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新型コロナ緊急企画|コロナ禍での取り組み (2020/5/15)

新型コロナ緊急企画|コロナ禍での取り組み 

中国武漢から始まった新型肺炎の日本での拡大は、2月末に政府よりスポーツ・文化イベントの自粛・中止要請から一気に私たちの日常生活を激変させました。 

以下は自粛以降のクラシック音楽界の様々な取り組みをご紹介するコーナーです。
本誌の呼びかけに応じ、寄稿くださったものをそのまま掲載いたします。

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⬛トーキョーコンサーツ・ラボ

早稲田の一角にひっそりと佇むトーキョーコンサーツ・ラボは、室内楽コンサートの本番会場、大編成オーケストラや合唱団のリハーサル会場として、或いは弊社東京コンサーツの主催公演をこれまでに約60公演を開催する等、知る人ぞ知る音楽サロンとして、多くの方々のご利用を頂いてまいりました。

2016年春にオープンし、今年4年目を無事あたたかく迎えようとしていた時期、世の中は大変な状況に陥りました。日に日に悪化する状況のもと、私どものラボも、国の緊急事態宣言発令と東京都からの休業要請により臨時休館を決定致しました。

空いたラボを前にして、空間は人や空気の出入りを止めてしまうと、呼吸をやめてしまう生き物だと改めて強く感じさせられます。前回コラム(Back Stage| 余白|浅野剛)にも書かせていただきましたが、人気(ひとけ)は空間を活性化させます。空間にとっての人や空気は言わば血液であり、その巡りを止める事は仮死状態を意味します。今日本中の音楽ホールは、輸血を必要とする仮死状態に追い込まれているのでは無いでしょうか。

その一方、音楽家や音楽を愛する人たちが自宅待機を余儀なくされ、表現や体験の時間と場所が限定される事もまた悔しい事でありますが、別の見方では、音楽は今回のような稀有な状況下でも生活から奪われてしまう事は無いという安心と、むしろそういった状況から生まれるものがある底力を、インターネットを通して全世代の人間が実感することが出来たのではないでしょうか。ハードが機能停止を余儀なくされた今、人間はこれまでに培ったソフトの性能を最大限に用いて表現の継続を試みております。そして、音楽においてはそれが十分に成功していると受け取る事が出来ます。

未来にふたたび、文化をはぐくむ共同作業を出来るよう、私どもはそのお手伝いの一環として、以下のようなプランを検討・準備しております。これは来るべきラボ再開に際して、今私どもが出来るソフト面での取り組みです。

「NO密のびのびプラン(仮タイトル)」

コンサート会場とスタインウェイピアノを使って、思う存分のびのびと練習ができる!

緊急事態宣言の解除後、おひとりまたは数名でご利用いただけるディスカウントチケットを期間限定で販売。その他、配信による無観客公演の使用を優遇するプランや、回数券制度、を考えております。

レンタルサービスの拡充とは別に、弊社独自のweb番組「トーコン、ミュージックチャンネル。(仮タイトル)」を製作、アーティストの新たな表現の場と収入源の獲得を試みるプロジェクトも動き出しています。

先の見えない状況の中悲嘆に暮れるだけでは無く、これまでのありがたみを捉え直し、これからの可能性を信じ、今は気持ちを整理して転換を図る時です。私どもも、これまでとは違った視座から出来なかった方法を探るべく、実験(ラボ)をします。ラボを巡る、将来の人々の可能性を少しでも拓く事が出来れば、これに過ぎる私どものありがたみ、はありません。

トーキョーコンサーツ・ラボ
https://tocon-lab.com/category/info

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EMCJ Smart Accompanist 自宅で出来るアンサンブル体験!~演奏動画の販売プラットフォーム~

◆COVID-19の感染拡大防止に伴う活動自粛による音楽体験の危機

このメディアの読者にはお伝えするまでもないことかもしれないが、COVID-19の感染拡大が報じられて以降、アマチュア音楽家の生活は一変した。発表会やコンサートなどの「本番」はもちろん、そのためにレッスンやスクールに通ったり、メンバーで集まって練習するといった日常的な活動もできないのである。外出自粛を余儀なくされた状況で独りで歌や楽器の練習をするのは、実に味気ないというか、これでは音楽の楽しみのほとんどが奪われた状態といえるのではないか。

一方プロの音楽家はというと、こちらは演奏活動やレッスンがそのまま収入に直結しているわけであり、事態の深刻度はさらに高いことが容易に推測され、現実にそのことをSNSなどで訴える声も多く見かける。

◆Smart Accompanist(スマート・アカンパニスト)

我々はこのほど、前述の課題を解決する一助になればとの思いから、クラシック音楽のアマチュア奏者に向けた「プロ奏者によるマイナスワン演奏動画」の販売サービスを立ち上げた。SmartAccompanistとは、プロ奏者がアンサンブル曲のうち声部を1パート少なく録画した”マイナスワン”、いわゆるカラオケ動画を作成し、このサービスを通して販売するもので、アマチュア奏者に家で一人でもアンサンブルができる状況を提供しつつ、その売上がプロ奏者にとっての新たな収益源となるような“Win-Winの”サービスモデルである。曲のダウンロード以外にも、レンタル(サイト上で音楽をストリーミング視聴する)という利用方法も提供する。
https://filmuy.com/smartaccompanist

◆製品・サービスの概要

  • プロ奏者は、自身でアンサンブル曲の「マイナスワン」動画を作成しSmart Accompanistのサイトに掲載する。
  • アマチュア奏者は、サイト上で自身が演奏したい曲の動画コンテンツを検索、購入する。
  • コンテンツの販売収益から諸費用を除いた売上が、その動画を提供した奏者に還元される。

◆演奏動画の活用とその特長
本サービスでは曲ごとにテンポやピッチ、楽譜のリンクが動画のページに詳述されており、アマチュア奏者側にもどのようなレベルの方に向けた演奏かを伝えるようにしている。動画上でのプロ奏者の動きを確認しながら演奏することで、まるでプロ奏者と同じ空間で演奏しているかのように楽しめるだろう。
また、曲のページにプロ奏者のHPやSNSアカウントなどを掲載することで、曲の購入者がこのサービスを通じてプロ奏者が発信している情報に触れ、さらに活動自粛終了後にはコンサートやレッスンに足を運ぶためのきっかけにしてくれることを期待している。

◆今後の展望

まずは「古楽」という切り口でサービスをスタートさせたが、今後は取り扱う曲の範囲をより一般的なクラシックのジャンルへ広げていきたい。同時に、アマチュア奏者からの演奏動画のリクエストも受け付けることで演奏曲目のニーズを把握し、プロ奏者へフィードバックしていく。「範囲の拡充」という横の展開と、「ニーズのマッチング精度向上」という縦の展開により、ますますアマチュア奏者の期待とプロ奏者の期待に応えていくつもりだ。

EMCJ Smart Accompanist運営事務局広報室
https://filmuy.com/smartaccompanist