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Pick Up (2023/8/15)|東京二期会オペラ劇場《椿姫》|藤堂清  

東京二期会オペラ劇場《椿姫》
Tokyo Nikikai Opera Theatre, La Traviata

2023年7月12日 東京文化会館大ホール(ゲネプロ)
2023/7/12 Tokyo Bunka Kaikan Main Hall (General Probe)
Text by 藤堂清 (Kiyoshi Tohdoh)
Photos by 林喜代種 (Kiyotane Hayashi)

二期会の《椿姫》のゲネプロを取材した。

2020年に制作されたプロダクションの再演、原演出は原田諒、再演演出は澤田康子。装置、衣装、照明、振付は前回を引き継いでいる。短い間隔をおいての再演であり、演出上は大きな変更は見られない。
第1幕、第2幕第1場を前半、第2幕第2場と第3幕を後半とする二幕仕立て。椿の花をかたどった舞台装置、幕が進むにつれその花びらが次第に減って寂しくなっていく。後半は大きな鏡が舞台後方につり下げられ、上空から見る舞台中央の人の動きが客席から見えるようになる。

音楽面では、イタリアの指揮者ジャコモ・サグリパンティが振った前回とは異なる印象を受けた。今回の指揮者はイギリス出身のアレクサンダー・ソディー。現在、ドイツ、マンハイム国立劇場の音楽総監督を務めている。またバイエルン州立歌劇場やベルリン州立歌劇場、ウィーン国立歌劇場でも活躍。今回が日本でのオペラ・デビュー。
サグリパンティがイタリアの伝統に根差した音楽作りを中心としていたのに対し、ソディーはより自由な発想で指揮にあたっているように感じた。テンポも速めで、音のメリハリをしっかりつけていた。読売日本交響楽団のガッチリした響きもソディーの音楽の傾向を支えるもの。
ゲネプロのみの聴取であるので、細かな評価は控えるが、ヴィオレッタの種谷典子、アルフレードの山本耕平、二人の充実した歌は、今後の活躍を期待させるものであった。

(2023/8/15)

<スタッフ>
指揮:アレクサンダー・ソディー
再演演出:澤田康子
装置:松井るみ
衣裳:前田文子
照明:喜多村 貴
振付:麻咲梨乃
原演出:原田 諒
合唱指揮:佐藤 宏
舞台監督:村田健輔
公演監督:大島幾雄
公演監督補:澤畑恵美

<キャスト>
ヴィオレッタ:種谷典子
フローラ:郷家暁子
アンニーナ:磯地美樹
アルフレード:山本耕平
ジェルモン:黒田 博
ガストン:岸浪愛学
ドゥフォール:髙田智士
ドビニー:北川辰彦
グランヴィル:三戸大久
ジュゼッペ:岩鶴優太
仲介人:宮下嘉彦
ダンサー:内山智恵/輝生かなで/鈴木萌恵/千葉さなえ/玲実くれあ
     岩下貴史/岡崎大樹/上垣内 平/谷森雄次/宮澤良輔
合唱:二期会合唱団
管弦楽:読売日本交響楽団