撮っておきの音楽家たち|ファブリス・ミリシェー|林喜代種
ファブリス・ミリシェー(トロンボーン奏者)
2019年1月29日 武蔵野市民文化会館小ホール
photos & text by 林喜代種(Kiyotane Hayashi)
ファブリス・ミリシェーが最も注目を浴びたのは2007年ミュンヘン国際コンクールでの優勝である。1950年に始まって以来このコンクールのトロンボーン部門での優勝者がでたのは彼が初めての快挙である。1985年フランスの音楽一家に生まれる。早くからトゥールーズにおいて音楽を学び始める。当初よりピアノ、チェロ、トロンボーンを並行して学ぶ。その全てにおいて、高校時代より非凡な才能を発揮する。やがてトロンボーンをリヨン音楽院に於いてミシェル・ベッケ、アラン・マンフラン、ダニエル・ラサールに師事する。またチェロも引き続き研鑽を極め、パリにてフィリップ・ミュレール、ロラン・ピドゥ、グザビエ・フィリップに師事する。
2005年ブダペスト国際トロンボーン・コンクール、2006年トゥールーズ・バロック・トロンボーンコンクールにて入賞。そして2007年難関のミュンヘン国際コンクールで部門史上初の栄冠を獲得する。
以来ソロ、協奏曲で世界で活躍。ジョルディ・サバ―ル率いるル・コンセール・デ・ナシオン、ダニエル・ラサールとジャンピエール・カニャック率いるル・サクブティエ・ド・トゥールーズ、ジャーマン・ブラスなど多くのアンサンブルと共演している。
2011年フランス最大の音楽賞「ヴィクトワール・ド・ラミュジーク」にて最優秀若手音楽賞をトロンボニストとして初めて受賞。2008年よりパリのポール・デュカス音楽院、2009年よりザール音楽大学教授に就任。現在フライブルク音大、パリ高等音楽院教授を務める。
2013年1月トランペットのマヌエル・フランコとのジョイント公演で日本のファンを驚嘆させた。2014年6~7月単独で来日し多彩な演目を披露する。またザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団首席奏者として活躍。今回の公演はNHKのTV収録があり注目の公演となった。音やフレーズのつながりが信じがたいほどスムーズで並の表現力でなく、かつ若さ溢れる力強い演奏で聴衆を魅了した。
(2019/2/15)