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東京混声合唱団特別定期演奏会 林光メモリアル|瀬戸井厚子

8月の短評

Text by 瀬戸井厚子 (Atsuko Setoy)

♪東京混声合唱団特別定期演奏会 林光メモリアル
東混 八月のまつり 47
The Philharmonic Chorus of Tokyo PCT Special Regular Concert
Tokon August Festival 47 ~ Memorial of HAYASHI Hikaru ~

2026年8月8日 第一生命ホール
2026/8/8 Dai-ichi Seimei Hall

〔出演〕
角田鋼亮(指揮)
寺嶋陸也(ピアノ)
近藤 薫(ヴァイオリン)
東京混声合唱団(合唱)
〔曲目〕
林 光(詩:原民喜):混声合唱のための《原爆小景》
水ヲ下サイ (1958)/日ノ暮レチカク (1971)/夜 (1971)/永遠(とわ)のみどり (2001)
林光:混声合唱のための《うた・ねがい・明日ともなれば》より
〈うた〉[ヴァイオリン助奏付版]作詩:佐藤信/〈ねがい〉作詩:佐藤信/〈明日ともなれば〉作詩:F. G. ロルカ 訳詩:長谷川四郎
混声合唱による《日本抒情歌曲集》より 編曲:林 光
〈箱根八里〉〈椰子の実〉〈中国地方の子守歌〉〈叱られて〉〈浜辺の歌〉
A. シェーンベルク:《Friede auf Erden》 (地には平和), Op. 13
R. V. ウィリアムズ:ヴァイオリンとピアノと合唱のための《Serenade to Music》(音楽のためのセレナード)  編曲:角田鋼亮
(アンコール)————-
作詩・作曲:宮沢賢治/編曲:林 光「星めぐりのうた」

 毎年8月開催の「東混 八月のまつり」、このところずっとご無沙汰してしまっていたが、47回目となった今年、ようやく再会できた。
 《原爆小景》の第1曲〈水ヲ下サイ〉を聴いていると、やはり胸が苦しくなってくる。もちろん、それは予期したことでそれなりの覚悟をして席に着いているのだが。第2曲〈日ノ暮レチカク〉の、しずかに繰り返されることばがしずかに耳を打ってくる力はつよい。第3曲〈夜〉の複雑な響きに耳を随順させ、第4曲〈永遠(とわ)のみどり〉の響き合う声の美しさにようやく胸がほぐれていく。聴き手にとって厳しい作品を聴くことは大切だ、と改めて思う。
 《うた・ねがい・明日ともなれば》では、東混の各パートの声質の佳さをヴァイオリンの音色とともに堪能。《日本抒情歌曲集》よりでは各曲があまりに懐かしくてついつい心の裡で唱和せずにはいられず、ひたすら聴くことに集中、はできなくなってしまうのが申し訳ないような気がしてきた。
 シェーンベルクの《地には平和》は初めて聴く作品で、居住まいを正して傾聴。この内容をしっかり受け取ることがなんとかできたか、と思う。指揮者角田氏の編曲によるウィリアムズのセレナードは、まさしく一期一会と思い、全身を受容体にするつもりで音に浸った。
 そして、筆者にとって最高の贈り物となったのがこの日のアンコール。幾度となく聞いてきたし時に口ずさむこともある「星めぐりのうた」に、これほどの(「美」の)力・可能性があったとは、知らなかった。寺嶋氏のピアノが星たちのあいだにすずやかな導きのすじを曳いてゆくよう。星たちは群れつつもひとつひとつが透きとおったきらめきを放ち、しかもそれが溶け合う。あまりの〈うつくしさ〉にほとんど気を喪いそうになった。この体感、一生だいじにします。ありがとう!

                               (2026/9/15)