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私の10年 | 流れる時のなかで、書き留めること| 大田美佐子

流れる時のなかで、書き留めること

Text & photo by 大田美佐子 (Misako Ohta)

 

非商業的な、自由な志の集まったオンライン批評誌メルキュール・デザールが創刊10周年を迎えた。戦後80年の年に。戦争は残念なことに、過去のものにはなっていない。歴史が絶え間ない評価の変化に晒されていることを実感し、「記念」を超えて時は流れ続ける。

変化していくからこそ、書き留めることにも意味がある。自分の10年を振り返ると、メルキュールでは2015年10月の「チャイロイプリン『三文オペラ』ーオペラ的時間の崩壊」がデビュー。書き留めた舞台はどれも色褪せることなく、深く自分自身の脳裏に焼きついている。クリスチャン・レオッタ、オーケストラ新喜劇、KAATのマハゴニー、亡命者の忘れられた声、コロナ状況下にオンラインで観たリーズの七つの大罪、沢知恵のりゅうりぇんれんの物語、、。10年を迎えたメルキュールで、先月は久々に編集作業に携わり、あらためてこのメルキュール・デザールというプラットフォームのありがたさが身にしみた。(10/15)