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瞬間(とき)の肖像|藤井泰子(ソプラノ)




瞬間(とき)の肖像|藤井泰子(ソプラノ ) ― AWAJI OPERAという現在形とカルメン
Yasuko Fujii (Soprano)  2025年9月14日 旧アソンブレホール
ビゼー作曲 オペラ「カルメン」ハイライト公演
Opera “Carmen” highlight performance
Photos and Text by 長澤直子 (Naoko Nagasawa)  

 

 

カルメン —絶対的な美と、絶対的な説得力。
どこで何をしても、周囲を惹きつけて際立つ人。
その定義は、藤井泰子の現在形とぴたりと重なっている。 

彼女がオペラを志した原点はカルメンにあったと、以前に何かのインタビューで読んだことがある。一般的にカルメンはメゾソプラノによって歌われる役だが、どうりで説得力があるわけだ。カルメンが彼女のオペラへの入口だったとは・・・! 

 

オペラに導かれ、長きにわたりイタリアで実力を磨き、主要作の主演を重ねる。イタリア国営放送RAIほかTVでの歌唱も多く、映画・ドラマには“歌う女優”としても出演。舞台と並行して「イタリアらしさ」を日本へ伝える発信をライフワークとしている。 

 

その彼女が、近年最も力を注いでいる取り組みの一つが、芸術監督を務める AWAJI OPERA COMPANY の活動ではないだろうか。 

 

16世紀の終わりにイタリアで生まれたオペラは、人の心を動かし、癒やし、民族・宗教・思想の枠を越えて人と人を結ぶ。AWAJI OPERA COMPANY は、国生みの地淡路から、音楽と演劇の融合であるオペラの魅力を広く届け、国際舞台で通用する人材を育てることで、世界に認められるオペラ・カンパニーを目指す。 

私は彼女の“いま”を、この島から始まる物語として、肖像に刻んでおきたい。 

(2025/10/15)


Pasona AWAJI OPERA COMPANY 

イタリア発の文化遺産であるオペラの魅力を多くの人へ届けることを掲げ、全国から集まった声楽家が淡路島を拠点に活動。発声・演技・語学の研鑽を重ねながら、初心者から愛好家まで楽しめる公演を展開。大阪・関西万博のイタリア館/オーストリア館での演奏など国際的な実績を重ね、世界に開かれたカンパニーを目指す。 

 

Pasona Awaji World Ballet 

「バレエ・芸術文化を通して世界中の“夢の架け橋”に」を掲げ、本格性と開かれたプラットフォームを両立。淡路島を拠点に公演/コンクール/アカデミー/交流会を開催し、国内外でも公演を行っている。