撮っておきの音楽家たち|エレナ・モシュク|林喜代種

エレナ・モシュク(ソプラノ歌手)
          
2017年9月19日 東京オペラシティコンサートホール
photos & text by 林喜代種(Kiyotane Hayashi)

ルーマニア出身のソプラノ歌手のエレナ・モシュクが来日。演奏会形式のヴェルディのオペラ『オテロ』のデズデモーナ役で出演した後、「聖母マリアへのオマージュ」と題したリサイタルを開いた。プログラム前半は『アヴェ・マリア』を美しく澄んだ声で歌い上げた。『アヴェ・マリア』は多くの作曲家が作曲している。この日取り上げたのは、グノー=バッハ、シューベルト、カッチーニ、サン=サーンス、マスカーニ、ヴェルディの6人の作曲家から8曲の『アヴェ・マリア』を歌う。
プログラムによると、「聖母マリアは神ではないが、精霊により神の子イエスを宿しこの世に生み成長させた。この慈愛に満ちた聖母を崇敬する感情をカトリックは早くから大切にしていた」「罪ある者に優しい眼差しを注ぎ、救済を祈ってくれる聖母マリアの信仰は民衆の間に広く浸透し、人々はアヴェ・マリアを日常的に唱えた」という。
モシュクは祈るように各作曲家の『アヴェ・マリア』を歌った。これほどの『アヴェ・マリア』をまとめて聴くのは初めてだった。
後半はドニゼッティのオペラ『アンナ・ボレーナ』などから3曲、ヴェルディの『シチリアの晩鐘』『マクベス』『イル・トロヴァトーレ』中よりのオペラ・アリアで聴衆を圧倒する。モシュクは1994年デュッセルドルフ歌劇場日本公演 『魔笛』の夜の女王役で初来日。2007年はジュゼッぺ・ジャコミーニを迎えてのコンサート。2008年新国立劇場の『椿姫』に出演した後ソロリサイタル、続けて11月に新国立劇場『ドン・ジョバンニ』に出演。2014年ミラノ・スカラ座日本公演『リゴレット』に出演。
今回、円熟期を迎えたエレナ・モシュクの歌声に豊かな気持ちにさせられた一夜だった。