撮っておきの音楽家たち|ベルナルト・ハイティンク|林喜代種
ベルナルト・ハイティンク(指揮者)
2015年10月05日 東京文化会館
text by 林喜代種(Kiyotane Hayashi)
1926年3月アムステルダム生まれ。今年86歳の世界的な指揮者である。ロンドン交響楽団を率いての3年ぶりの来日公演である。この日のプログラムはパーセルの「メアリ女王のための葬送音楽」、ベートーヴェンの「ピアノ協奏曲第1番」(マレイ・ペライアpf)、ブラームスの「交響曲第1番」。大きな振りはないが指揮台に立っているだけで大きな存在感を表わしている。淡々とした指揮ぶりであるが出てくる音楽は感銘を与える。ハイティンクと言うとアムステルダム(ロイヤル)・コンセルトヘボウ管弦楽団というイメージがある。31歳で音楽監督を任されたのが1961年。そのコンセルトヘボウと1962年に初来日。同楽団が創設百周年を迎えた1988年までの27年間音楽監督を務め、世界的な巨匠として名声を得る。現在まで世界の音楽祭やオーケストラ、オペラの音楽監督を多く務めてきた。今年4月から5月にかけてアメリカのボストン交響楽団に客演した。ロンドン交響楽団とは2012年の公演以来3年ぶりの来日である。その真摯な指揮は大きな感動を与えた。演奏中立ちっぱなしでその端正な指揮姿は美しかった。