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注目のコンサート|2018年3月

♩3/2 プロイセンの宮廷から

佐藤駿太主宰のプティ・ヴィオロンはフランス・バロックのレパートリーを専門とした古楽アンサンブル。グラウン兄弟、クヴァンツ、ベンダ、一度は名前を聞いたことがあるけれど、その音楽はあまり知られていないプロイセン宮廷の作曲家たちによる作品を集めた一夜を、フリードリヒ大王になった気分で過ごしてみるのはいかが。
3/2@杉並公会堂
https://petitsviolons.com/20180302-2/

 

 

 

♩3/2、3 日本フィルハーモニー交響楽団 第698回東京定期演奏会

軽快なスッペに始まり、苦悩と怒りに満ちたユン・イサン、平穏な美が次第に破壊されていくマクミラン、そして全てを赦し包み込むブルックナーで終演、という物語的な筋のある選曲はさすが下野竜也・日フィルである。しかしてその挑戦がどのような音楽的成果として現れるのか、綯い交ぜとなった期待と好奇心を胸に足を運びたい。
3/2,3@サントリーホール
https://www.japanphil.or.jp/concert/21740

 

 

 

♩3/3、4 びわ湖ホール プロデュースオペラ《ワルキューレ》

びわ湖ホールでは、昨年から4年にわたってワーグナー作曲「ニーベルングの指環」全4作品を新制作し、上演するプロジェクトを開始した。演出には巨匠ミヒャエル・ハンぺを迎え、びわ湖ホール芸術監督の沼尻竜典が指揮をとる(管弦楽は京都市交響楽団)。今年は第2弾となる《ワルキューレ》。最新技術を駆使した演出とスケールの大きな演奏で好評を博した昨年の《ラインの黄金》に続き、今年の《ワルキューレ》も大いに期待したい。
3/3,4@@滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール
https://www.biwako-hall.or.jp/performance/2016/12/27/-13-1.html

 

 

 

♩3/4 ジョゼフ・リン ヴァイオリン・リサイタル

すみだトリフォニーホール開館20周年記念
すみだ平和祈念コンサート2018<すみだ×広島>として行われるコンサートの一つ。「鎮魂」をテーマに、今回はジュリアード SQメンバーでもあるJ・リンがバッハの無伴奏ソナタ・パルティータ全曲演奏を捧げる。午前午後の2部に分かれ、大槻カール晃士によるレクチャーも。なお、3日は映画『人間の条件』が演奏され、8日は広島交響楽団が登場、平和の祈りを共にする。
3/4@すみだトリフォニーホール
https://www.triphony.com/concert/detail/2016-11-001232.html

 

 

♩3/6 ロンドン交響楽団パーカッション・アンサンブル

ロンドン交響楽団の1パートのみならず、パーカッション・アンサンブルとして世界的に活躍している団体が来日する。曲目はチック・コリア、ジョー・ロック、小曽根真といった、ジャズミュージシャンでありつつジャンルを越境してクラシック音楽界でも定評のある逸材たちの作品、そして当アンサンブルの十八番ともいうべきアダムズ、ライヒのミニマル・ミュージックである。軽妙快活、だけではない音楽と出会えることであろう。
3/6@東京オペラシティコンサートホール
3/8@ザ・シンフォニーホール(大阪)
http://www.kajimotomusic.com/jp/concert/k=655/

 

 

♩3/6 マウリシオ・カーゲル アクースティカ

現代作曲家マウリシオ・カーゲル(1931-2008) の、多数の自作楽器(今回のために新しく製作される)と電子音響とマルチチャンネル・スピーカーのためのミュージック・シアター作品『アクースティカ』(1968-70) が日本初演される。世界初演メンバーのヴィルヘルム・ブルック(当初予定されていた来日はキャンセル)の協力を得て、日本現代音楽の俊英たちが挑むモダニズムの極点とも言うべき舞台、しかと見届けたい。
3/6@西麻布スーパーデラックス
https://www.super-deluxe.com/room/4436/

 

 

♩3/7 ダニエル・ゼペック(ヴァイオリン)—無伴奏

ドイツ・カンマーフィルのコンサートマスター、ダニエル・ゼペックの日本初のソロ・リサイタルである。テレマン、ビーバー、J.S.バッハのバロック音楽と、ライヒ、ベリオの現代音楽を交互に配した選曲が彼の音楽的射程の広さ・深さ、そして個性を表していよう。時代を越えた新しい音楽に出会えることを期待したい。
3/7@トッパンホール
http://www.toppanhall.com/concert/detail/201803071900.html

 

 

 

♩3/9、10 大阪フィルハーモニー交響楽団 第516回定期演奏会

昨年2月の定期と東京公演で井上道義が取り上げたショスタコーヴィチ(第11番、第12番)の演奏は、来日していた欧米の音楽評論家により大きな賞賛を受けるとともに、国内でも数々の賞を受賞した。その井上が、やはり「革命」をテーマにしながらも上演機会の少ない第2番と第3番を取り上げる。オープニングはバーバーの《ピアノ協奏曲》(ピアニスト:アレクサンデル・ガジェヴ)。この心憎いプログラミングで再び旋風を巻き起こせるのか、見逃せない公演となりそうだ。
3,9,10@フェスティバルホール
http://www.osaka-phil.com/schedule/detail.php?d=20180309

 

 

♩3/10、14、18日 クリスチャン・レオッタ シューベルト プロジェクト7days 1st stage 2018

2015年から16年にかけてベートーヴェンのピアノソナタ全曲演奏会を行い日本の聴衆を魅了したレオッタが、再び同じホールでシューベルトのピアノ作品を紐解く。ソナタ14曲のほか、「楽興の時」などの名曲と合わせ、全21曲を7日間にわたって演奏するという驚異的なプロジェクト。その1st stageとなる今回は、3日間で「さすらい人幻想曲」や「4つの即興曲」のほか7つのソナタを取り上げる(残りの4日間は2018年11月〜12月にかけて開催予定)。豊かな音楽性に加え、作品の解釈力を高く評価されてきたレオッタが紡ぐシューベルトの世界をぜひ堪能したい。
3/10,14,18@京都府立府民ホール“アルティ”
http://www.alti.org/page/1487863507.html
関連記事:
http://mercuredesarts.com/2017/11/14/back-stage-christian_leotta-alti-usui/

 

♩3/11、18 モーツァルト『魔笛』

現在改修中の神奈川県民ホールのホール・オペラ・シリーズ2018が横須賀、相模原を巡回してモーツァルトの「魔笛」を上演する。今回は2013年にオーストリア・リンツ州立劇場で初演された宮本亜門版。家庭のリビングから始まりコンピューターゲームの世界に入りこむ、大胆かつファミリーで楽しめる設定と、冒険ファンタジーを実現したプロジェクション・マッピングが大評判となったもの。川瀬賢太郎率いる神奈川フィルで。
3/11@よこすか芸術劇場
3/18@相模女子大学グリーンホール 大ホール
http://www.kanagawa-kenminhall.com/detail?id=35171

 

 

♩3/13 ウェールズ弦楽四重奏団

日本の弦楽四重奏団の中で今最も注目されているウェールズ弦楽四重奏団、若手アーティストをフィーチャーする東京オペラシティのB→Cシリーズ3月公演に待望の登場。ハイドンの弦楽四重奏曲の中でもあまり演奏される機会のない第1番『狩』と既に2013年にHAKUJU HALLで演奏し好評を博した藤倉大の『フレア』を最初と最後に置き、間にウェーベルン、猿谷紀郎、シューベルトそしてバッハを挟み込むという実に意欲的かつ魅力的なプログラム。カルテットファン、及びコンテポラリー作品ファンは聴き逃せぬ一夜。
3/13@東京オペラシティ リサイタルホール
https://www.operacity.jp/concert/calendar/detail.php?id=8045

 

 

♩3/13、14 ニューヨーク・フィルハーモニック

この度のニューヨーク・フィルの来日は今シーズンから同オケの音楽監督に就任したヤープ・ヴァン・ズヴェーデンに率いられて。ヴァイオリニストとして16年の長きに渡りコンセルトヘボウ管のコンサートマスターを務めた、との経歴を前面に押し出さなくとも、今や指揮者としてのその名前は――勿論その実力も――確実にクラシックファンに認知されていよう(ちなみに1月には香港フィルと『神々の黄昏』を演奏、これが驚くべき名演奏だったと聞く)。今回は既にオランダ放送フィルとの名録音がある『春の祭典』、そしてマーラーゆかりのコンセルトヘボウのコンサートマスターとして数多く演奏して来たに違いあるまいマーラーの『第5』がメインプログラム。前者も期待だが、「マーラー・オケ」たるニューヨーク・フィルとの後者がより興味深い。
3/13,14@サントリーホール
http://www.kajimotomusic.com/jp/concert/k=588/
http://www.kajimotomusic.com/jp/concert/k=589/
その他の公演
3/11@京都コンサートホール
3/15@ 日本特殊陶業市民会館フォレストホール(名古屋市民会館)

 

♩3/16〜4/15 東京・春・音楽祭2018

桜の開花とともに始まる上野の森での音楽祭も今年で14年目を迎える。今回もバラエティに富んだ公演やワークショップ、イベントが目白押し。
「ワーグナー・シリーズvol.9」はウルフ・シルマーの指揮のもと、豪華なキャストでの『ローエングリン』。ロッシーニ没後150年に寄せての『スターバト・マーテル』やガラ・コンサート、マラソン・コンサートの他、特に目を惹くのはレオンスカヤpfのシューベルト・チクルス。2夜にわたるフォークトの歌曲シリーズもある。若手によるリサイタルや室内楽など、より取り見取りの約150公演、たっぷり楽しめる1ヶ月である。
3/16~4/15@東京文化会館ほか
http://www.tokyo-harusai.com/program/program_list.html

 

♩3/17 新日本フィルハーモニー交響楽団 第585回ジェイド タン・ドゥン

中国出身の作曲家タン・ドゥンを迎えての<オーガニック3部作>。タン・ドゥンが選んだのは3つの協奏曲だ。ウォーター・パーカッションとオケのための「水の協奏曲」、ペーパー・パーカッションとオケのための「紙の協奏曲」、セラミック(陶製)・パーカッションとオケのための「大地の協奏曲」(日本初演)。
それぞれにどんな音の世界が広がるか、タン・ドゥンならではの不思議ワールドにワクワクだ。
3/17@サントリーホール
https://www.njp.or.jp/archives/4773

 

 

♩3/17 ピョートル・アンデルシェフスキ ピアノ・リサイタル

トリフォニーホール・グレイト・ピアニスト・シリーズ2017/18に登場のアンデルシェフスキ。常に自らの欲求に耳を傾けプログラミングする彼が今回披露するのはオール・バッハ・プログラム。平均律クラヴィーア曲集第2巻より前奏曲とフーガ6曲とイギリス組曲 第3番、イギリス組曲 第6番 の組み合わせ。バッハの対位法の深化、進化をどう聴かせるか注目したい。
3/17@すみだトリフォニー
https://www.triphony.com/concert/detail/2016-11-001228.html

 

 

 

♩3/17、18 東京二期会コンチェルタンテ・シリーズ《ノルマ》

東京二期会は、これまでオペラ劇場で上演してこなかった作品を、映像を付した形のセミ・ステージ形式で上演するコンチェルタンテ・シリーズを始める。その第1回目に取り上げるのが《ノルマ》。東京二期会には初登場となる気鋭の指揮者リッカルド・フリッツァ、大村博美と大隅智佳子のノルマ、城 宏憲と樋口達哉のポリオーネと、若手を中心としたキャストも期待できよう。映像の使い方によっては舞台上演とは異なる魅力を生む可能性もあり、その点も楽しみ。
3/17,18@Bunkamuraオーチャードホール
http://www.nikikai.net/lineup/norma2018/index.html

 

 

♩3/18、21 室内楽ホールdeオペラ~林美智子の『フィガロ』!

本誌1月15日号のBackstage「第一生命ホールで、オペラ!?」で紹介いただいた公演。重唱、各幕のフィナーレなどアンサンブルのみが歌われ、その間は日本語のセリフでつながれる。演奏曲目の選定やセリフは、ケルビーノを歌う林美智子が担当。加耒 徹、澤畑恵美、黒田博、鵜木絵里、池田直樹といった、若手からベテランの歌手が約800席のホールを美しい響きで満たしてくれるだろう。河原忠之のピアノも安定した音楽作りが期待できる。
3/18,21@第一生命ホール
http://www.triton-arts.net/ja/concert/2018/03/18/2520/
http://www.triton-arts.net/ja/concert/2018/03/21/2528/
関連記事:
http://mercuredesarts.com/2018/01/14/back-stage-opera_in_chamber_music_hall-tanaka/

 

♩3/21 トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団

2008年より音楽監督を務めるソヒエフに率いられての来日。N響への定期的な客演で今や日本の聴衆にもすっかりお馴染みとなったこの指揮者だが、最小限、まるで無駄のない身振りによってまるで魔術師のようにオケの表情や音色を楽想によって変化させる技の凄さは実演を聴けば立ちどころに感知できよう。チャイコフスキー、ドビュッシー、ラヴェルといった今回のプログラムでは、先述したソヒエフの手腕が存分に発揮されること必至。オーケストラ芸術の極致を聴く。
3/21@サントリーホール
その他の公演
3/15@サントリーホール
3/16@ハーモニーホールふくい大ホール(福井)
3/18@兵庫県立芸術文化センターKOBELCO
3/19@東京文化会館大ホール
http://www.kajimotomusic.com/jp/concert/k=591/

 

♩3/24 J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲全曲演奏会

様々なスタイルでアンサンブルの魅力を味わえるブランデンブルク協奏曲の全曲演奏。エリーザベト王妃国際音楽コンクールに日本人として初優勝、世界で活躍するヴァイオリニスト堀米ゆず子と、新日本フィルハーモニー交響楽団首席奏者を務めバロックから現代音楽まで幅広いジャンルをこなすオーボエ奏者、古部賢一を中心とした若手、ベテランの特別合奏団でたっぷり楽しみたい。
3/24@ヤマハホール
https://www.yamahaginza.com/hall/event/2849
関連記事:
http://mercuredesarts.com/2017/06/13/back-stage-yamaha_hall/

 

 

♩3/25 シュニトケ&ショスタコーヴィチ プロジェクト2—チェンバー・オーケストラ

旧ソ連におけるポスト・ショスタコーヴィチ世代の作曲家、シュニトケとペルトの1977年前後の3つの作品と、ショスタコーヴィチ27歳時のピアノ協奏曲第1番を、井上道義・北村朋幹・山根一仁とトッパンホール・チェンバー・オーケストラが演奏する。音楽の歴史の中で受け継がれるもの、変わっていくもの、そして新しく生まれていくものを体感する演奏会となろう。
http://www.toppanhall.com/concert/detail/201803251700.html

 

 

 

♩3/26 東京都交響楽団 第850回定期演奏会

都響桂冠指揮者インバル、8ヶ月ぶりの登壇。3プログラムを指揮するが26日は幻想交響曲がメイン。過去フランクフルト放送響(現hr響)やベルリン響(現・ベルリン・コンツェルトハウス管)らのオケとも日本で演奏している十八番。冷徹に楽曲のテクスチュアを浮かび上がらせていた壮年期の演奏から、よりホットで直截な力感が前面に出るようになった近年のインバルの変化がこの名曲にどう反映されるか。
3/26@サントリーホール
https://www.tmso.or.jp/j/concert_ticket/detail/detail.php?id=3053&year=2018&month=3