45年ぶりの上演とのこと。満を持しての上演であろうと納得できる、完成度の高い舞台となった。
楽しいストーリーに魅力ある音楽なので、聴き手としてはずっと微笑みの表情で聴いていられる。特に娘たちや男たちの合唱は、まさに耳の歓び。心地よい律動感に身体ごと乗っていたい。凛として誇り高い機織り娘お糸(高岡由季)と実直で芯の強そうなお縫(川中裕子)、二人の娘役の声の質感がそれぞれ役に合っていて説得力があり、ひょう六くんと彼の村の前途を祝福したくなる。
と、大いに楽しませていただいて、パンフレットを読むと、萩京子芸術監督の言、「楽譜を見れば、いわゆる民話ことばの五七調で小気味よく展開する台本に対して、林光が全力であらがって作曲していることが感じられます」。なるほど、秀でた作品を生み出すのはやはり簡単なことではないのだと、改めて胸に刻む。
会場の俳優座劇場は大好きなのだが、2025年4月に閉館してしまう。こんないい作品にここで会えるのに、と思うと、いっそう哀惜の念が募る。
もひとつ正直を言うと、筆者は実は演出を担当された大石哲史氏のファン。氏の歌声も聴きたかった……。
(2023/10/15)
関連評:9月の2公演短評|齋藤俊夫
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瀬戸井厚子 (Atsuko Setoi)
フリーランスの編集者として人文社会系図書の編集に携わる。
演劇集団プラチナネクストに所属して舞台活動も継続中。