撮っておきの音楽家たち|中川優芽花 |林喜代種
中川優芽花(ピアニスト)
Yumeka Nakagawa, Pianist
2022年3月15日 武蔵野市民文化会館小ホール
Photos & Text by 林喜代種(Kiyotane Hayashi)
中川優芽花はドイツに生まれ育った20歳の日本人ピアニスト。今年3月に日本デビューを飾った。
2001年ドイツのデュッセルドルフに生まれる。2021年19歳でクララ・ハスキル国際ピアノコンクールに優勝。クララ・ハスキル国際ピアノコンクールはピアニストの登竜門として知られており、2・3位無しで1位のみ選ばれるコンクールである。クリストフ・エッシェンバッハ、内田光子、ミッシェル・ダルベルトなど数々の世界の重鎮を輩出し、日本人では中川優芽花含め、坂上博子、藤田真央、河村尚子の4人が優勝している。2021年は坂上博子、河村尚子が審査員を務めた。
中川優芽花は2019年ロベルト・シューマン国際コンクール、2018年イェーネ=タカーチ国際コンクールでも優勝。2014年にはワイマールで開催された「若いピアニストのためのフランツ・リスト国際コンクール」では第2位。また2014年ドイツの青少年音楽コンクールで満点及び第1位となりカール・ベヒシュタイン財団の奨学金を獲得。ドイツ各地のオファーを受け演奏をするようになる。2019年以降ロンドンのウィグモアホール、デュッセルドルフのトーンハレ(ゾイ・ツォカヌー指揮デュッセルドルフ響)、ワイマールハレ(マルクス・レ・フランク指揮イエナ・フィル)等で演奏。また第16回マリンスキー国際ピアノ・フェスティバルに招待された。来シーズンはクリスティアン・ツァハリアス指揮ホーフ交響楽団とベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番、クリスティアン・ツァハリアス指揮ポルト・カーザ・ダ・ムジカ管とモーツァルトの2台のピアノのための協奏曲を演奏予定。またクララ・ハスキル国際ピアノコンクールの開催地ヴヴェイのヴヴェイ・クラシック・フェスティバルにてリサイタルを予定。
2012年~2018年デュッセルドルフのロベルト・シューマン音楽大学にてバーバラ・シュチェンパンスカのもとで音楽教育を受け始める。ロンドンのパーセル音楽院ではウィリアム・フォンに学ぶ。2021年からはワイマールのフランツ・リスト音楽大学に於いてグリゴリー・グズルマン教授のもとで研鑽を積んでいる。
今回のリサイタルでは若さとロマンに溢れるピアノ曲の名作、チャイコフスキーのドゥムカ、シューマンのフモレスケ、リストのドン・ジョバンニの回想、モーツァルトのピアノ・ソナタ第3番などを手堅く演奏。服装と同じく気取らない演奏が印象的だった。
(2022/4/15)