注目の公演・イベント|2022年2月
♩2/1 ウェールズ弦楽四重奏団+クァルテット・エクセルシオ
ウェールズ弦楽四重奏団とクァルテット・エクセルシオを隔年で様々なアーティストと共演させてきた紀尾井ホールの本シリーズも今回が最終回。なんとウェールズ弦楽四重奏団とクァルテット・エクセルシオを共演させるという。曲目はモーツァルト、ウェーベルン、武満徹、ショスタコーヴィチ、メンデルスゾーンと、なかなか聴けない現代曲や弦楽八重奏曲が並ぶ。才能と才能が掛け算的に高め合う演奏を期待したい。
2/1@紀尾井ホール
https://kioihall.jp/20220201k1900.html
王子ホールで生まれた若手トリオ、ステラ・トリオも今回で5回を数える。昨年東京交響楽団のコンサートマスターに就任の小林壱成vn、第67回ARDミュンヘン国際音楽コンクールピアノ三重奏部門第1位受賞、現在ベルリンで学ぶ伊東裕、国立モスクワ音楽院で学び、このところアンサンブルにソロにと大活躍の入江一雄pf。「今僕らがやりたい音楽」を掲げてのショスタコーヴィチ「第2番」、スメタナ「ピアノ三重奏曲」、シューベルト「第1番」。トリオとしての成長ぶりが楽しみだ。
2/5@王子ホール
https://www.ojihall.jp/concert/lineup/2021/20220205.html
♩2/7 小寺香奈ユーフォニアムリサイタル「ディスカヴァリー・ユーフォニアムvol.5デュオとデュオ」
2014年に始まったリサイタルシリーズ「ディスカヴァリー・ユーフォニアム」の第五回目となる今回の公演では、稲森安太己、徳永崇、松平頼暁の二重奏の新作が二作品ずつ、六作品が披露される。二重奏の相手は、クラリネットの菊地秀夫とピアノの藤田朗子。ユーフォニウムの新しい息吹を感じたい。
2/7@杉並公会堂小ホール
https://discoveryeuphonium4.peatix.com/
♩2/7~13 新国立劇場 ガエターノ・ドニゼッティ《愛の妙薬》
ドニゼッティの代表作《愛の妙薬》、2009年に初演されたチェーザレ・リエヴィ演出の舞台の再演。ベルカント・テノールのフアン・フランシスコ・ガテルのネモリーノ、《アルマゲドンの夢》のベラで絶賛されたジェシカ・アゾーディがアディーナ、ドゥルカマーラを歌うのはブッフォの名手ロベルト・デ・カンディアと粒ぞろいのキャストが組まれている。指揮はイタリアの俊英フランチェスコ・ランツィロッタ。再演の場合の短い日程では、コロナによる規制との関係でキャスト・スタッフの入国が困難となるのではという点が不安材料である。
2/7~13@新国立劇場オペラパレス
https://www.nntt.jac.go.jp/opera/lelisirdamore/
♩2/8~16 KAAT神奈川芸術劇場『冒険者たち~JOURNEY TO THE WEST~』
KAAT新芸術監督長塚圭史の書き下ろしは、『西遊記』に着想を得つつ、神奈川県内を舞台とする大きいのか小さいのか謎な冒険譚。大澤遊を共同演出、音楽家で打楽器奏者の角銅真実を音楽・演奏に迎え、県内6都市を巡演する。コロナ禍の今だからこそ芝居での冒険に出発したい。
2/8~16@KAAT神奈川芸術劇場 中スタジオ
https://www.kaat.jp/d/bokenshatachi
♩2/10~20 オペラシアターこんにゃく座 オペラ『あん』新作初演
こんにゃく座創立50周年記念公演第三弾はドリアン助川著、樹木希林主演で映画化もされた小説「あん」を原作者台本で舞台化する。和菓子屋を舞台としたオペラ、そんなものは見たこともないし聞いたこともないが、こんにゃく座ならではとも言える。作曲に寺嶋陸也、演出に上村聡史を迎えての「あん」はどんな味がするのだろうか。
2/10~20@俳優座劇場
https://www.konnyakuza.com/syusai.html
♩2/10,13 読売日本交響楽団 第615回定期演奏会, 特別演奏会
定期演奏会とそれに続く特別演奏会、R.シュトラウスの《エレクトラ》を演奏会形式でとりあげる。指揮は常任指揮者のセバスティアン・ヴァイグレ。得意のシュトラウスのオペラで、熱気あふれる演奏を聴かせてくれるだろう。タイトルロールのエレクトラはエレーナ・パンクラトヴァ。クリテムネストラを藤村実穂子が歌うという点にも注目。オレステにルネ・パーペが出演するという豪華なキャスト。実現すれば、おおいに話題となることだろう。
2/10,13@サントリーホール
https://yomikyo.or.jp/concert/2020/12/615-1.php#concert
https://yomikyo.or.jp/concert/2021/03/post-606.php#concert
ヴァイオリンの甲斐とピアノの大須賀によるROSCOが結成20周年に取り上げるのは、一柳、アイヴスに加え、桑原ゆう、北爪裕道、大胡恵、夏田昌和の4人の日本現代作曲家による委嘱新作という意欲的なプログラム。コンテンポラリーの魅力に触れる一夜になろう。
2/11@東京オペラシティリサイタルホール
http://rosco2001.com/news.html
♩2/12,13 堺シティオペラ第36回定期公演『卒塔婆小町』『赤い陣羽織』
堺シティオペラの今度の演目は2つの邦人作品、三島由紀夫の『近代能楽集』から石桁真礼生がオペラ化した《卒塔婆小町》と、木下順二原作、大栗裕作曲の《赤い陣羽織》である。並河寿美、福原寿美枝がダブルキャストを務め(卒塔婆小町)、牧村邦彦指揮で大阪交響楽団が演奏する。注目は何と言っても、狂言師茂山千三郎による演出だ。さらに、演出助手に京舞篠塚流の篠塚瑞桜 、演出補佐に観世能楽師の田茂井廣道を迎えるなど、西洋の歌劇と日本の伝統芸能との融合が期待される。堺シティオペラはこれまで、音楽のみならず視覚面でも地方オペラの域を超えた優れた内容を打ち出し高い評価を受けてきただけに、今回も見逃せない公演となりそうだ。
2/12,13@フェニーチェ堺
http://sakai-city-opera.jp/publics/index/317/
♩2/13 オーケストラ・ニッポニカ第39回演奏会【チェレプニン伝説~ローカリティーの追求~】
表題のアレキサンドル・チェレプニンとは、白系亡命ロシア人ピアニスト・作曲家で、アジアの音楽に大きな可能性を見て、戦前の日本で「チェレプニン賞」なる作曲賞を企画した人物。そしてこのチェレプニン賞で首席入賞してデビューしたのが他ならぬ伊福部昭である。今回はチェレプニン賞を受賞した伊福部の『日本狂詩曲』と、伊福部がチェレプニンに献呈した『土俗的三連画』、そしてロシア5人組の1人バラキレフの交響曲第1番が演奏される。覇権主義が世界を覆う中でのローカリティーの意味を考える機会としたい。
2/13@紀尾井ホール
http://www.nipponica.jp/concert/next_concert.htm
客席20名ほどのライヴにまで足を運ぶ、現役の伝説的作曲家松平頼曉の90歳を寿ぐ演奏会。松平の天才的奇想に惹かれて集まった若き演奏家たちによって彼の音楽世界がどのような光を放つか、これは是非ともライヴで体験したい。
2/18@東京オペラシティリサイタルホール
https://m.facebook.com/events/5430041087021104/
2020年3月定期で演奏予定だったブリテン《春の交響曲》と7月世界初演予定だったターネジ《タイム・フライズ》の2曲を組んだ20~21世紀英国プログラム。《タイム・フライズ Time Flies》は都響、BBCラジオ3、NDRエルプフィルの共同委嘱作品で、それぞれの都市をイメージした3楽章構成。「Tokyo Time」は1964年の東京オリンピック記念として誕生した都響への讃歌となっている。大野和士指揮、砂川涼子sop 、清水華澄ms、トピ・レティプーtenの布陣に合唱陣が参加で壮大な音の響宴となろう。
2/18@サントリーホール
https://www.tmso.or.jp/j/concert/detail/detail.php?id=3494
♩2/19,20 日本オペラ協会公演 日本オペラシリーズNo.83《ミスター・シンデレラ》新制作
この伊藤康英のオペラは、鹿児島オペラ協会の委嘱により作曲され、2001年8月に鹿児島で初演された。2004年には東京初演が日本オペラ協会により行われている。その後も鹿児島を中心に再演されてきた他、2017年には室内楽版の初演が東京で行われるといったように継続して演奏されてきている。今回オリジナル版での東京公演は18年ぶり。作曲者が初演プログラムノートに書いた「口ずさめるオペラ」を確かめる貴重な機会となる。
2/19,20@新宿文化センター 大ホール
https://www.jof.or.jp/performance/nrml/2202_cinderella.html
♩2/19~27 名取事務所『ペーター・ストックマン~「人民の敵」より』
上演されるたびに当代の社会問題との接続が図られてきたイプセン『人民の敵』を、瀬戸山美咲が大胆に翻案・演出。町長ペーター・ストックマンに焦点を当てて、一連の出来事を彼の目から捉え直す。個人と社会、科学と政治など、コロナ禍で顕在化した対立項が舞台上ではどのように現れるのか、期待される。
2/19~27@吉祥寺シアター
http://www.musashino-culture.or.jp/k_theatre/eventinfo/2021/11/natori2022.html
東京文化会館主催のシャイニング・シリーズVol.10に登場の服部百音は現在桐朋音大大学院在学中の実力派。知名度も技量も抜群で「シャインニング」の名称が適切かどうか、ではあるが、今回はチャイコフスキー、シマノフスキ、ラヴェル、フランクと硬軟織り交ぜ余裕の選曲で楽しませる。出てくるだけで堂々たる存在感、演奏でもしっかり味わせてくれることだろう。Pfは三又瑛子。
2/23@東京文化会館小ホール
https://www.t-bunka.jp/stage/11781/
ナントのラ・フォル・ジュルネで出会った二人、辻彩奈vnとレミ・ジュニエpfによる初共演デュオ。パリを拠点に活躍する同世代の顔合わせでモーツァルトの他、フォーレ、ラヴェル、サラサーテとフランスものでまとめる。剛毅にも繊細にもなる辻の音楽のスケールにジュニエがどう応答するか、互いの化学反応が聴きどころ。
2/23@浜離宮朝日ホール
https://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/event/2022/02/event2043.html
♩2/24,25,27 東京フィルハーモニー交響楽団定期演奏会
エルガーの『南国』からギリシャへ?ここ数ヶ月のクセナキス・ラッシュを受けて、大井&井上による初演への期待も高まる一方だ。引退予告を発表した井上のショスタコーヴィチの実演に接する残された機会もそう多くはないと考えると寂しい限り。
2/24@東京オペラシティ 第144回東京オペラシティ定期シリーズ
https://www.tpo.or.jp/concert/20220224-01.php
2/25@サントリーホール 第964回サントリー定期シリーズ
https://www.tpo.or.jp/concert/20220225-01.php
2/27@オーチャードホール 第965回オーチャード定期演奏会
https://www.tpo.or.jp/concert/20220227-01.php
♩2/26 Just Composed 2022 Spring in Yokohama オンド・マルトノ~魂の詩~
新作委嘱と過去の委嘱作品の再演を軸にプログラムが構成される「Just Composed in Yokohama」。今回は大河ドラマ「青天を衝く」の紀行コーナーでの演奏でも耳新しい大矢素子のオンド・マルトノで、オリビエ・メシアン、坂本龍一、薮田翔一、池辺晋一郎、山本哲也の作品を演奏する。出演者は他に、安達真理(ヴィオラ)、松本 望(ピアノ)。貴重な機会にぜひ足を運びたい。
2/26@神奈川県民ホール小ホール
https://mmh.yafjp.org/mmh/recommend/2022/02/JC2022spring.php
2002年第12回チャイコフスキー国際コンクール・ピアノ部門で、女性初、日本人初優勝から20年。パリを本拠に5年間、国内外で目覚ましい活躍ののち結婚と育児に大車輪、言ってみれば女性ピアニストの星(は今日日不適切表現だが)たり続ける上原彩子。満を辞しての二大協奏曲で20周年を飾る。グリンカ:歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲を加えてのラフマニノフ「第2番」と チャイコフスキー「第1番 」。併走は原田慶太楼指揮の日本フィルハーモニー交響楽団。ぜひ目撃したい!
2/27@サントリーホール
https://www.japanarts.co.jp/concert/p931/
♩2/28~3/29 舞台『千と千尋の神隠し Spirited Away』
宮崎駿による同名のアニメーション映画(スタジオジブリ)に基づいた舞台版の世界初演。ミュージカル『レ・ミゼラブル』の演出等を手がけたジョン・ケアードが今井麻緒子と翻案を手掛け、久石譲のオリジナルスコアをブラッド・ハークが編曲する。誰もが魅了されたあのアニメが舞台ではどのような夢を見せてくれるのか、期待したい。
2/28~3/29(プレビュー公演2/28~3/1)@帝国劇場
https://www.tohostage.com/spirited_away/