撮っておきの音楽家たち|レオニダス・カヴァコス|林喜代種
レオニダス・カヴァコス(ヴァイオリニスト)
Leonidas Kavakos, violin
2021年10月20日 東京オペラシティコンサートホール
2021/10/20 Tokyo Opera-city Concert Hall
Photos & Text by 林喜代種(Kiyotane Hayashi)
ギリシャのヴァイオリニストのレオニダス・カヴァコスが来日公演を行なった。ベートーヴェン、ブラームス、J.S.バッハの3大 「B」 3年連続の演奏会を企画していたのが、昨年からのコロナ禍の影響でベートーヴェンが延期となり、今年のブラームスが実質的に第1回目となった。
今回は協奏曲とリサイタルを行なった。リサイタルではブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番、第2番、第3番を順に演奏、萩原麻未のピアノと息の合ったところを披露した。また94歳のヘルベルト・ブロムシュテット指揮のNHK交響楽団とはブラームスのヴァイオリン協奏曲を演奏。この「撮っておき」はそのリサイタルでのもの。
カヴァコスは現代最高のヴァイオリニストとして、その完成度の高い演奏で世界的な賞賛と注目を集めている。21歳でシベリウス、パガニーニ、ナウムブルクなどの国際コンクールを制覇。またシベリウスのヴァイオリン協奏曲のオリジナル版と現行版による録音はセンセーショナルな話題となり1991年グラモフォン協奏曲賞を受賞する。その後ウィーン・フィル、ベルリン・フィル、といった有数のオーケストラとの共演、ヨーヨー・マ、ユジャ・ワン、エマニュエル・アックスといった仲間たちとの室内楽リサイタル、ベルリン・フィル、ニューヨーク・フィルなど数多くのオーケストラにシーズンを通してレジレントアーティストとして招かれている。また指揮者としても活躍していて、弾き振りもやっている。
彼はインタビューに答えて、「私たちはコロナ禍で歩くペースを落としても幸せに生きられる。権力の側の人々は音楽を時間を埋めるエンターテインメントとしかとらえていないことも知った」「古典は危機の時代の灯台になりうる」と言っている。
このプロジェクトの2022年10月はJ.S.バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ全曲演奏会を予定している。
長髪のストイックな感じのカヴァコスの演奏スタイルがとても印象的だった。
(2021/11/15)