撮っておきの音楽家たち|ピーター・ウィスペルウェイ|林喜代種
ピーター・ウィスペルウェイ (チェロ奏者)
2018年1月10日 トッパンホール
photos & text by 林喜代種 (Kiyotane Hayashi)
今年、ニューイヤー・コンサートとしては特異な企画のプログラムを組んだのはトッパンホール。それは3人の名手による「無伴奏コンサート」。その一番手に登場したのが古楽器とモダン楽器を自在に弾き分ける、チェロ奏者のピーター・ウィスペルウェイである。
今回プログラムの最初はJ.S.バッハの無伴奏チェロ組曲第5番。J.S.バッハの無伴奏チェロ組曲全6曲の中で最も難しいと言われ、かつ聴衆が望む曲である。二曲目はブリテンの無伴奏チェロ組曲第3番。これはロストロポーヴィチのために書かれた3曲のうちの最後の曲。はじめに曲の説明とその試奏をして演奏に入る。2011年の演奏会で好評だった内の1曲。最後の曲はコダーイの無伴奏チェロ・ソナタ。「孤高のチェリスト」言われているウィスペルウェイを再認識する演奏を繰り広げる。
1962年9月25日、オランダのハ―ルレムに生まれる。はじめはピアノを学が、8歳の時にチェロに転向する。アムステルダムで ディッキ―・ブーケとアンナ―・ビルスマの指導を受ける。その後アメリカでポール・カッツ、イギリスでウィリアム・プリースの薫陶を受ける。
録音も多い。1990年J.S.バッハの無伴奏チェロ組曲をチャンネル・クラシック・レーベルに録音して以後、同レベルから録音をリリースし続けている。
1992年オランダ音楽賞を贈られている。チェロ奏者としては初である。J.S.バッハの無伴奏チェロ組曲全曲を1989-90年、1998年、2012年の3回レコーディングしている。3度目はバロック・チェロを用いて録音。
(2018/2/15)