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Pick Up(2026/3/15)|東京室内歌劇場 オペラ「恐るべき子供たち」|長澤直子

東京室内歌劇場 オペラ「恐るべき子供たち」ゲネプロレポート
The Tokyo Chamber Opera Theatre “Les Enfants Terribles” 

 

2026年2月5日 練馬文化センター 小ホール
2026/2/5 Nerima Culture Center Small Hall 

 

Text&Photos by 長澤直子(Naoko Nagasawa) 

 

東京室内歌劇場 オペラ「恐るべき子供たち」
会場:練馬文化センター 小ホール
日時:2026年2月5日(木)16:00 開演(ゲネプロ取材:2月4日) 

 

指揮:中川賢一
演出:久恒秀典 

エリザベート:芝野遥香
ポール:藤田魁人
ジェラール:平野太一朗
ダルジュロス/アガート:長島有葵乃
ナレーター:月村丹生 

ピアノ1:前田美恵子
ピアノ2:大下沙織
ピアノ3:松本康子 

衣裳:西原梨恵
照明:山本創太(ASG)

 

 

ジャン・コクトーの同名小説を原作とし、アメリカの作曲家フィリップ・グラスが1996年に作曲したダンス室内オペラ「恐るべき子供たち」(Les Enfants Terribles)が、東京室内歌劇場によって日本初演された。指揮は中川賢一、演出は久恒秀典。フランス語上演、日本語字幕付きでの公演である。 

本稿では、公演前日に行われたゲネプロの模様を紹介する。


 

母を亡くした姉エリザベートと弟ポールは、世間から隔絶された部屋の中で、独自の秩序を築き、外界から切り離された世界に生きている。そこでは子供じみた遊戯と残酷な心理戦が入り混じり、互いに依存しながら閉じられた宇宙が形成されていた。そこへ友人ジェラールやアガートといった外部の人物が関わることで、均衡はゆっくりと崩れ始め、やがて破滅的な結末へと向かって行く。
グラスはこの物語を、四人の歌手とナレーター、3台のピアノという、極めて簡潔な編成で描き出した。音楽は持続的なリズムを繰り返しつつ、人物たちの関係の歪みを静かに増幅させて行く。 

 

今回の東京室内歌劇場の上演では、ダンスの要素はなく、舞台の中央に置かれた寝台を起点に物語が展開する。上層には別の空間が設けられ、階段によって上下の世界がつながりながらも、どこか断絶した印象を残す。 

 

一見すると青春の幻想を描いた寓話のように見えるこの作品だが、その核にあるのは、「愛」「嫉妬」「依存」「孤独」といった、極めて普遍的な人間の営みであった。 

(2026/03/15)