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撮っておきの音楽家たち |吉田志門|林喜代種

吉田志門(テノール歌手)
Shimon Yoshida (Tenor)

2023年1月21日 武蔵野市民文化会館小ホール
Photos & Text by 林喜代種(Kiyotane Hayashi)

 

現在注目されているベルリン在住のテノール歌手の吉田志門がシューベルトの三大歌曲集の一つである「美しき水車小屋の娘」の全曲演奏で聴衆をシューベルトの世界に引き込んで魅了した。ピアノは同じくベルリン在住の高橋達馬。プレトークはこの両人が行なった。
吉田志門は2020年に世界屈指のアンサンブル「RIAS室内合唱団」(ベルリン)に史上初の日本人メンバーとして入団する。また2020年9月ベルリン・フィル大ホールにてソロデビュー。10月ドイツ再統一30周年記念式典に8人の歌手のうちの一人として選ばれる。メルケル首相(当時)もご臨席の中その様子が国営放送=ZDFにて生中継された。
吉田志門はドイツのベルリンを拠点に活躍する注目のテノールである。ドイツ語の正確な発音で端正な歌を聴かせる。2021年6月ライプツィヒで行われたバッハ音楽祭でのソリスト出演で注目を集める。2016年から主としてドイツ・オーストリアの主要都市でソリストとして演奏会に出演している。ハイドンのオペラ「無人島」の主役ジェルナンド役、「天地創造」、ベートーヴェン「第九」、J.S.バッハ「クリスマス・オラトリオ」、「マタイ受難曲」、「ヨハネ受難曲」、ヘンデル「ブロッケス受難曲」など多数出演。2018年イタリアのミラノで行われた国際コンクール「第9回コンコルソ・サルヴァト―レ・リチートラ」で特別賞を受賞。井原義則、佐々木典子、永田峰雄などに師事。特に永田峰雄の強い教示がなければ歌の世界には進んでいなかった、とも語っている。
2022年5月、開演5分前に急病のソリストに代わり、J.S.バッハ「ロ短調ミサ」のテノールソリストに指揮者ルネ・ヤコブスが吉田を大抜擢の指名。スタンディングオベーションを受けた。また2023年2月バッハ・コレギウム・ジャパンの定期演奏会に再出演。2024年2月には「ヨハネ受難曲」のエヴァンゲリストを務めることが決まっている。名古屋出身の期待のテノールである。

(2023/3/15)