注目のコンサート|2020年7月~8月
ラ・フォンテ・ヴェルデが4月に開催を予定していた公演の振替公演。厚生労働省のガイドライン等をふまえ、座席数を減らし、代わりに公演回数を増やすなど万全の体制でのぞむ。モンテヴェルディなどではなくルカ・マレンツィオのマドリガーレを持ってくる意欲もさりながら、近江楽堂で字幕公演というところを買いたい。
7/28@近江楽堂
昼公演14:30:完売。夕公演17:00:(追加)。夜公演19:30:(残席あと僅か)
http://www.lafonteverde.com/page_20190102150425
広島交響楽団が毎年8月に開催している「平和の夕べ」コンサート。ベートーヴェン・イヤーの今年は「第九」とともに、19歳で被爆死した少女のピアノを題材にした藤倉大のピアノ協奏曲を世界初演する予定であった。が、コロナ・ウィルス感染拡大予防のために内容を大きく変更。「第九」を取りやめ、昨年逝去したペンデレツキや、マーラーの「亡き子をしのぶ歌」などをプログラミング。一方、ピアノ協奏曲の初演は当初予定されていたアルゲリッチに代わり、広島出身の萩原麻未が務めることに。コロナ禍とともに迎える被爆75年目の広島だからこそ、いずれも意義深い演奏となりそうだ。また、6日の公演については無料ライブ配信も行われる。
8/5,6@広島文化学園HBGホール
http://hirokyo.or.jp/news/16276.html
日本センチュリー交響楽団のハイドンマラソン20は<エステルハージ家のハイドン1~働き盛りのハイドン>で、交響曲第33番、第36番、第48番「マリア・テレージア」にジョリヴェ「ファゴット協奏曲」というラインアップ。首席指揮飯森範親による一大マラソンプロジェクト、コロナ禍からの再開第2弾となる。ファゴットに安井悠陽を迎えてのジョリヴェも楽しみ。
8/7@ザ・シンフォニーホール
https://www.century-orchestra.jp/concert/hm20/
第25回五島記念文化賞受賞者山本耕平の研修成果発表リサイタル。2014年6月よりイタリア・マントヴァを拠点に学ぶ。2009年第55回東京芸術大学オペラ定期公演『イドメネオ』イドメネオ役にてオペラデビュー。『コジ・ファン・トゥッテ』『運命の力』『椿姫』などのほか、2014年東京二期会『ドン・カルロ』タイトルロールで出演。海外研鑽の成果が楽しみだ。
8/8@東京文化会館小ホール
https://www.t-bunka.jp/stage/5696/
4月5日に予定されていたアミティ・カルテットの振替公演。シューベルト『ロザムンデ』とベートヴェンの第14番が現代音楽で目覚ましい活躍を見せている4人によってどのような相貌を見せるのか、とくと拝聴したい。
8/16@JTアートホールアフィニス
http://www.tokyo-concerts.co.jp/concerts/200405/
♩8/22 神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会 みなとみらいシリーズ第362回
ドイツで活躍、マーラーで注目された指揮者ガブリエル・フェルツを迎えての定期はベートーヴェンイヤーということでベートーヴェン2曲。うち「ピアノ協奏曲ニ長調」はヴァイオリン協奏曲を本人がピアノに編曲したもので、演奏されるのは珍しく、大きな聴きどころといえよう。2018年ゲザ・アンダ国際コンクール優勝のクレア・フアンチpfも話題だ。他にラフマニノフ/交響的舞曲という組み合わせ。
8/22@横浜みなとみらいホール
https://www.kanaphil.or.jp/concert/1305/
♩8/22~30 サントリーサマーフェスティバル2020
8/24,25,28 テーマ作曲家イザベル・ムンドリー公演中止
毎年恒例のサントリーサマーフェスティバルの季節がやってきた。今回のプロデュサー・シリーズには一柳慧が招かれるも、回顧展などではなく日本の中堅作曲家を中心とした「2020東京アヴァンギャルド宣言」を謳う(8/19にプレイベントがSUPER DOMMUNE(渋谷パルコ)にて開催)。2000年以降に作曲された作品が大半を占めており、1950-60年代の「アヴァンギャルド」を意識しつつも、これを超克した地点を模索したいという意図がプログラム全体に隠されているようにも思える。芥川作曲賞には1990年代生まれの作曲家のみがノミネートされるなど、音楽のこれからを切り拓こうとする意欲満々だ。
8/22~30@サントリーホール(ブルーローズ、大ホール)
https://www.suntory.co.jp/suntoryhall/feature/summer2020/
浜離宮ランチタイムコンサートvol.199に登場の北村朋幹、ドイツを本拠に古楽器演奏から現代曲まで幅広いレパートリーを持つ。今回はショパン夜想曲、ブラームス小品、細川俊夫エチュード集に加えベートーヴェン「ソナタ第31番」というプログラム。
テーマ性より心の赴くままの選曲とのことだが、その鋭敏な感性とタッチからどんな風景が見えるか、期待したい。
8/28@浜離宮朝日ホール
https://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/event/2020/08/event1628.html
♩8/28 2019年ロン=ティボー=クレスパン国際コンクール第2位入賞記念 務川慧悟 ピアノ・リサイタル2020(振替公演)
2019年ロン=ティボー=クレスパン国際コンクール第2位入賞記念として開催予定だった公演の振替。務川は2012年東京藝大1年在学中に日本音楽コンクール優勝、演奏活動を開始。2014年渡仏パリ国立高等音楽院に学ぶ。室内楽にも意欲的な若手である。今回はヘンデル、ラヴェル、ショパンなど8曲、思い入れ深い好きな作品を並べた。色彩豊かなピアニズムでそれぞれの音楽世界を描き出してくれるだろう。
8/28@東大阪市文化創造館
https://higashiosaka.hall-info.jp/event-information/2020/20200828.html
♩8/30 東京文化会館オペラBOX《アマールと夜の訪問者》
ジャン=カルロ・メノッティの台本・作曲による1幕のオペラ《アマールと夜の訪問者》の舞台上演。もともとはテレビ・オペラとして作られ、クリスマスの時期に放送されてきた作品だが、日本では小規模ということもあり多くの団体により取り上げられてきた。今回の公演がコロナ禍の中でのオペラの舞台上演の第1歩ということになるだろう。観客の数は半分程度にするとのこと。オペラは舞台に立つ歌手だけでなく、大道具、照明といった多くの人々によって支えられ、作り出される。感染を避けるための社会的距離をどのようにとっていくのか、表に見えない努力と試行が行われることだろう。この日のための活動が、今後の舞台づくりの指針となることを期待したい。
8/30@東京文化会館小ホール
https://www.t-bunka.jp/stage/5032/
この4月にNHK交響楽団のゲスト・コンサートマスターに就任した若手ヴァイオリニストの白井圭が、ベテラン伊藤恵のピアノと共にシューベルトとシューマンを奏でる。二人の共演は、白井の芸大生時代にまで遡るとのこと。以来、何度も共に演奏する機会を重ねてきた。いずれも実力派として知られる二人だけに、スケールの大きなアンサンブルが期待できそうだ。(6月10日の振替公演)
8/31@ザ・フェニックスホール
https://phoenixhall.jp/performance/2020/08/31/13113/
<動画配信>
♩7/15 本村睦幸+ジュゴンボーイズ オンラインコンサート
https://motomura-jugong200715.peatix.com/
7月15日にルーテル市谷ホールで予定されていた演奏会は来年5月に延期になったが、同日にオンラインでの開催されることになった。当初はCDのリリースコンサートの予定だったが、彼らの十八番も取りまぜた多彩なプログラムを予定。
♩initium;auditorium(イニツィウム;オーディトリウム)
https://www.initium-auditorium.com/
動画配信期間:無制限
《オンラインだからこそできる新しい音楽鑑賞体験の実現》《音楽家の収益の実現》をコンセプトに、クラウドファンディングで資金を集めて開設された有料動画配信サービス。生演奏の代替ではなく、録音技術などを前提とした、デジタルネイティブ世代による新時代の音楽の場となるか注目される。