撮っておきの音楽家たち|鈴木大介|林喜代種
鈴木大介(ギタリスト)
Daisuke Suzuki, Guitarist
2019年12月18日 東京文化会館小ホール
2019/12/18 Tokyo Bunka-Kaikan Recital Hall
Photos & Text by 林喜代種 (Kiyotane Hayashi)
東京文化会館主催のプラチナ・シリーズの第4回目はギタリストの鈴木大介。「HAPPY BIRTHDAY to / from ミスター・ギタリスト」と題して、ゲストにジャズ・ギタリストの渡辺香津美を迎えての演奏会。
12月18日は鈴木大介の誕生日。
2016年の12月武満徹の没後20年に合わせた演奏会の準備の最中に、渡辺香津美が「誕生日プレゼントとして何が欲しいか」と尋ねた。鈴木大介は悩んだ末にクラシックギター奏者がレパートリーに出来る新曲を依頼。そして出来た曲が今回演奏された「トパーズ」2019である。西村朗の委嘱新作の曲も演奏された。鈴木大介は武満徹に「今までに聴いたことのないようなギタリスト」と評された話は有名である。本人も武満徹さんに背中を押されてデビューしたと言っている。
「日本の心を映し出したクラシックギター」作品を集めた演奏会。武満徹:森の中で、西村朗:委嘱新作初演、池辺晋一郎:ギターは耐え、そして希望し続ける、猿谷紀郎:虹のあしおと(デュオ)、武満徹:どですかでん(デュオ)・映画「ホゼー・トレス」(デュオ)、渡辺香津美:トパーズ(委嘱新作初演)ほか。 西村朗と渡辺香津美は1953年生まれの同い年。この日現代音楽とジャズという異なる分野のトップランナーの作品が聴ける幸運に恵まれた。鈴木は「敬愛する作曲家たちの素晴らしいクラシックギター作品に愛と元気と勇気と優しさをたくさんもらえる気がしています。」と語っている。鈴木大介と渡辺香津美の息の合った演奏も素敵だった。
そして最後にサプライズが。アンコールで渡辺がギターでなくバースデーケーキを手に登場。鈴木大介の驚きと喜びの顔に場内は爆笑と拍手。
鈴木大介は横浜生まれ。ギターを市村員章、福田進一、尾尻雅弘に、作曲を川上哲夫、中島良史に師事。またザルツブルク・モーツァルテウム音楽院で、エリオット・フィスク、ホアキン・クレルチに師事。バロックから現代に多岐に至るレパートリーと共に作編曲も手掛ける。新しい世代の音楽家として注目され続けている。
(2020/1/15)