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撮っておきの音楽家たち|トレヴァー・ピノック|林喜代種

トレヴァー・ピノック(チェンバロ奏者・指揮者)
Trevor David Pinnock,Harpsichord・Conductor

2020年2月8日 紀尾井ホール
2020/2/8 Kioi Hall
Photos & Text by 林喜代種(Kiyotane Hayashi)

紀尾井ホール&紀尾井ホール室内管弦楽団(KCO)は2020年に共に開館&創立25周年を迎える。開館25周年演奏会特別プロジェクトとして、トレヴァー・ピノック指揮によるモーツァルトの「交響曲第40番」「アヴェ・ヴェルム・コルプス」が前半に、「レクイエム」が後半に演奏された。
紀尾井ホール室内管弦楽団は1995年紀尾井シンフォニエッタ東京として発足。尾高忠明の指揮のもとに国内外で活躍する演奏家が集う。著名な音楽家との共演も多い。アンサンブル能力の高さと豊かな音楽性には定評があって海外公演も行なっている。2017年より首席指揮者にライナー・ホ―ネックが就任、「紀尾井ホール室内管弦楽団」と改称。今回の25周年演奏会特別プロジェクトは2004年、2012年、2016年の定期演奏会に続き4回目となるトレヴァー・ピノックが登場、上述のモーツァルト作品の3曲を指揮した。
「レクイエム」では特別編成の古楽系の室内合唱団、ソリスト4人はアルトのパートにカウンター・テナーを起用し合唱団の中で歌う。清んだ歌声が印象的だった。
ピノックは1946年12月イギリス・カンタベリー生まれ。少年時代はカンタベリー大聖堂の聖歌隊員でピアノとオルガンを学ぶ。その後、ロンドンの王立音楽大学でラルフ・ドーンズ、ミリセント・シルヴァに師事し、チェンバロとオルガンを修めた。学生時代にガリヤード・トリオを編成して活動を始め、アカデミー室内管弦楽団などと演奏する。1973年にオリジナル楽器の楽団、イングリッシュ・コンサートを設立。指揮・独奏で活発に演奏活動を行なう。特にアルヒーフでの録音は高い評価を得る。レパートリーはバッハ、ヴィヴァルディ、ヘンデル、ハイドン、モーツァルト。チェンバロ奏者として小澤征爾ボストン響でプーランクのチェンバロ協奏曲などを、またレイチェル・ポッジャーやジャン=ピエール・ランパルなどとも共演している。2003年イングリッシュ・コンサートの音楽監督をアンドルー・マンゼ(ヴァイオリニスト)に譲り退団。73歳の現在は英国王立音楽院の室内オーケストラの首席指揮者として活躍中。

(2020/3/15)