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撮っておきの音楽家たち|アレクサンダー・ガジェヴ|林喜代種

アレクサンダー・ガジェヴ(ピアノ奏者)
 Alexander Gadjiev, Pianist

2022年6月29日 東京オペラシティコンサートホール
Photos & Text by 林喜代種(Kiyotane Hayashi)

 

リハーサルで現れたガジェヴはブルージーンズのラフなスタイル。長髪の細面の顔には豊かなヒゲを蓄えている。ラフな格好とは違いピアノから聞こえる音楽は人を惹きつける繊細なピアニズム。こちらの注文にも最後まで快く応じてくれる好人物。
このピアニストが第18回(2021年)ショパン国際コンクールで第2位入賞。 合わせてクリスチャン・ツィメルマン賞(ソナタ最優秀演奏賞)を受賞。その3か月前の7月にはシドニー国際ピアノコンクールで優勝。2015年第9回浜松国際ピアノコンクールで優勝及び聴衆賞を受賞。2018年モンテカルロ・ワールド・ピアノ・マスターズで優勝。2019/2022年BBCニュージェネレーション・アーティストに選抜されるなど若い世代における世界のトップを走り続けている。
この日の演奏曲目は、前半はショパンの前奏曲Op.45 ポロネーズ第5番、ピアノ・ソナタ第5番「葬送」、後半はシューマンの幻想曲ハ長調。余裕を持って15分ほどアンコールに応えて演奏。
これまでにワレリー・ゲルギエフ、ユーリ・テミルカ―ノフ、アントニ・ヴィット、井上道義、山田和樹等と共演。マリンスキー劇場管、ワルシャワ・フィル、BBCフィル等と共演。ヴェルビエ音楽祭、オールドバラ音楽祭の参加。
アレクサンダー・ガジェヴはピアノ教師、音楽家の両親のもとにイタリアのゴリツィアに生まれる。ゴリツィアはスロベニアとの国境に程近い。この地は多様な文化、言語と人々がごく自然に交差しているところ。そこで育ったガジェヴは様々な音楽言語および音楽様式を貪欲に吸収し、多大な影響を受けた。それが彼の今の想像力あふれる音楽性につながる。今後の予定ではハレ管、ミラノ・ヴェルディ管との共演が決まっている。

(2022/8/15)