Pick Up (2026/8/15)|佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2026『カルメン』|長澤直子
佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2026
カルメン
Hyogo Performing Arts Center Opera 2026, Artistic director Yutaka Sado
CARMEN
2026.7.17(金) 18(土) 19(日) 20(月・祝) 22(水) 23(木) 25(土) 26(日) (ゲネプロ取材:7/14,15)
兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
17 Fri, 18 Sat, 19 Sun, 20 Mon, 22 Wed, 23 Thu, 25 Sat, 26 Sun, July 2026
Hyogo Performing Arts Center KOBELCO Grand Hall
Text&Photos by 長澤直子(Naoko Nagasawa)
[指揮]佐渡 裕
[演出]ロレンツォ・マリアーニ
[装置]アレッサンドロ・カーメラ
[衣裳]シルヴィア・アイモニーノ
[照明]マルコ・フィリベック
[振付]セスク・ジェラベルト、リディア・アッツォパルディ
[合唱指揮]矢澤定明
[出演] 7/17,19,22,25 7/18,20,23,26
カルメン エカテリーナ・セメンチュク 高野百合絵
ドン・ホセ ロベルト・アローニカ マリオ・ロハス
エスカミーリョ アレッシオ・アルドゥイーニ 髙田智宏
ミカエラ ヴァレンティーナ・マストランジェロ 迫田美帆
フラスキータ 梨谷桃子 冨平安希子
メルセデス 山際きみ佳 林眞暎
レメンダード 水口健次 所谷直生
ダンカイロ ロベルト・アックールソ 町英和
スニガ 伊藤貴之 湯浅貴斗
モラレス 的場正剛 ロベルト・アックールソ
パスティア 相良アレキサンダー(全日出演)
[合唱]ひょうごプロデュースオペラ合唱団
ひょうご「カルメン」合唱団
ひょうごプロデュースオペラ児童合唱団
[管弦楽]兵庫芸術文化センター管弦楽団
毎年夏、兵庫県立芸術文化センターで開催される「佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ」。今年2026年はシリーズ第21弾を迎え、ビゼーの傑作オペラ『カルメン』が新制作で上演された。7月17日から26日までの全8公演のチケットは早い段階で完売し、例年以上の反響を集めた。
指揮は同センター芸術監督の佐渡裕、演出はニューヨーク出身で国際的に活躍するロレンツォ・マリアーニ。主役カルメンにはエカテリーナ・セメンチュクと高野百合絵、ドン・ホセにはロベルト・アローニカとマリオ・ロハスが日替わりで出演。闘牛士エスカミーリョにはアレッシオ・アルドゥイーニと髙田智宏、ホセの許婚ミカエラにはヴァレンティーナ・マストランジェロと迫田美帆が名を連ねた。管弦楽は兵庫芸術文化センター管弦楽団、合唱はひょうごプロデュースオペラ合唱団に、公募によるひょうご「カルメン」合唱団が加わる大編成。児童合唱は本公演のために編成されたひょうごプロデュースオペラ児童合唱団が務め、開館20周年を経た同センターならではの厚みと充実感のある舞台となった。
以下は、開幕前に行われたゲネプロの模様である。
演出のマリアーニが舞台に選んだのは、セビリャの街並みでも闘牛場でもなく、地平線へと続いていくような「赤い砂漠」だった。この赤い砂で覆われた舞台装置は、当たる照明の色や明暗を受けて表情を微妙に変化させる。まず何より、荒涼とした砂漠の風景とその色彩に目を奪われ圧倒される。
第1幕は、燃えるようなオレンジから深紅へと向かう空を背景に、土埃をまとった軍用ジープが乗り入れるシーンで幕を開ける。
第2幕になると、砂漠は深い紺青の夜へと表情を変える。中央に敷かれた木の舞台は、これまでの荒涼とした赤一色の世界とは対照的な色彩だ。
第3幕、山中の場面では舞台は一転して漆黒の闇に沈む。薄暗い照明の中、青白い光を頼りにライフルを構える女たち。木箱や布、そして彼女たちの顔に落ちる影までもが、硬質な緊張感を描き出す。
そして第4幕、今回最も印象に残ったのは、高野百合絵が演じたラストシーンだった。もちろん、セメンチュクをはじめとする他の出演者たちの熱演もそれぞれ忘れがたい。数えきれない名場面の中から、ここでは象徴的なこの場面について書いておきたい。
沈みゆく巨大な太陽が燦然と輝き、砂丘の稜線を黒いシルエットに変える。空が紅に染まっていくその中で、逆光により影となって立ち尽くすホセ。そこにカルメンの横顔が重なり、表情が浮かび上がる。手に握りしめた白い花を高く掲げたその姿は、勝ち誇っているようにも、運命を静かに受け入れているようにも見えた。命よりも自由を尊ぶ、カルメンの強い意志を貫く名台詞「カルメンは自由に生まれ、自由に死ぬ」。その言葉を見事に演じてみせた高野のカルメン像は、いつまでも記憶に残り続けることだろう。

(2026/8/15)
7/17,19,22,25 キャスト





















7/18,20,23,26 キャスト




















