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注目のコンサート|2019年6月

♩6/1 マウリシオ・カーゲル『アクースティカ』

マウリシオ・カーゲル(1931-2008)の歴史的実験作『アクースティカ』が上演される。現代音楽の精鋭6人が自らの「手作りの楽器」で演奏する、前衛・実験音楽の極北とも言えるこの作品は実際に体験せねば語ることはできまい。奇才・足立智美の『アクースティカですか』の世界初演がどういうことになるのかも注目だ。

6/1@愛知県芸術劇場小ホール
https://www-stage.aac.pref.aichi.jp/event/detail/000146.html

 

 

 

♩6/2 ラトヴィア放送合唱団

合唱大国ラトヴィアの最高峰、2年前の初来日での感動も記憶に新しい。今回は<ラトヴィア音楽&ブラームス「愛の歌」>というプログラム。その合唱の実力のほどが最大限に楽しめるラトヴィア音楽の多様な響きとともに、ブラームスのワルツ集「愛の歌」と、その続編「新・愛の歌」をあわせて披露。ピアノ連弾は今をときめく若武者津田裕也と北村朋幹とはワクワクものだ。

6/2@すみだトリフォニーホール
https://www.triphony.com/concert/detail/2019-01-003136.html

 

 

 

♩6/1〜16 サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン2019

例年6月にサントリーホールブルーローズで開催されているサントリーホール・チェンバーミュージック・ガーデンは2週間にわたる多彩な室内楽の饗宴。毎年異なる団体を招いてベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲を演奏することが定例化しており、SQファンはこの時を心待ちにしているだろう。
今年は今や中堅と言ってよいクス・クァルテットが登場するが、今回特筆されるべきは最終日である13日に現代作曲家のブルーノ・マントヴァーニによる『べートヴェニアーナ』が世界初演されることだろう。クス・クァルテットとサントリーホールの共同委嘱による本作品、題名から想像されるようにベートーヴェンへの何らかのオマージュとなっていよう。

6/2,5,8,11,13@サントリーホールブルーローズ
https://www.suntory.co.jp/suntoryhall/schedule/detail/20190602_S_2.html

9日、エラールの午后~第1回ショパン国際ピリオド楽器コンクール優勝者を迎えて~も注目。ホールが所有する1867年製のエラールを使用し、昨年おこなわれた第1回ショパン国際ピリオド楽器コンクールで優勝したリッテルのショパン独奏曲の数々とめったに実演にはおめにかかれない室内楽版によるピアノ協奏曲第2番が聴きもの。ショパンが活躍した当時の音色のピアノでショパンを聴く贅沢な休日を。

6/9@サントリーホールブルーローズ
https://www.suntory.co.jp/suntoryhall/schedule/detail/20190609_S_2.html

 

♩6/4 トリフォニーホール・グレイト・ピアニスト・シリーズ ピョートル・アンデルシェフスキ

完璧主義のピアニスト、アンデルシェフスキがトリフォニーホールのシリーズに登場。聴衆1人1人の心と彼のピアノが正対するかのような感覚を与える、稀有なピアニストである彼。ベートーヴェン、シューマンの晩年期の作品で、その鋭敏な造形感覚が如何に発揮されるか。

6/4@すみだトリフォニーホール 大ホール
https://www.triphony.com/concert/detail/2019-01-003137.html

 

 

 

♩6/4、5 ヴィオラスペース 2019

28年目の今回は5大陸、アジア、ヨーロッパ、アメリカ、南北アメリカ、オセアニアにちなみ「ヴィオラで巡る音楽の旅」。第1日のテーマは「イタリア」でベルリオーズからベリオまで。第2日は「世界一周」で、ヴィオラ12 、8、6重奏が上演されるのも期待大。日本初演のディーン『テスタメント』で佐々木亮と若手奏者が集うのも要注目だ。アフリカ、アイルランド、オーストラリアなどあまり耳にしない作品も新鮮で、毎回常に攻め続けるこの企画、お聞き逃しなく。

6/4@紀尾井ホール
6/5@上野学園メモリアルホール
大阪、仙台公演は5月。
5/30@ザ・フェニックスホール
5/31@宮城野区文化センターPaToNaホール
http://tvumd.com/program/detail/?event_code=violaspace&program_id=this_time

 

♩6/5,6,8,9 東京二期会 リヒャルト・シュトラウス《サロメ》

「二つのサロメ」シリーズの第2弾、マスネの《エロディアード》に続き、R.シュトラウスの《サロメ》を上演する。4月から読売日本交響楽団の常任指揮者に就任したセバスティアン・ヴァイグレが指揮にあたり、同楽団がピットに入る。ハンブルク州立歌劇場との共同制作、ヴィリー・デッカーの演出による舞台。二つのオペラの登場人物の役どころの違いや、二つのオペラの原作であるギュスターヴ・フローベールとオスカー・ワイルドの作品を知っておけば、より深く味わえるだろう。

6/5,6,8,9@東京文化会館
http://www.nikikai.net/lineup/salome2019/index.html

 

 

♩6/6 ヴォクス・ポエティカ コンサートシリーズ《La Conversation – 対話》第1回 テオルボとの対話

ソプラノの佐藤裕希恵とテオルボの瀧井レオナルドによるデュオ、ヴォクス・ポエティカによる日本でのコンサートシリーズがいよいよ本格始動する。日系ブラジル3世の瀧井はテオルボという音量のでない楽器にあつい情熱を注ぎこむ。2015年に国際古楽コンクール山梨にて第1位を受賞し、さらに研鑽を積んだ佐藤とのデュオは、歌と伴奏ではなく、まさにデュオ。必聴である。

6/6@近江楽堂
https://www.voxpoetica-duo.com/la-conversation

 

 

♩6/7 アポロン・ミューザゲート弦楽四重奏団

アルバン・ベルク四重奏団のギュンター・ピヒラーに師事、2008年ミュンヘンARD国際音楽コンクール優勝から10年と着実にキャリアを積むポーランド生まれの弦楽四重奏団。日本・ポーランド国交樹立100周年記念年に紀尾井の<クァルテットの饗宴2019>に登場だ。シューベルトの第1番、第15番の間にペンデレツキを挟み込んだ意欲的プログラム。今日のカルテットシーンを追うには必聴だろう。

6/7@紀尾井ホール
http://www.kioi-hall.or.jp/20190607k1900.html

 

 

♩6/8 日本フィルハーモニー交響楽団第711回東京定期演奏会

「日本・フィンランド外交関係樹立100周年記念公演」と題して、ヘルシンキ・フィル委嘱による湯浅作品と、指揮者として知られるエサ・ペッカ・サロネンのヴァイオリン協奏曲、そしてフィンランドに欠かせない作曲家シベリウスの組曲とフィンランド尽くしのコンサート。諏訪内のヴァイオリンソロも楽しみである。

6/8@サントリーホール
https://www.japanphil.or.jp/concert/23227

 

 

 

♩6/8 第57回大阪国際フェスティバル2019 リヒャルト・シュトラウス「サロメ」

今年の大阪国際フェスティバル、注目の一公演はシュトラウスの「サロメ」。病気療養のため降板となった尾高忠明に代わり、急遽シャルル・デュトワがタクトを取ることになった。サロメを歌うのは、ワーグナーのみならずシュトラウス作品でも定評のあるリカルダ・メルベート。さらに、福井敬、加納悦子、友清崇、望月哲也といった本邦オペラ界の精鋭たちが集う。演奏は大阪フィルハーモニー交響楽団。演奏会形式の上演だが、このメンバーならまさに歌と音楽そのものの饗宴をじっくり味わうことができそうだ。

6/8@フェスティバルホール
https://www.osaka-phil.com/schedule/detail.php?d=20190608

 

 

♩6/9,12,13 コンポージアム2019 フィリップ・マヌリを迎えて

毎年恒例のコンポージアム、今年はフランスからフィリップ・マヌリを呼んでの開催である。エレクトロニクスを駆使しつつも感情的・具象的・物語的なものを備えた彼の音楽が我々の耳にどのように響くのか傾聴したい。
9日は武満徹作曲賞本選演奏会、12日はマヌリの講演会、13日がフィリップ・マヌリの音楽。

6/9,12,13@東京オペラシティコンサートホール
http://www.operacity.jp/concert/compo/2019/

 

なお、11日に東京オペラシティリサイタルホールにて、フィリップ・マヌリ室内楽作品演奏会も開催される。

6/11@東京オペラシティリサイタルホール
https://www.kunitachi.ac.jp/event/concert/college/20190611_01.html

 

♩6/14 パーセル・プロジェクト2019-1

カウンターテナーの青木洋也が中心となり立ち上げたパーセル・プロジェクト、今年で10周年をむかえる。その記念演奏会が6月と10月に予定されている。この日は「様々なアンセム」と題し、イギリス国教会の聖歌であるアンセムを声楽とオルガンで演奏する。10年の間に多くの若手演奏家、オペラで活躍している人、バッハ・コレギウム・ジャパンといった古楽団体で活動している人が新たに加わり、プロジェクトも充実してきている。10月には、第1回で演奏した歌劇《アーサー王》が予定されている。こちらも楽しみである。

6/14@日本福音ルーテル東京教会
https://www.officearches.com/special/青木洋也-purcell-project/

 

 

♩6/14 関西フィルハーモニー管弦楽団第302回定期演奏会

「欧和饗宴」と銘打ったプログラム。今年生誕90年を迎えた黛敏郎、矢代秋雄と、没後30年を迎えた芥川也寸志による作品を並べる。だが、単なるヨーロッパと日本の対比だけではつまらない。新たな元号とともに時代の変わり目を迎えた今だからこそ、聞き逃せない音楽会でもある。というのも、これら「昭和」の巨人達に挑むのは、平成、そして令和の時代の日本音楽界を牽引すると思しき二人の若手の俊英、鈴木優人(指揮)と小菅優(矢代のピアノ協奏曲独奏)。まさに、古き時代と新しき時代が音楽を通じて交差する瞬間となる。貴重なこの機会をぜひ、生で味わいたい。

6/14@ザ・シンフォニーホール
https://kansaiphil.jp/concert/#concert20190614

 

♩6/19,20、22 NHK交響楽団 第1917回 定期公演 Bプログラム 他

メシアンの代表作の一つ、《トゥランガリラ交響曲》。NHK交響楽団は、メシアン立ち合いのもとで行われた1962年の特別演奏会(小澤征爾指揮)の後、1985年外山、1988年サロネン、1998年デュトワ、2008年メルクル、2011年プレヴィンと定期公演で演奏を行ってきた。今回、パーヴォ・ヤルヴィが8年ぶりにとりあげる。独奏には、ピアノのロジェ・ムラロ、オンド・マルトノのシンシア・ミラーが加わる。名指揮者による名演が続いてきたNHK交響楽団によるこの曲の演奏史に新たな1ページが加わる。この後、N響オーチャード定期でも同じプログラムが予定されている。

6/19,20@サントリーホール
http://www.nhkso.or.jp/concert/concert_detail.php?id=834
http://www.nhkso.or.jp/concert/concert_detail.php?id=835
6/22@オーチャードホール
https://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/nkyo/18_19/104.html

 

♩6/20 広島交響楽団 Music for Peace Concert in Hiroshima

日本・ポーランド国交樹立100周年を記念するこの公演、もちろん注目は、母国ポーランドのみならず20世紀作曲界の巨匠でもあるペンデレツキの音楽。指揮者としても名高い彼が、2つの自作品(《平和のための前奏曲》、《ヴァイオリン協奏曲第2番「メタモルフォーゼン」》)のほか、ベートーヴェンの第8交響曲を指揮する。ソリストは庄司紗矢香。ペンデレツキといえばとりわけ広島にゆかりの深い大家だけに、当地で彼の音楽を堪能できるこの機会は決して見逃せないだろう。

6/20@広島文化学園HBGホール
http://hirokyo.or.jp/concert/list

 

 

♩6/22 紀尾井ホール室内管弦楽団 第117回定期演奏会

BCJとの長年の活動に加え、国内外のアンサンブルやモダンオケ客演でも鮮烈な印象を与える鈴木雅明。国内屈指の名手が構成する紀尾井ホール室内管への登場はこれが初だという。顔合わせに彼が選んだ曲目はモーツァルト、バルトーク、ストラヴィンスキー。後半「プルチネルラ」の声楽陣にはBCJと頻繁に共演する顔ぶれも揃う。各時代・作曲家の様式を適切に描き分ける鈴木の手腕が発揮されるだろう。

6/21,22@紀尾井ホール
http://www.kioi-hall.or.jp/20190622k1400.html

 

 

♩6/23 京都市交響楽団 東京公演

関西の雄であるばかりでなく、国内でも最高峰のアンサンブルとして成長を続ける京都市交響楽団。2年ぶりとなる来日公演はラフマニノフ「交響的舞曲」をメインに据えたプログラムで、前回同じ作曲家の「交響曲第2番」で破格の名演を聴かせた彼ら故に期待は大きい。前半ではコルンゴルトの瀟洒な「ヴァイオリン協奏曲」を五嶋龍が弾く。

6/23@サントリーホール 大ホール
https://www.kyoto-symphony.jp/concert/detail.php?id=697&y=2019&m=6

 

 

 

♩6/25 福士則夫作品展 1974年から現在(いま)へ

現代日本音楽史上の偉人・福士則夫の1974年の作品1作と、2012年から2019年までの最近作5作を並べた意欲的なコンサート。40年の歳月は彼と我々の何を変え、何が変わらずにいるのかを耳と心で感じ取りたい。
なお、この演奏会はクラウドファンディングの成功によって実現した。

6/25@東京文化会館小ホール
https://readyfor.jp/projects/noriofukushi-koten

 

 

 

♩6/26 ニュウニュウ ピアノ・リサイタル

12歳で日本デビューの神童も今や21歳、5年ぶりの日本ツアーだ。ジュリア-ドに学び、近くはTVアニメ『ピアノの森』でパン・ウェイ役の演奏担当、ファンを広げている。ショパンの即興曲、ピアノソナタなどの他シューベルト、メンデルスゾーン、リストとポピュラーなプログラムの中に彼の進化を聴きとりたい。

6/26@浜離宮朝日ホール
https://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/event/2019/06/event1378.html

 

 

 

♩6/28 ハチャトゥリアン コンチェルツ

『剣の舞』『仮面舞踏会』などで知られるものの、同時代のプロコフィエフやショスタコーヴィチに比べると出番がそう多くないハチャトリアン。その独特の魅力を放つ全3作の協奏曲が勢ぞろいのプログラム。川瀬賢太郎率いる神奈川フィルに石坂団十郎vc、佐藤卓史pf、郷古廉vnと若手精鋭が並ぶ豪華な顔ぶれ。それぞれの楽器とソリストで三者三様の世界が現出すること間違いなし。楽しみだ。

6/28@横浜みなとみらいホール
http://www.yaf.or.jp/mmh/recommend/2019/06/post-287.php

 

 

 

♩6/28、29 山形交響楽団 さくらんぼコンサート2019

古典での古楽器・ナチュラルブラスによる演奏が代名詞の山形交響楽団の6月定例「さくらんぼコンサート2019」は、このたび常任指揮者に就任した阪哲朗が率いての華麗なオペラ・プログラムを披露する。モーツァルトの古典美で山響らしい古典美を堪能、さらにドラマティックなヴェルディで森麻季、大西宇宙の歌声を楽しめる一夜となった。ロビーではもちろん、特産のさくらんぼなど物産展を開設と、山形の魅力全開だ。
6/28@東京オペラシティ コンサートホール
http://www.yamakyo.or.jp/concert/2019/06/concert_1946.html#info
6/29@ザ・シンフォニーホール
http://www.yamakyo.or.jp/concert/2019/06/concert_1947.html#info

Back Stage|躍動する山響!

 

♩6/28、29 調布国際音楽祭2019モーツァルト:後宮からの誘拐

今年で7年目の開催となる調布国際音楽祭(2017年より現在の名称に変更)。バッハ・コレギウム・ジャパンが本音楽祭限定のプログラムで贈る演奏会や、フェスティバル・オーケストラの演奏会など注目公演が並ぶ。昨年の「劇場支配人」に続くモーツァルトのオペラは「後宮からの誘拐」で、指揮の鈴木優人が太守セリムも演じるのも見どころ。独唱にも選りすぐりの歌い手が顔を揃える公演だ。

6/28,29@調布市文化会館たづくり くすのきホール
http://chofumusicfestival.com/cmf2019/home/opera-matinee/