撮っておきの音楽家たち|ゲンナジ・ロジェストヴェンスキー|林喜代種
ゲンナジ・ロジェストヴェンスキー(指揮者)
2016年9月24日 東京芸術劇場
photos & text by 林喜代種(Kiyotane Hayashi)
チャイコフスキーの「白鳥の湖」「眠りの森の美女」「くるみ割り人形」の三大バレエ名曲選と銘打ち、ロシアの名匠ゲンナジ・ロジェストヴェンスキーが指揮する読売日響の演奏会が行われた。
ロシアのバレエ音楽を知り尽くしたロジェストヴェンスキーが名曲の数々をうっとりするような夢の世界へと聴衆を誘った。
ロジェストヴェンスキーは2012年以来4年振りの来日。読売日響とは1979年の初共演から35年以上にわたって指揮をしている。
ゲンナジ・ロジェストヴェンスキーは1931年モスクワ生まれの85歳。長い指揮棒を用いて華麗な演奏を繰り広げることで有名である。指揮台の魔術師とも呼ばれている。父親は有名なニコライ・アノーソフとの混乱を避けるために母親の旧姓をもらい受ける。20歳の時、ボリショイ劇場でチャイコフスキーのバレエ音楽「眠りの森の美女」を指揮してデビュー。ソ連邦の作曲家の作品だけでなく、ブリテンのオペラ「夏の夜の夢」をロシア初演する。
1969年ピアニストのビクトリア・ポストニコワと結婚。今回の来日でもショスタコーヴィチのピアノ協奏曲をロジェストヴェンスキー指揮読売日響で共演している。
1970年代後半から西側での活動が増えた。が、当時西側への亡命が相次いだため、当局は1983年ソ連文化省交響楽団を創設し、ロジェストヴェンスキーを音楽監督に任命。ソ連崩壊と共に自然消滅するまでの間、ショスタコーヴィチとグラズノフの交響曲全集のほか、シュニトケ、オネゲル、ヴォーン=ウイリアムスの作品などの演奏・録音などを行った。1959年ボリショイ・バレエ団と共に初来日。1972年大阪でモスクワ放響によるショスタコーヴィチの「交響曲第15番」をソ連以外で初演する。1990年読売日響の名誉指揮者に就任。