Menu

Pick Up (2025/3/15)|ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2025 記者会見レポート| 長澤直子

ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2025 記者会見レポート──音楽の発展に貢献した都市とその時代にフォーカス 

「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2025」概要発表記者会見
“La Folle Journée Tokyo 2025” Press Conference
2025年2月13日 東京国際フォーラム
2025/2/13  Tokyo International Forum  

Text&Photos by 長澤直子(Naoko Nagasawa) 

主催:ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2025 運営委員会(三菱地所株式会社/株式会社東京国際フォーラム/株式会社KAJIMOTO) 

※各画像はクリックで拡大表示   

去る2月13日、東京国際フォーラムにて「ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2025」の概要を発表する記者会見が開かれた。会見には、アーティスティック・ディレクターのルネ・マルタンらが登壇し、全プログラムの発表とアーティストの紹介がなされた。 

 今年のテーマは「Mémoires(メモワール)―音楽の時空旅行」。音楽の発展に大きな貢献を果たした5つの都市とその時代にフォーカスする。テーマの中心となる都市と時代は以下だ。 

ヴェネツィア(1600–1750)
ロンドン(1700–1800)
ウィーン(1750–1900)
パリ(1870–1940)
ニューヨーク(1920–2020)

これらの街にゆかりの深い音楽家とその作品を中心としたプログラムが組まれている。都市ごとに注目される公演として、以下のようなものがある。 

【ヴェネツィア】1600年から1750年まで、西洋音楽の中心地であったヴェネツィア。この時代に新たな音楽形式がヴェネツィアで誕生し、後の西洋音楽に多大な影響を与えることになる。中でもヴィヴァルディの「四季」は、ヴァイオリン史上に残る革命的な作品だ。この「四季」を多彩なスタイルで聴き比べる。
オリヴィエ・シャルリエによる定番の「四季」
フランスの新進気鋭ヴァイオリニスト、ルカ・ファウリーシによる「四季」になぞらえたオリジナルプログラム
渋さ知らズオーケストラによる、四季を中心としたプログラム
オルケスタ・ナッジ!ナッジ!による、四季を中心としたプログラム 

【ロンドン】18世紀前半に経済に潤うロンドンが、バロック音楽・前古典派音楽の中心地となり、ヨーロッパ各地の音楽家たちを引き寄せた。とりわけドイツ出身の作曲家ヘンデルが、40年にわたりロンドンの音楽シーンをリードする。
バロック音楽の名手鈴木秀美が指揮者としてLFJに初登場し、横浜シンフォニエッタ&東京混声合唱団とオール・ヘンデルプログラムを披露
ルネ・マルタン一推しのヴァイオリニスト、リヤ・ペトロヴァが再登場し、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を演奏
交響曲の父ハイドンがイギリス訪問時に作曲した交響曲第104番「ロンドン」と、モーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」を組み合わせた名曲プログラム 

【ウィーン】18世紀半ばには、楽都としてウィーンが台頭し、ハイドンとモーツァルトが古典派の黄金期を築く。続く古典派からロマン派への転換期をウィーンで過ごしたベートーヴェン。その後も20世紀初頭まで、ウィーンは音楽の中心地として誇る。
稀代のベートーヴェン弾きと言われるフランソワ=フレデリック・ギィによる、ピアノ協奏曲「皇帝」
ケンショウ・ワタナベのタクトで、小林愛実によるローベルト・シューマンのピアノ協奏曲とダヴィッド・カドゥシュによるクララ・シューマンのピアノ協奏曲
辻彩奈、瀧本麻衣子、伊東裕、水野斗希、阪田知樹による、シューベルトのピアノ五重奏曲「ます」
リヤ・ペトロヴァ、アレクサンドル・クニャーゼフ、フランソワ=フレデリック・ギィ、ドミトリー・マスレエフらのトリオで、ベートーヴェンやシューベルトのピアノ三重奏曲
福間洸太朗による、ウィーン時代をテーマにしたリサイタル

【パリ】1920世紀の転換期に、世界中の優れたアーティストたちはパリに集結した。その”光の都”ことパリが西洋音楽史上の主要な舞台となる。
ジョシュア・タン率いる神奈川フィルハーモニー管弦楽団による、ラヴェルのツィガーヌ、デュカスの魔法使いの弟子、ドビュッシーの海などフレンチ名曲プログラム
今年大注目のアンサンブル・レザパッシュによる独創的なコンサート
群馬交響楽団が、注目の若手ギタリスト、ラファエル・フイヤートルと名曲「アランフエス協奏曲」、レミ・ジュニエとファリャの交響的印象「スペインの庭の夜」で共演
リオ・クオクマンと東京シティフィルハーモニック管弦楽団によるオール・ラヴェル・プログラム
林英哲と英哲風雲の会による、LFJナント・LFJ東京で大きな話題となった作品「レオナールわれに羽賜べ」を披露

【ニューヨーク】一方大西洋を隔て、20世紀のニューヨークは、世界の音楽シーンの震源地の一つとなる。多数のジャズミュージシャンを送り出してきたニューヨークはミュージカル発祥の地でもある。その懐の深さによって、限りなく多様な音楽スタイルを受け入れる。
今年のLFJのファイナルコンサートは、国内外のアーティストたちが競演する。ガーシュウィンのピアノ協奏曲ヘ調をジャズ・ピアニスト山中千尋の演奏で。話題のサックス・カルテットエリプソス四重奏団は、ワクスマンのアルテミスへの夢(管弦楽版)を日本初演。ポール・レイトリオによる、ラプソディ・イン・ブルーのオリジナル版も聴ける。

この他にも、サンクトペテルブルク、ライプツィヒ、プラハ、ブダペストの各都市にスポットを当てたプログラムなど、有料公演の総数は90公演。
更に関連プログラムとして、地上広場やホールEでのキオスクコンサートなどの無料公演も行なわれ、公演総数は約250にのぼる。まさにお祭り感覚の音楽祭と言えよう。

主要会場には東京国際フォーラムのホールAB5(1)CD7G409が使用され、それぞれに、各都市を代表する建造物の名前(エッフェル,シェーンブルンなど)が付けられているのもユニーク。

また、新たな試みとして、ホールB7で開催される「LFJ STRINGS EXPO(LFJストリングス エクスポ)」がある。これは、国内外のさまざまな弦楽器(ヴァイオリン、チェロ、コントラバスなど)を「見る・触れる・聴く」弦楽器体感イベントだという。


ラ・フォル・ジュルネ
TOKYO 2025
https://www.lfj.jp/lfj_2025/
202553日(土・祝)・4日(日・祝)・5日(月・祝)
東京国際フォーラム、大手町・丸の内・有楽町、東京駅、京橋、銀座、八重洲、日比谷、みなとみらい 

(2025/3/15)

Menu