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Pick Up (2025/7/15)|調布国際音楽祭2025「ロデリンダ」 |長澤直子 

調布国際音楽祭2025: バッハ・コレギウム・ジャパン ヘンデル:オペラ《ロデリンダ》 (演奏会形式)
Chofu International Music Festival 2025: Bach Collegium Japan Handel: Opera Rodellinda 

2025年6月28日  調布市文化会館たづくり くすのきホール 
2025/6/28  Chofu City Cultural Hall Tazukuri Kusunoki Hall 
Text&Photos by 長澤直子(Naoko Nagasawa) 

指揮:鈴木優人           →foreign language 
 
ロデリンダ:カリーヌ・ティニー  
ベルタリード:藤木大地  
グリモアルド:ラファエーレ・ジョルダーニ  
エドゥイジェ:林眞暎   
ウヌルフォ:ヤン・クルマン  
ガリバルド:加耒徹  
 
管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン 
演出:佐藤美晴 



2025年6月28日、調布市文化会館たづくり くすのきホールにて、ヘンデル作曲の《ロデリンダ》が上演された。調布国際音楽祭2025の目玉公演として、早くから完売となっていたこの演奏会形式によるオペラ公演は、音楽祭のエグゼクティブ・プロデューサーである鈴木優人の指揮のもと、国内外の一流ソリストを迎えた贅沢な布陣で臨まれた。 

主人公ロデリンダを演じるのは、フランス出身のカリーヌ・ティニー。ベルタリードを演じた藤木大地(カウンターテナー)は、緻密な音楽設計と豊かな詩情を両立させ、孤高の王の苦悩と気高さを見事に体現。グローバルな舞台で鍛え上げられたその表現力は、益々輝きを増している。 敵役グリモアルドにはイタリアの名テノール、ラファエーレ・ジョルダーニ。さらに、エドゥイジェを林眞暎、忠臣ウヌルフォにヤン・クルマン、策謀家ガリバルドには加耒徹と、登場人物たちの複雑な心情を繊細に描き出す顔ぶれが揃った。演出は佐藤美晴。 

音楽的には、BCJによる古楽器アンサンブルが緊密なアーティキュレーションで支え、ヘンデルが書き残した劇的対話が、まるで舞台に載せられたかのようにくっきりと描かれる。演奏会形式でありながら、音楽と歌のみで物語の核心が雄弁に語られた。 

愛と忠誠、裏切りと赦しをめぐるロデリンダの物語は、現代の我々にも強く訴えかける普遍的なドラマである。ヘンデルの描く心理の襞を、鈴木の的確な解釈が丁寧にすくいあげ、聴衆に濃密な時間を届けた。 

(2025/7/15) 

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Conductor: Masato Suzuki 
Orchestra: Bach Collegium Japan 

Rodelinda: Carine Tinney
Bertarido: Daichi Fujiki
Grimoaldo: Raffaele Giordani
Eduige: Mae Hayashi
Unulfo: Jan Kullmann
Garibaldo: Toru Kaku

Direction: Miharu Sato