注目のコンサート|2018年11月
ドイツを代表する世界的合唱団、ベルリンRIAS室内合唱団が来日する。曲目はバッハ、メンデルスゾーン、ブルックナー、全て独墺圏の宗教歌曲である。神に祈り、神のために、神とともにあらんと歌う、その音楽は「楽しみ」や「感動」といったもの、また「宗教の違い」や「国境」というものをも超えた、人間の根源にあるものを呼び覚ましてくれるであろう。
11/2@東京オペラシティコンサートホール
https://www.operacity.jp/concert/calendar/detail.php?id=8766
グラミー賞を2度も受賞し、今や世界でもっとも人気のあるピアニストの一人、内田光子によるオール・シューベルトのプログラム。今回は初期に作曲された4番、未完成とはいえ聞き応えのある15番、そして最後のソナタとなった21番の3曲を演奏。定評のある内田のシューベルトをこれだけ堪能できるチャンスは、そう滅多にないだろう。
11/2@兵庫県立芸術文化センター
http://www1.gcenter-hyogo.jp/contents_parts/ConcertDetail.aspx?kid=4301011312&sid=0000000001
♩11/2 古楽最前線!躍動するバロック2018 Vol. 1 レクチャー&コンサート 四元素でたどる音楽史
今年2月に急逝したいずみホールの音楽ディレクターで音楽学者の故磯山雅氏による企画・監修シリーズ「古楽最前線!躍動するバロック2018」がいよいよ始まる。5回にわたるシリーズのうち初回は、ドイツの古楽器アンサンブル「カペラ・デ・ラ・トーレ」とソプラノ歌手マーガレット・ハンターを迎え、音楽学者、市川克明によるレクチャーも交えて中世からモンテヴェルディまでの音楽の歴史を四元素でたどるという非常に興味深いプログラムだ。
11/2@いずみホール
http://www.izumihall.jp/schedule/concert.html?cid=1692
そのほか、このシリーズでは下記の公演が順次予定されている。古楽ファンはもちろん、そうでない人も、中世から初期バロックに至る音楽の歩みを楽しむ良い機会となりそうだ。会場は同じ。
11/7 モンテヴェルディ《聖母マリアの夕べの祈り》
11/11 スペイン再発見
12/20 バッハとそれ以前の時代
2019/1/19 モンテヴェルディ《ポッペアの戴冠》
昨年、首席客演指揮者のクシシュトフ・ウルバンスキと共に来日したNDRエルプフィル(旧ハンブルク北ドイツ放送響)が早くも再来日を果たす。率いるのは2019/20シーズンからの首席指揮者就任が決定しているアラン・ギルバートだ。就任の発表以降既に数々の共演を行っているギルバートとエルプフィル。今回の来日公演は新コンビの相性を早々に占うことができる、またとない機会となろう。曲目はベートーヴェン、ブラームス、ブルックナー、マーラーといったストレートな独墺プロ。新コンビの船出に華を添えるエレーヌ・グリモーも楽しみである。
11/2,4@サントリーホール
http://www.kajimotomusic.com/jp/concert/k=681/
♩11/3 日本スペイン外交関係樹立150周年記念プロジェクト「果てから果てへ」
スペインの現代作曲家、ヴェルドゥとドッツァの世界初演曲が注目される。現代音楽とのコラボを意欲的に展開する能アーティスト青木涼子が謡とヴァイオリン、謡とチェロの初演作品に挑む。他にグラナドスやファリャ、武満徹、細川俊夫の作品が並ぶ。スペインと日本の長く深い関わりに思いを馳せつつ現代を聴くのも一興。
11/3@Hakuju Hall
http://okamura-co.com/concerts/ryokospain/
♩11/3、4 若林かをりフルートリサイタル~邦人作品を聴く~
かつて渡仏して、「日本文化における間(ま)」についての修了論文を書いた実績もあるフルート奏者・若林かをりが全作邦人作品の演奏会を2日連続で開く。作曲家に、林光、武満徹、一柳慧といったもはや歴史上の作家、名声・実績揺るぎなき細川俊夫に、飛ぶ鳥を落とす勢いの杉山洋一をはじめとして若林千春、望月京、徳永崇ら40から50歳代の作家たち、世界的人気作家となった藤倉大や彼と同年代の浅井暁子、さらには20代前半の若手・白井智子まで、まさに邦人作曲家勢揃いといった顔ぶれである。伝統や世代といったものを越えた「日本」の現代音楽を感じたい。
11/3@トーキョーコンサーツ・ラボ
フルートとピアノのための作品(共演(ピアノ)若林千春)
https://tocon-lab.com/event/181103%e3%80%80%e3%80%80%e3%80%80
11/4@トーキョーコンサーツ・ラボ
フルート独奏の〈こえ〉を巡って
https://tocon-lab.com/event/181104
♩11/4 衢 CROSSING vol.3 異人の秋、呼び交わす夢
平野一郎が2007年から不定期に続けているCROSSING衢 プロジェクトのvol.3。ラフカディオ・ハーンの名を主題に持つ「異人歴程」(ペトリgt&ヤンネvnのデュオ)、一人ダンジリ「秋の歌」(吉川真澄sop)を2本柱に古今東西を旅する古典と新作による彼我交感のプログラム。平野4作のうち2作は日本初演「平家蟹」、世界初演「アナベル・リー~E・A・ポーの詩による物語歌」。ギター、ソプラノ、ヴァイオリンによるソロ、デュオ、トリオを能楽堂で味わう稀有なひととき。
11/4@川崎能楽堂
https://marebito.exblog.jp/27575441/
艶やかな美声と明確なディクションによる端正な歌は健在ながら、そこにさらなる表現力をも備わって来たクリストフ・プレガルディエンは、日本流に言えば還暦を過ぎた今が最盛期と言ってもよいほどの充実した歌を聴かせてくれる。今回の来日では3度のリサイタルが催されるが、曲目は少し、あるいは全く異なる。このパルテノン多摩で注目すべきはワーグナーの『ヴェーセンドンク歌曲集』だろう。ピアノ伴奏で歌われることはままあるが、通常女声で歌われるこの曲をプレガルディエンが歌う。これは聴き物になるだろう。
11/6@パルテノン多摩
http://www.parthenon.or.jp/music/3272.html
日本打楽器界の「現役の達人」と言えば吉原すみれではないだろうか。今年のリサイタルも1946年生まれの田中賢に、最も作家として脂の乗っている1968、69年生まれの原田敬子、杉山洋一、そして1982年生まれの若手の大物・小出稚子らの世界初演作や日本初演作を取り上げ、最後は石井眞木の現代の古典で締めるというのだから、音楽家に年齢など不要、と思えてくる。共演に山口恭範(打楽器)、沢井一恵(十七絃箏)。
11/7@東京文化会館小ホール
吉原すみれパーカッションリサイタル2018/
♩11/8 加藤訓子 DRUMMIMG STEAVE REICH
欧州時代、ダンスカンパニー・ローザスのワールドツアーに参加、アンサンブル・イクトゥスと数多くのライブを演奏しているスーパーパーカッショニスト加藤訓子の新作リリースライブ版。ミニマルミュージックを世に知らしめたライヒの代表作「ドラミング」(1970-71)をパーカッション(ボンゴ、マリンバ、グロッケンシュピール)、ヴォイス、ピッコロ、口笛、計12名全パートを自身の演奏で多重録音、アンサンブルでは表現し得ないドラミングで作品の最上のディテールを紡ぎ出す。スリリングなステージを是非目撃!
11/8@サントリーホール ブルーローズ
https://www.suntory.co.jp/suntoryhall/schedule/detail/20181108_S_3.html
デビュー30周年の竹澤が10年振りに紀尾井ホールに登場する。桐朋音高在学中に日本音楽コンクールに優勝、以来、世界各地の音楽祭への出演など、国内外で活発な活動を続ける実力派。今回はベートーヴェン「クロイツェル」からバルトークの無伴奏、さらにブロッホ「バール・シェム」など、まさにこれまでの集大成となるプログラム。竹澤、ここにあり、をしかと見届けたい。
11/8@紀尾井ホール
http://www.kioi-hall.or.jp/20181108k1900.html
♩11/9、25、27 トリフォニーホール・グレイト・ピアニスト・シリーズ2018 ファジル・サイ、マルティン・シュタットフェルト、エリソ・ヴィルサラーゼ
数多くの傑出したピアニストを招いてきた本シリーズでも、今年今月のこれらは大注目の3公演であると言えよう。サイの「鬼(奇?)」、シュタットフェルトの「喜」、ヴィルサラーゼの「貴」の音楽世界に触れることで、ピアノという楽器の持つ無限の可能性を教えられることは間違いない。サイとシュタットフェルトの自作自演や即興演奏の未知の領域、ヴィルサラーゼのシューマンとショパンへの愛、実演奏でしかありえない体験が楽しみだ。
11/9,25,27@すみだトリフォニーホール
https://www.triphony.com/concert/detail/2017-12-002106.html
https://www.triphony.com/concert/detail/2017-12-002117.html
https://www.triphony.com/concert/detail/2018-08-002766.html
♩11/10 ラザレフ&日本フィルハーモニー交響楽団
ラザレフと日本フィルのショスタコーヴィチの交響曲シリーズもいよいよ佳境、今回は第12番を取り上げる。過去においては「御用交響曲」とみられて必ずしも高い評価を得ていなかった第12番であるが、近年はその暗号的解読によって秘められた批判性も明るみにされ「復権」の感がある。旧ソ連でまさにショスタコーヴィチと同時代の空気を吸ったラザレフの(ロシアの)音で第12番をどう捌くのか興味は尽きない。前半は「ラザレフが刻むロシアの魂」シリーズSeasonⅣの作曲家であるグラズノフの交響曲第8番。名曲だが実演では滅多にお目にかかれない楽曲であり、これをラザレフが指揮するのだから聴き逃す手はない。
11/10@サントリーホール
https://www.japanphil.or.jp/concert/23221
♩11/10,11 NISSAY OPERA 2018 モーツァルト《コジ・ファン・トゥッテ》
日生劇場開場55周年記念公演 NISSAY OPERA 2018「 モーツァルト・シリーズ」の3作品目。広上淳一の指揮、菅尾友の演出での上演。このプロダクションはニッセイ名作シリーズの一環として中高生を対象とする鑑賞教室としても上演が予定されており、極端な読み替え演出とはならないだろう。2組の恋人たちは若手が、アルフォンゾ、デスピーナはベテランが歌う。バランスのとれた上演が期待される。
11/10,11 日生劇場
http://opera.nissaytheatre.or.jp/info/2018_info/cosi_fan_tutte/
ピリオド楽器でロマン派を。先月ピリオド楽器のためのショパン・コンクールが開催されるなど、古楽器の領域はバロック、古典派を超えて、ロマン派にも広がりつつある。そこで鈴木秀美がおくるロマン派室内楽シリーズの12回目ではロベルト・シューマンのチクルスが組まれる。シューマン自身が聴いていた音を現代に甦らせる試み、それは懐古ではなく革新であり、我々に新たなる音楽の発見をもたらしてくれるだろう。
11/11@Hakuju Hall
http://www.hidemisuzuki.com/index.php?option=com_ohanah&view=event&id=453&Itemid=174
♩11/13 テミルカーノフ・サンクトペテルブルグフィルハーモニー交響楽団 オラトリオ「イワン雷帝」
映画監督エイゼンシュタインがプロコフィエフと共に完成させた「イワン雷帝」、ソ連で恐怖政治を敷くスターリンをイワン雷帝になぞらえて暗示し、スターリン死後まで上映禁止となった映画史に残る傑作である。そのサウンドトラックを基にして作られたオラトリオ『イワン雷帝』が1938年生まれのテミルカーノフとサンクトペテルブルグ・フィルによって上演される。「新たな暴君の時代」を迎えた今、プロコフィエフとテミルカーノフがこの作品によって我々に何を伝えんとするのか、是非とも聴きとどけたい。
11/13@サントリーホール
https://www.japanarts.co.jp/concert/concert_detail.php?id=666
♩ 11/13 マリエッラ・デヴィーア フェアウェル・リサイタル
不世出のソプラノ歌手、マリエッラ・デヴィーアが70歳を迎えて遂にフェアウェル・リサイタルを開く。甘く、そして気高い彼女の歌声に魅せられてきた我々にとってこれほどの悲しみはないが、しかし、あくまで「歌姫」として歌いきって我々の前から去っていく彼女の姿に、心よりの喜びと感謝の拍手を贈ろうではないか。
11/13@東京オペラシティコンサートホール
http://www.tokyopromusica.jp/concert/concert_20181113.html
教壇からコンサートーホールから指揮台からお茶の間まで、いたる所に神出鬼没の、しかし確固たる「音楽の持ち主」たる作曲家・池辺晋一郎が1984年から2017年まで、実に30年以上に渡って書き続けてきた「東洋民謡集」全曲を自ら指揮する。東洋に生まれ、西洋の音楽を学び、東洋に帰って紡いだ池辺の「歌」、彼ならではの「粋」「洒落」に満ちた歌を存分に楽しみたい。
11/14@トーキョーコンサーツ・ラボ
https://tocon-lab.com/event/181114
毎年恒例のウィーン・フィル来日公演、今年はフランツ・ヴェルザー=メストが指揮台に上がる。今年6月にはクリーヴランド管を率いてベートーヴェン全曲演奏を披露したヴェルザー=メストだが、同郷の音楽的パートナーであるウィーン・フィルとはどのような独墺音楽を聴かせてくれるのだろうか。プログラムはワーグナー畢生の大作「ニーベルングの指環」を締め括る「神々の黄昏」の抜粋に加え、ウィーン・フィルの首席奏者によるブラームス「二重協奏曲」。
11/15@ミューザ川崎シンフォニーホール
https://www.kawasaki-sym-hall.jp/calendar/detail.php?id=2259&y=2018&m=11
「自由自在」とは高橋アキのピアノのためにある言葉ではなかろうか。シューベルトに始まり、ハイパービートルズコレクションで終わるプログラムを眺めた時、もうそこから彼女のあのピアノの音が聴こえてくるようだ。彼女の年上の同胞とも言うべき湯浅譲二を生で聴けるのも勿論楽しみだが、パーソンズ、佐藤聰明、カール・ストーンの日本初演、世界初演、委嘱初演にも心躍る。彼女が積み重ねた歳月のさらに上のまた新しい輝きが見えてくるだろう。
11/15@豊洲シビックセンターホール
http://www.camerata.co.jp/concerts_events/detail.php?id=232
♩11/16,18 ボーイト:歌劇《メフィストーフェレ》(演奏会形式)
今年2018年は、アッリーゴ・ボーイトの没後100年の記念年である。彼の名前は、ヴェルディの最晩年の創作活動とともに語られることが多く、《オテッロ》《ファルスタッフ》の台本作者として知られている。ボーイト自身の作品としては、この《メフィストーフェレ》のみが有名である。プロローグのメフィストーフェレと合唱による壮麗な音楽、ファウスト やマルゲリータに与えられた甘美なアリアなど聴きどころが多い。海外では継続して上演されており、近年の大きな劇場での公演としては、METやバイエルン国立歌劇場などがあげられる。日本でも、東京オペラシアター、広島オペラアンサンブルが舞台上演を行ってきているが、常設のオーケストラによる演奏は初めてだろう。東京フィルハーモニー交響楽団を首席指揮者アンドレア・バッティストーニが指揮し、主役3人は海外組が担当する。ボーイトの充実した音楽がようやく実演で聴ける。
11/16@サントリー・ホール
http://www.tpo.or.jp/concert/20181116-01.php
11/18@オーチャード・ホール
http://www.tpo.or.jp/concert/20181118-01.php
モダニズムの時代が終わり、ポストモダニズムが始まったとされて久しいが、そのポストモダニズムの中で更に「前に進もう」とし続けてきた稀有な作曲家・南聡の総決算的室内楽個展が開かれる。実力派の若手演奏家たちを揃え、伊藤隆介の映像を伴った『昼V』の上映など、彼の音楽に惹かれるものが総結集してのこのチクルス、「音楽の現代」を求める者ならば行かねばなるまい。
11/20@豊洲シビックセンターホール
https://www.facebook.com/pg/南聡個展実行委員会-471249776700323/?_fsi=prKr5mgK
♩11/20 B→Cバッハからコンテポラリーへ 206 益田展行(ギター)
益田展行は2012年まで欧州に渡り、数々の受賞歴を誇るギタリスト。今回のB→Cではブローウェル、武満、ブリテン、そしてバッハと、ギターの一音一音に、またその連なりに深く沈潜していくような作品を揃えての登場である。鋭く尖り刺すような現代音楽とはまた違う、しかしB→Cでしかありえないこの現代ギターリサイタルに注目したい。
11/20@東京オペラシティリサイタルホール
https://www.operacity.jp/concert/calendar/detail.php?id=8776
♩11/22 フランコ・ファジョーリ & ヴェニス・バロック・オーケストラ
世界中をその美声で魅了しつくしているカウンターテナーの鬼才、フランコ・ファジョーリの初来日。名手揃いのオール・ピリオド楽器アンサンブルであるヴェニス・バロックとの共演でヘンデルのオペラ・アリアの数々を聴かせる。バロック・オペラファンでなくても楽しめる、いや、バロック・オペラの真の姿を知るためにはまずこのコンサートへ。
11/22@東京オペラシティ コンサートホール
http://www.allegromusic.co.jp/Fagioli&VBO_operacity.html
♩11/22,23,24,25 東京二期会 モーツァルト《後宮からの逃走》
東京二期会オペラ劇場とNISSAY OPERA 2018の提携公演。注目はギー・ヨーステンの演出。彼はヨーロッパの各地で多くのオペラ演出を手掛け、2005年にはニューヨークのメトロポリタン歌劇場、2018年にはソウルと東京と活動の場を拡げている。今回の公演チラシに書かれている「美しいトルコの後宮へようこそ さて、この物語、ハッピーエンド…!?」という言葉からも、何か通常のストーリーとは異なる展開やメッセージがありそう。下野竜也の安定した音楽づくり、若手歌手のはつらつとした歌唱、演技も楽しみ。
11/22,23,24,25 日生劇場
http://www.nikikai.net/lineup/entfuhrung2018/index.html
♩11/23,24 ウェルザー=メスト&ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
恒例の「ウィーン・フィルハーモニー ウィーク イン ジャパン」、今年の指揮者はフランツ・ウェルザー=メスト。日本でのこの両者の共演は8年ぶりとのことだが、今回のプログラムもまた期待を抱かせるものばかり。23日はブルックナーの交響曲第5番が、24日はウェルザー=メスト編曲によるワーグナー『ニーベルングの指環』~「神々の黄昏」抜粋が演奏される。『指環』の中から敢えて「黄昏」のみを取り上げてその抜粋版が演奏されるが、「ウェルザー=メスト編曲」とあるのが果たしてどのような編曲なのか、彼とウィーン・フィルの大いなる本領発揮に期待。
11/23@サントリーホール
https://www.suntory.co.jp/news/article/sh0264.html
♩11/25 NHK交響楽団第1899回定期公演Aプログラム
広上淳一のアメリカ・プログラム。3曲ともなかなか実演では聴く機会のない曲たちだが、中でもアイヴズ初期の傑作である交響曲第2番が聴き物。未だ無調的要素や突飛な不協和音などの「現代音楽的要素」はほとんど出現しないものの、アイヴズお得意の民謡や大衆歌の引用がところどころに現れ、そして最後の最後の面食らったままの終結は何度聴いても楽しいものだ。曲を知っている方もまだ聴いていない方も、この素敵な交響曲を広上&N響というこの上ないコンビで是非実演で聴いてみよう。
11/25@NHKホール
http://www.nhkso.or.jp/concert/concert_detail.php?id=795
今や当代随一の親密度と音楽的充実を誇るコンビとなったヤンソンスとバイエルン放送響。そんな彼が絶賛してやまないミューザ川崎での公演が、今回も開催される。巨大オーケストラの跋扈が眼前に浮かぶ「春の祭典」は勿論のこと、日本ツアー唯一の選曲であるドヴォルザーク「交響曲第7番」でもヤンソンスのしなやかな歌心が存分に堪能できることだろう。
11/25@ミューザ川崎シンフォニーホール
https://www.kawasaki-sym-hall.jp/calendar/detail.php?id=2260&y=2018&m=11
今シーズンで群響音楽監督を勇退する大友直人によるオール邦人プログラム。2017年8月の東響オペラシティシリーズの内容とほぼ共通(一曲目が『トリプティーク』から『交響管弦楽のための音楽』に今回変更されている)している。東響と手兵・群響の違いを聴くのもまた良し、だろう。戦後の日本音楽界を牽引した「3人の会」と現代の千住明を対比させるプログラミング意図は明らかで、後半の千住によるオペラでは華やかな歌手陣と群響合唱団にも期待がかかる。しかと聴き届けたい。
11/26@東京オペラシティ コンサートホール
http://www.gunkyo.com/concert-list/東京オペラシティ公演-4/
♩11/27 クリスチャン・レオッタ シューベルト プロジェクト7Days, 2nd Stage
若手ながら緻密な演奏解釈とその独自の音楽世界で評価の高いピアニスト、クリスチャン・レオッタによるオール・シューベルト・プロジェクトの2nd stageがいよいよ始まる。今年3月に行い好評を博した1st stageは3日間にわたるものであったが、今回は11月末から12月初旬にかけての4日間で、残りのソナタ7曲の他、5曲のピアノ作品を演奏する。晩年のソナタ3曲が登場するなどプロジェクトは佳境を迎えるだけに、今回も見逃せないものとなりそうだ。
なお、2nd stageは下記の日程で行われる(会場は同じ)。
11/27@京都府立府民ホール “アルティ”
12/1,5,9
http://www.alti.org/page/1503578205.html
♩11/30 作曲家の個展II 2018 金子仁美&斉木由美
日本楽壇に確固たる地位を占める、金子仁美と斉木由美の共同プロデュースによる「作曲家の個展II」が開催される。「女性」の「現代作曲家」2人による「愛の歌」というテーマによって、はたして「女性」とは何か、いや、「女性」とはそもそも存在するのか、「音楽」と「女性」とは、そして「愛」とは、様々な問いが喚起される「現代音楽ならでは」の演奏会になるに違いない。指揮に沼尻竜典、ピアノに野平一郎、管弦楽に東京都響と、演奏陣も盤石だ。
11/30@サントリーホール
https://www.suntory.co.jp/suntoryhall/schedule/detail/20181130_M_3.html