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Pick Up(2026/3/15)|鈴木優人&バッハ・コレギウム・ジャパン × 隈研吾 オペラ《フィガロの結婚》|長澤直子

鈴木優人&バッハ・コレギウム・ジャパン × 隈研吾
オペラ《フィガロの結婚》ゲネプロレポート

Bunkamura Produce 2026 “Le nozze di Figaro” 

 2026年2月17日 めぐろパーシモンホール 大ホール
2026/2/17 Meguro Persimmon Hall
  

Text&Photos by 長澤直子(Naoko Nagasawa) 

 

鈴木優人&バッハ・コレギウム・ジャパン × 隈研吾
オペラ《フィガロの結婚》 

会場:めぐろパーシモンホール 大ホール
日時:2026年2月19日(木)/20日(金)/22日(日)/23日(月・祝) 

(ゲネプロ取材2月17日) 

 

指揮:鈴木優人
演出:飯塚励生
舞台美術:隈研吾
衣裳:丸山敬太
照明:吉本有輝子 

[キャスト]
アルマヴィーヴァ伯爵:ダニエル・グートマン
伯爵夫人:森麻季
フィガロ:大西宇宙
スザンナ:ジュディト・ファー
ケルビーノ:オリヴィア・フェアミューレン
マルチェリーナ:藤井麻美
ドン・バルトロ:氷見健一郎
ドン・バジリオ/ドン・クルツィオ:新堂由暁
アントーニオ:渡辺祐介
バルバリーナ:安川みく
管弦楽・合唱:バッハ・コレギウム・ジャパン

 

 

めぐろパーシモンホールで上演が行われた、モーツァルト《フィガロの結婚》は、異なる分野の表現がひとつの舞台空間に集まる、意欲的な試みとなった。演出を飯塚励生、美術を建築家の隈研吾が担当し、衣裳はKEITAMARUYAMAのデザイナー丸山敬太があたった。音楽は鈴木優人指揮による、古楽器オーケストラ&合唱団バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)が担い、題名役に大西宇宙、伯爵夫人に森麻季など、高い音楽性で知られる歌手陣を揃えた。 

本稿では、初日を前に行われたゲネプロの模様を紹介する。 

モーツァルト《フィガロの結婚》は、18世紀半ばのセビリア近郊、アルマヴィーヴァ伯爵邸を舞台に、主人と召使いという身分関係の中で展開する騒動を描いた作品である。このプロダクションでは、舞台を現代の架空のホテルに移した。伯爵はホテルのオーナー、フィガロはその部下、スザンナはコンシェルジュという設定である。
回り舞台の中央には、白木の柱と梁に屋根のような、壁のないセットが置かれており、舞台の回転とともに空間の見え方が変化する。
 

ホテル従業員たちの衣裳はピンクが基調。主要人物の衣裳は、カラフルな色使いのファンタジックなデザインだ。  

 

恋愛や誤解、策略が重なりながら、終幕では伯爵が伯爵夫人に赦しを乞い、伯爵夫人がそれを受け入れる。一同はアンサンブルの中で互いの愛を確かめながら、騒動の一日は静かに幕を閉じる。

18世紀という時代は、明確な階級制度によって成り立つ社会であり、《フィガロの結婚》も、その構造を物語の背景にしている。一方、ホテルという空間も、支配人や従業員、客といった役割が存在する組織ととらえることもできる。また、公式サイトのイントロダクションにもあるように、18世紀の階級制度、現代ならパワーバランスというように、人々の思惑が入り混じる状況は、時代が変わっても存在するものである。モーツァルトとダ・ポンテによるこの作品が長く上演され続けている理由は、そうした人間の姿がいつの時代にも共通しているからなのかもしれない。

(2026/03/15)