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撮っておきの音楽家たち|フランソワ=フレデリック・ギィ|林喜代種

フランソワ=フレデリック・ギィ(ピアニスト) 
Francois-Frederic Guy, Piano

2019年11月30日 武蔵野市民文化会館
2019/11/30 Musashino Civic Cultural Hall
Photos & Text by 林喜代種 (Kiyotane Hayashi)

今年2020年はベートーヴェン生誕250年記念年である。稀代のベートーヴェン弾きであるフランスのピアニスト、フランソワ=フレデリック・ギィが、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ32曲全曲演奏会を昨年2019年11月から12月にかけて5日間9回に分けて行なった。
フランソワ=フレデリック・ギィは1969年フランス生まれの50歳。パリ高等音楽院でドミニク・メルレ、クリスティアン・メルレに師事。首席で卒業。またレオン・フライシャー、マレイ・ペライヤのもとで研さんを積む。サヴァリッシュ、ハイティンク等著名指揮者と共演。パリ管、ロンドン・フィル、フィルハーモニア管、バンベルク響、読響、日本フィル、ドレスデン・フィルなど世界のオーケストラと共演している。
彼は何よりもドイツロマン派、とりわけベートーヴェンのスペシャリストとして知られる。録音でもベートーヴェンのソナタ&協奏曲全集を成し遂げている。彼にとってベートーヴェンはアルファでありオメガであると言いきっている。このピアノ・ソナタ32曲すべてを暗譜で演奏した。ギィの洗練された音色と絶妙なタッチの強さに魅力を感じた。強い思い入れと共感度の高い演奏。すでにベートーヴェンのピアノ・ソナタ32曲全曲演奏を9回行なっておりこの会が10度目である。
日本へは2017年ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンでも来日。創始者のルネ・マルタンは「私は、彼が世界最高のベートーヴェン弾きの一人だと確信している」と。
プログラムはベートーヴェンの人生と曲の変遷を聴衆とたどりたいという演奏者本人の強い意向から一部例外もあったが初期から中期、そして後期へとほぼ作品番号順に演奏された。全9回の演奏会300席が前売りで埋まり、当日までに満席になったのは印象的だった。同じホールで全曲演奏が聴けるというのも影響しているかもしれない。素晴らしいコンサートだったと思う。

(2020/1/15)