Pick Up(2026/2/15)|藤原歌劇団《妖精ヴィッリ》《カヴァレリア・ルスティカーナ》|長澤直子
藤原歌劇団《妖精ヴィッリ》《カヴァレリア・ルスティカーナ》ゲネプロレポート
Fujiwara Opera Foundation “Le Villi” “Cavalleria Rusticana”
2026年1月29日 東京文化会館
2026/1/29 Tokyo Bunka Kaikan
Text&Photos by 長澤直子(Naoko Nagasawa)
藤原歌劇団《妖精ヴィッリ》《カヴァレリア・ルスティカーナ》
会場:東京文化会館 大ホール
日時:2026年1月31日(土)14:00 開演(ゲネプロ取材1月29日)
指揮:柴田真郁
演出:岩田達宗
プッチーニ作曲《妖精ヴィッリ》オペラ全2幕
アンナ:砂川涼子
ロベルト:澤﨑一了
グリエルモ:岡昭宏
語り:豊嶋祐壹
マスカーニ作曲《カヴァレリア・ルスティカーナ》オペラ全1幕
サントゥッツァ:桜井万祐子
トゥリッドゥ:笛田博昭
ルチア:牧野真由美
アルフィオ:井出壮志朗
ローラ:丹呉由利子
合唱:藤原歌劇団合唱部
ダンサー:木村寿美、田川ちか、時安結女、西田知代
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
オルガン:藤原藍子
合唱指揮:安部克彦
美術:松生紘子
衣裳:下斗米大輔
照明:大島祐夫
振付:古賀豊
去る1/31、藤原歌劇団による《妖精ヴィッリ》と《カヴァレリア・ルスティカーナ》のダブルビル公演が、東京文化会館で開催された。
本稿では、開幕前に行われたゲネプロの模様を紹介する。
両作品は、「道を踏み外した男」によって人生を歪められ、過酷な運命を引き受けることになった女性を描いているという点で共通している。しかしその結末は、男性の懺悔による救済という形で終結する。
演出の岩田達宗は、仮面、花嫁のヴェール、四人のダンサー、花、布など、いくつかの共通したモチーフを巧みに使い、二つの作品の印象をゆるやかにつないだ。
■花嫁のヴェール ―幸福の予感と象徴
筆者が最も興味深く見たのは、花嫁のヴェールである。
《妖精ヴィッリ》では、父グリエルモが娘アンナに贈る、祝福と希望の象徴として現れる。しかしそれは現世では成就せず、空虚な約束として残される。
《カヴァレリア・ルスティカーナ》では、間奏曲の場面で、サントゥッツァが決して得られなかった幸福の象徴として提示される。どちらのヴェールも、「本来あるはずだった人生」を示しながら、それが失われたことを強く意識させる。
■4人のダンサー ―誘惑、裁き、そして共感
4人のダンサーは、ことあるごとに登場し、二作品を横断する重要な媒介のような存在である。
《妖精ヴィッリ》で、仮面のない姿でロベルトを誘惑したかと思えば、ラストでは仮面をまとい、彼を糾弾する側へと転じる。
《カヴァレリア・ルスティカーナ》の間奏曲では、サントゥッツァに花嫁のヴェールを与え、希望の幻影を見せるシーンが、音楽と相まって印象深い。
■仮面をかぶった群衆 —ヴィッリ、個人を押し潰す視線
群衆の表現も、良く練られている。
《妖精ヴィッリ》のラストでは、群衆は仮面を被り、裏切られた女性の「念」が変化した姿のように、ヴィッリとなって現れる。
他方の《カヴァレリア・ルスティカーナ》では、サントゥッツァへ向けられる偏見と断罪の象徴のように、仮面の群衆が取り囲む。
■赤い布 ―結末を覆い、その先を示すもの
両作品は、舞台に赤い布が一度かぶせられ、またそれが取り除かれて終末を迎える。
《妖精ヴィッリ》では、布が取り除かれたその奥にロベルトとアンナが残り、死後に結ばれる救済が暗示される。
《カヴァレリア・ルスティカーナ》では、サントゥッツァがマンマ・ルチアを抱く姿と仮面の剥がれた群衆が現れ、残された者たちが生きていく未来がほのかに照らされる。
(2026/2/15)
プッチーニ作曲《妖精ヴィッリ》


















マスカーニ作曲《カヴァレリア・ルスティカーナ》























