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注目のコンサート|2019年3月

♩3/2、3 びわ湖ホールプロデュースオペラ ワーグナー《ニーベルングの指輪》第2日「ジークフリート」(新制作)

びわ湖ホールが芸術監督の沼尻竜典と世界的巨匠ミヒャエル・ハンペとともに新たに挑む「びわ湖リング」もすでに3年目。これまでハンペは、最新の映像技術を用いながらワーグナーの構想した世界の忠実な再現を目指し、高い評価を受けてきた。昨年、大好評を博した「ワルキューレ」のキャストの一部が再び起用されるとともに、国内外から新たな歌手もキャスティング。ワーグナーが描いた総合芸術の世界を全身で体験できる絶好の機会となりそうだ。

3/2,3@滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール
https://www.biwako-hall.or.jp/performance/special/siegfried201903.html

 

 

♩3/2,3 日本オペラ協会創立60周年記念公演 三木稔:《静と義経》

1993年秋鎌倉芸術館の開館記念のため、台本:なかにし礼、作曲:三木稔により制作されたオペラ。この時4公演行われただけで、作曲者の強い思いにもかかわらず、生前に再演が実現することはなかった。今回、日本オペラ協会の創立60周年の記念公演として、東京での初演がようやく実現する。芸術館の館長という立場でもこのオペラの誕生に一役買ったなかにしが、今回は監修という立場でこの上演に関与。初演に歌手の一人として出演した、日本オペラ協会総監督・郡愛子の熱意がこの公演を実現させた。

3/2,3@新宿文化センター大ホール
https://www.jof.or.jp/performance/nrml/1903_shizuka.html

 

 

♩3/3 井上郷子ピアノリサイタル#28 リンダ・カトリン・スミス ピアノ作品集 

ピアノの冒険者・井上郷子が今回取り上げるのはニューヨーク出身のリンダ・カトリン・スミス。フェルドマンや近藤譲の流れを汲む、最小限の音数で構築された彼女らの音楽世界の中で出会うのは喜びか、安らぎか、緊張か、はたまた畏怖か。

3/3@東京オペラシティリサイタルホール
https://www.confetti-web.com/detail.php?tid=49596&
https://www.n-b-music.com/concert-information-3?_fsi=o8BpNu4z

 

 

 

♩3/5 クリスチャン・ツィメルマン ピアノ・リサイタル

リストのロ短調ソナタにシューベルトの即興曲、ドビュッシー…。ツィメルマンの演奏で特筆すべきものはすぐさま幾つも思い付くが、しかし極めつけはやはりショパンだろう。若干18歳でショパン・コンクールに優勝したこのピアニストによる透徹した美意識に基づく完璧主義的な演奏は、その完成度に畏怖の念を抱かせる反面どこかに冷たさを感じる場合もある。だが、やはりショパンの場合はそこに迸るようなエモーションの高まりがありその説得力は一段と深い。当夜はショパンのスケルツォ全曲、4つのマズルカのほかブラームスのソナタも。「ツィメルマンのショパン」、そのスペシャルさを改めて噛み締めたい。

3/2@兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
https://www1.gcenter-hyogo.jp/contents_parts/ConcertDetail.aspx?kid=4301011327&sid=0000000001
3/5@東京オペラシティコンサートホール
https://www.japanarts.co.jp/concert/concert_detail.php?id=716

 

♩3/8 ピアノ・トリオ・スペクタクル

今をときめく若手のホープ中野翔太・松永貴志・阪田知樹3人そろい踏み。ソロ、デュオ、トリオと様々な編成でピアノの新たな魅力を拓く。クラシックの名曲からジャズ、オリジナルなどプログラムも多彩で楽しめそう。3台での「ラプソディー・イン・ブルー」と、超豪華版も必聴では?

3/8@オペラシティ コンサートホール
https://www.japanarts.co.jp/concert/concert_detail.php?id=685

 

 

 

♩3/9、10 一柳慧×白井晃『Memory of Zero』

一柳慧と白井晃による新しい芸術表現追求プロジェクトの第3弾。第1部「身体の記憶」で身体の歴史とこれから、を。第2部はポール・オースターの小説「最後の物たちの国で」を基に破滅と希望を。音楽は一柳、構成・演出は白井。ダンサー、演奏家、観客が舞台に上がるステージ・オン・ステージの形式での上演だ。一柳pf、東京シンフォニエッタの演奏。AI時代の今こそ、身体を問うステージに要注目!

3/9,10@神奈川県民ホール
http://www.kanagawa-kenminhall.com/detail?id=35612

 

 

♩3/11 田原綾子 ヴィオラ・リサイタル

桐朋音大卒後、現在パリ・エコールノルマルでパスキエに師事するヴィオラの田原綾子のリサイタルは、クラーク、リゲティ、森円花/Aoide(2019、田原綾子委嘱作品)、フランクなど、攻めのプログラム。室内楽はもとより、現代音楽作品にも積極的な若手の今にぜひ触れておきたい。「若手演奏家を応援する会」設立11周年記念公演。ピアノは原嶋唯。

3/11@すみだトリフォニーホール
https://ameblo.jp/wakate-ensouka/

 

 

 

Danish National Symphony Orchestra (c)Brandon_Patoc

♩3/12 ファビオ・ルイージ指揮 デンマーク国立交響楽団

ここ最近の来日ではN響やサイトウ・キネン・オーケストラと名演を聴かせているファビオ・ルイージ。この指揮者が2016年よりデンマーク国立交響楽団の首席指揮者を務めていることは意外に知られていない気がする。それも道理で、1925年に創立されて以来このオケは来日したことがない。ブロムシュテットやセーゲルスタムの指揮による録音でその名前がマニアに膾炙しているだろうが、一般的なファンからすればオケのイメージは掴み難かろう。ルイージも太鼓判を押すオケの力量に期待。

3/12@サントリーホール
http://www.t-gc.jp/outline_20190312.html
3/21@兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
https://www1.gcenter-hyogo.jp/contents_parts/ConcertDetail.aspx?kid=4300911504&sid=0000000001
他日公演
http://www.t-gc.jp/outline.html

 

 

♩3/13 大石将紀サクソフォンx邦楽器x現代音楽プロジェクト#1 サクソフォンx三味線

あらゆる境界を超えて活躍するサクソフォン奏者・大石将紀の「サクソフォンx邦楽器x現代音楽プロジェクト」第一回はサクソフォンと三味線のデュオによる現代音楽作品集。古今東西老若男女を不問にする音楽の力を信じる者は是非とも行かねばなるまい。

3/13@近江楽堂
http://okamura-co.com/concerts/oishipjt/
http://www.m-oishi.com/production/大石将紀-サクソフォンx邦楽器x現代音楽-プロジ/

 

♩3/13トリフォニーホール・グレイト・オーケストラ・シリーズ2018 ハーディング&マーラー・チェンバー・オーケストラ

かつて新日本フィル(NJP)と共にトリフォニーホールの指揮台に数多く立っていたハーディングが、マーラー・チェンバー・オーケストラ(MCO)を引き連れて帰り咲く。シューベルト、ブルックナーという彼らの美質が存分に活きるであろう曲目に加え、エルガーの「ニムロッド」が目を引く。この曲はNJPとのチャリティ・コンサートでも追悼の意を込めて奏した曲であり、今回の公演に対するハーディングの想いが垣間見えるようだ。じっくりと聴き届けたい。

3/13@すみだトリフォニーホール
https://www.triphony.com/concert/detail/2017-12-002102.html

 

 

♩3/14 読売日本交響楽団 第586回定期演奏会

3期9年の任期を終え、シルヴァン・カンブルランが読響の常任指揮者を退任する。今回の定期演奏会では任期最後に相応しく、カンブルランの統率力が最大限に発揮されるであろうシェーンベルクの大曲・難曲『グレの歌』が取り上げられる 作曲家が五線紙を特注したほどの巨大編成で描かれる官能の極致を、カンブルランが如何に磨き上げるか。マーンケ、ニコルズら充実の声楽陣も加わる。

3/14@サントリーホール
https://yomikyo.or.jp/concert/2017/12/586-1.php

 

 

♩3/14 山澤慧 無伴奏チェロリサイタル マインドツリーvol.4

日本現代音楽界期待のチェリスト・山澤慧の主催・出演による無伴奏チェロリサイタルの第4回は、彼の師の師である現代チェリスト・ジークフリート・パルム讃として、パルムにちなんだ現代チェロ独奏曲、そして1993年生まれの向井航の委嘱初演が並んだプログラム。今あるものに甘んじない若者達の音楽を受け止めたい。

3/14@トーキョーコンサーツ・ラボ
https://tocon-lab.com/event/山澤慧 無伴奏チェロリサイタル マインドツリ
https://www.yamazawakei.com/

 

 

♩3/15、17、21、24 小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトXVIIビゼー:歌劇『カルメン』

小澤征爾がオペラを通じて若手音楽家を育成しようと、2000年に京都を拠点に立ち上げた「小澤征爾音楽塾」。17回目となる今公演では、2017年に上演した「カルメン」を再び取り上げる。カルメン、およびホセ役には前回公演で大絶賛された歌手を起用。演出は、創設当時から関わってきたメトロポリタン歌劇場のデイヴィッド・ニース。小澤とクリスティアン・アルミンクによるタクトのもと、国内外から集められた若い音楽家たちによる「カルメン」の熱狂ぶりを改めて堪能できる良い機会となりそうだ。

3/15,17@ロームシアター京都 メインホール
3/21@よこすか芸術劇場 大劇場
3/24@東京文化会館 大ホール
http://ozawa-musicacademy.com/

 

♩3/17 都響スペシャル エリアフ・インバル指揮 ブルックナー交響曲第8番

3月後半の都響主催公演で大鉈を振るう桂冠指揮者エリアフ・インバル。A・C定期では彼の十八番たるロシアの名曲がメインに並ぶが、注目したいのはこの特別公演で演奏されるブルックナー「第8番」である。これまで彼は1887年の第1稿を用いてこの曲を録音・演奏してきたが、この度ついにノヴァーク版の第2稿で披露する。後から自身で手を入れていわばまとまりが良くなり円熟した第2稿よりも、ある意味で前衛的かつ無骨な第1稿が好きだと公言していたインバルがなぜここに来て一般的な第2稿を演奏しようと思ったのかは知らないがおそらく日本初披露であるこの機会、逃す手はない。

3/17@サントリーホール
http://www.tmso.or.jp/j/concert_ticket/detail/detail.php?id=3165&year=2019&month=3

 

 

♩3/18レイフ・オヴェ・アンスネス ピアノ・リサイタル

ノルウェー出身の実力派ピアニスト、アンスネスのリサイタル。シューマンを冒頭と末尾に置き、ヤナーチェクとバルトークをその間に挟んだプログラムから聴こえてくるのは「祭りの情景」である。可愛らしくも、華々しくも、荒々しくもありうるその情景をいかにピアノ一台で描くのか、しかと聴きとどけたい。

註)アンスネスは肘の不調によりリサイタル公演中止となった。
3/18@東京オペラシティコンサートホール
https://www.japanarts.co.jp/concert/concert_detail.php?id=714

 

 

 

♩3/19 B→C 佐藤彦大 ピアノリサイタル

B→C 210 に登場はピアノの佐藤彦大。東京音大卒後ベルリン芸術大学、モスクワ音楽院で学ぶ。2016年第62回マリア・カナルス・バルセロナ国際音楽演奏コンクールで第1位優勝の俊英。ラフマニノフをメインに鐘の響きをイメージしたプログラム。バッハから、武満、西村朗まで、どんな鐘を響かせるのか、耳を澄ませよう。

3/19@東京オペラシティ リサイタルホール
https://www.operacity.jp/concert/calendar/detail.php?id=8780

 

 

 

♩3/19 《読響アンサンブル・シリーズ 特別演奏会》 カンブルラン指揮〈果てなき音楽の旅〉

読売日本交響楽団の常任指揮者を9年間務めたシルヴァン・カンブルランが、退任するにあたり行われるコンサート。曲目は、彼が得意とする20世紀音楽の4曲、ヴァレーズ、メシアン、シェルシ、グリゼーの作品が選ばれた。メシアンの《7つの俳諧》には、ピアニスト、ピエール=ロラン・エマールが登場する。2017年11月にメシアンの《アッシジの聖フランチェスコ》で聴衆に大きな感銘をあたえた指揮者とオーケストラのコンビの到達点を聴かせてくれることだろう。

3/19 紀尾井ホール
https://yomikyo.or.jp/concert/2018/07/post-557.php

 

 

♩3/23 カルテット・アマービレ

2016年9月に難関ミュンヘン国際音楽コンクールで第3位に入賞(同時に特別賞も受賞)したカルテット・アマービレ。彼らの美点は肌理の細やかな音色と緻密な合奏力にあるだろう。実に上手い。これに押しの強さが加われば鬼に金棒だが、そこはまだ若いこの4人である、この先に期待しよう。カルテット・ファンはこの団体、是非押さえられたい。

3/23@銀座王子ホール
http://www.ojihall.jp/concert/lineup/2018/20190323.html

 

 

 

♩3/25 クシシュトフ・ウルバンスキ指揮 東京交響楽団第668回定期演奏会

現在トロンハイム響首席指揮者、インディアナポリス響音楽監督、そしてNDRエルプフィルの首席客演指揮者を務めるウルバンスキだが、2013年から2016年までは東響の首席客演指揮者であった。ヤクブ・フルシャ同様、この指揮者もその活動の場を年々世界に広げつつあるが、そんな中で東響に戻って来てくれるのは実に嬉しいことだ。ショスタコーヴィチの交響曲第4番、演目に不足はない。ヴェロニカ・エーベルレとの共演も楽しみ。

3/25@サントリーホール
http://tokyosymphony.jp/pc/concerts/detail?p_id=5IKD%2Bapzpig%3D&month=03

 

 

♩3/26 ウラディーミル・ユロフスキー指揮 ベルリン放送交響楽団

ベルリン放送交響楽団による初来日ツアー。今回は「マーラー」をテーマとし、全国各地を回る。本公演の曲目は、ブラームスのピアノ協奏曲第1番とベートーヴェンの交響曲第7番だが、後者は演奏の機会が少ない「マーラー編曲版」である。ピリオド楽器で演奏する機会も少なくない昨今、後期ロマン派的な重厚なオーケストレーションによるベートーヴェンは稀少度が高く、逆に新鮮にすら響くだろう。

3/24@兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
https://www1.gcenter-hyogo.jp/contents_parts/ConcertDetail.aspx?kid=4300911328&sid=0000000001
3/26@サントリーホール
https://www.japanarts.co.jp/concert/concert_detail.php?id=711

 

♩3/27 ヴェロニカ・エーベルレ 無伴奏ヴァイオリン

16歳でサイモン・ラトルに見い出されベルリン・フィルと共演したのを皮切りにソリストとして活躍しているヴェロニカ・エーベルレだが、日本ではまだその名が広く浸透しているとは言い難い。今回のトッパンホールでのリサイタルはこのヴァイオリニスト初の完全な無伴奏。つまり一切の「ごまかし」が利かない。ビーバーからブーレーズまで恐ろしく広い射程を持つプログラムでエーベルレの真価が広く明らかになるだろう。

3/27@トッパンホール
http://www.toppanhall.com/concert/detail/201903271900.html

 

♩3/27 アプサラス第7回演奏会~會田瑞樹×アプサラス~

松村禎三の遺志を継ぐべく参集した音楽家たちによる演奏会の第7回。打楽器で活躍著しい會田瑞樹とのコラボとなった。阿部亮太郎、中田恒夫、塚本一実、小林聡、若林千春、名倉明子、正門憲也、菊池幸夫の各作品(初演7曲)で、最後に松村の「ヴィブラフォーンのために-三橋鷹女の俳句に寄せて-」が披露される。それぞれの作品の相貌やいかに。

3/27@杉並公会堂小ホール
https://tm-apsaras.jimdofree.com/2019-03-27/

 

 

 

♩3/28 東京春祭 歌曲シリーズ vol.25 ブリン・ターフェル

2001年以来ひさしぶりの日本でのリサイタル、東京春祭の《さまよえるオランダ人》出演の機会に実現する。ジョン・アイアランド、ロジャー・クィルターといった20世紀前半に活動したイギリスの作曲家の作品、ジャック・イベールの《4つのドン・キホーテの歌》などが予定されている。彼の深々とした声の魅力が活きるプログラミング、50代の彼の成熟が聴けるだろう。ピアノは、ロシア出身で現在ジュリアード音楽院やメトロポリタン歌劇場で活躍するナターリア・カチュコヴァ。

3/28@東京文化会館 小ホール
http://www.tokyo-harusai.com/program/page_6062.html