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ファビオ・ビオンディ&エウローパ・ガランテ|藤堂清

《バロック・ライヴ劇場》第10回公演
ファビオ・ビオンディ&エウローパ・ガランテ
~華麗なる、イタリアン・バロックの世界~
Fabio Biondi & Europa Galante

202211月1日 王子ホール
2022/11/1 Oji Hall
Reviewed by 藤堂清(Kiyoshi Tohdoh)
Photos by 林喜代種 (Kiyotane Hayashi)

<演奏>        →foreign language
ファビオ・ビオンディ(指揮/ヴァイオリン)
エウローパ・ガランテ(古楽アンサンブル)

<曲目>
コレッリ:合奏協奏曲 ニ長調 Op.6-4
ジェミニアーニ:合奏協奏曲 ト短調 Op.3-2
ロカテッリ:合奏協奏曲 ニ長調 Op.1-5
————-(休憩)————-
ヴィヴァルディ:《四季》全曲
  〈春〉RV269
  〈夏〉RV315
  〈秋〉RV293
  〈冬〉RV297
———-(アンコール)———-
ヴィヴァルディ:〈夏〉より 第3楽章
ハイドン:ディヴェルティメント ニ長調 Hob.III:D3 より第5楽章
ヴィヴァルディ:〈冬〉より 第2楽章

 

気持ちをウキウキさせてくれる演奏。どの曲も、明るさと弾みを感じさせる。
ファビオ・ビオンディが手兵のエウローパ・ガランテを率いて行ったコンサート。1990年の結成以来30年以上経つが、安定したアンサンブルとしっかりした音楽的な主張は健在。

プログラム前半は、アルカンジェロ・コレッリの《合奏協奏曲 ニ長調 Op.6-4》を冒頭におき、彼の弟子のフランチェスコ・ジェミニアーニの《合奏協奏曲 ト短調 Op.3-2》、コレッリの影響を受けたピエトロ・ロカテッリの《合奏協奏曲 ニ長調 Op.1-5》という3曲の合奏協奏曲で構成された。ビオンディを中心とする独奏楽器群と合奏部の掛け合いにゆるみはない。速めのテンポの演奏で全体を引っ張る彼のヴァイオリンのメリハリのきいた音が際立つ。曲の最後に急停車するように間をとるのが洒落た感じ。

後半はアントニオ・ヴィヴァルディのソロ・コンチェルトの代表作《四季》。こちらではビオンディがソリストとして演奏する。〈春〉から〈冬〉までの各曲には楽章ごとに光景を表すソネットが添えられており、ある意味で描写音楽といえるが、彼らの演奏では、聴きなれたこの曲に細かな緩急が与えられ、また大胆なダイナミクスを伴う大きな表情が付けられて、詩の描く場面が表現される。冒頭の〈春〉の朗らかさ、〈夏〉の第3楽章の嵐の激しさなどに耳をうばわれる。

このコンサートの前、10月29,30日に、彼らは多くの歌手、管楽器奏者をまじえて、ヘンデルのオペラ《シッラ》の公演を神奈川県立音楽堂で行っている。エウローパ・ガランテのような古楽団体にとって、声とともに演奏することは重要だろう。声楽家の呼吸や息遣いによる微妙なテンポの変化への対応や、色彩感の付けかたなどは、この日の合奏協奏曲、ソロ協奏曲でのパートのバランス、独奏との掛け合いに活かされている。その当意即妙なリズムの変化、呼吸感といったものが、聴き手の体を息を支配し、巻き込んでいった。

(2022/12/15)

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<Players>
Fabio Biondi (Conductor/Violinist)
Europa Galante (Period Ensemble)

<Program>
Corelli: Concerto grosso in D major, OP.6-4
Geminiani: Concerto grosso in G minor, OP.3-2
Locatelli: Concerto grosso in D major, OP.1-5
————-(Intermission)————-
Vivaldi: Le quattro stagioni
  La primavela, RV269
  L’estate, RV315
  L’autunno, RV293
  L’inverno, RV297
—————-(Encore)—————–
Vivaldi: 3rd Movement from L’estate
Haydn: 5th Movement from Divertimento in D major, Hob.III:D3
Vivaldi: 2nd Movement from L’inverno