注目のコンサート|2019年4月
イスラエル出身、22歳でカーネギー・ホールにデビュー、ウィーン・フィルほか一流オケと共演、近年はベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲演奏会を各地で展開する注目の実力派ピアニスト。2016/17シーズンはベルリン・コンツェルトハウスのほか各地音楽祭にも招聘され、その活躍は目覚ましい。今回は、ベートーヴェン、ブラームス、シューマンを並べたプログラム。期待したい。
4/2@浜離宮朝日ホール
http://www.pacific-concert.co.jp/concert/view/926/
♩4/6 望月哲也 シューベルト三大歌曲シリーズvol.3 《白鳥の歌》
望月哲也が2017年より「テノールとギターで辿る<歌曲の王>シューベルトの最高傑作」として取り組んできた三大歌曲シリーズの最後、《白鳥の歌》を、松尾俊介のギターで歌う。ギター編曲も松尾によるものだが、ギター伴奏によるこの歌曲集の演奏は、おそらく世界で初めてという。40代半ばの望月が、ドイツ歌曲歌いとしてのこれまでのキャリアの集大成として取り組んできたこのシリーズ、その最後にふさわしい充実した歌唱を聴かせてくれるだろう。
4/6@ハクジュホール
https://www.hakujuhall.jp/syusai/182.html
♩4/7 東京・春・音楽祭2019 ベンジャミン・ブリテンの世界III
作曲家・加藤昌則のプロデュースにより全5回シリーズとして企画された「ベンジャミン・ブリテンの世界」。この作曲家の作品は一部の有名作を除いて日本ではまだまだ演奏される機会が少ないが、当シリーズはまさにその「知られざる」作品を主にフィーチャーしたファン垂涎のもの。第1回の2017年は器楽曲や室内楽を、第2回の昨年はやはり室内楽と歌曲を取り上げたが、今回は合唱作品をメインに据える。傑作『キャロルの祭典』も演奏予定、期待大。
4/7@東京藝術大学奏楽堂(大学構内)
http://www.tokyo-harusai.com/program/page_6073.html
♩4/7、10、14、17 新国立劇場 フィレンツェの悲劇/ジャンニ・スキッキ
昨年9月より新国立劇場オペラ芸術監督に就任した大野和士が掲げる5つの柱の一つ、ダブル・ビル公演の第1弾が登場する。ツェムリンスキー『フィレンツェの悲劇』、プッチーニ『ジャンニ・スキッキ』という、フィレンツェを舞台に繰り広げられる1幕物の2作品が組み合わせられた。指揮は沼尻竜典、演出は粟國淳。2つの全く異なる作品をどのように描き分け、あるいは共通項にスポットを当てるだろうか。名歌手の歌、東京フィルのピットとともに観届けよう。
4/7,10,14,17@新国立劇場 オペラパレス
https://www.nntt.jac.go.jp/opera/giannischicchi/
♩4/8 東京・春・音楽祭2019 歌曲シリーズ vol.26 アイン・アンガー
東京春祭ワーグナー・シリーズに毎年出演しているアイン・アンガー、47歳という男声低音歌手として絶頂期にあり、世界中の歌劇場でワーグナー歌いのバスとして活躍している。この日のリサイタルには、ムソルグスキーの《死の歌と踊り》〈蚤の歌〉、レーヴェの〈海を行くオーディン〉、シューベルトの〈プロメテウス〉といったバス歌手が得意とする曲目が並ぶ。注目したいのは、プログラム冒頭におかれた、R.シュトラウスの《無口な女》からモロズスのモノローグ〈音楽とはなんと美しいものだろう〉。ハーゲン、ファーフナー、フンディングといったお得意のワーグナーとは異なる顔をみせてくれるだろう。
4/8@東京文化会館 小ホール
http://www.tokyo-harusai.com/program/page_6068.html
♩4/9、10 ジョナサン・ノット指揮、スイス・ロマンド管弦楽団
東京交響楽団との蜜月続くジョナサン・ノット、もう一つの手兵であるスイス・ロマンド管を率いて来日。バンベルク響と手がけた交響曲全集でその手腕を知らしめた、マーラーの交響曲第6番『悲劇的』の壮烈な響きが眼前に浮かぶ。今回のツアーでも4箇所でこの曲がメインとなる。クリアかつヴォルテージの高い名演奏が期待できよう。一方、9日のサントリーホール公演で一度だけ取り上げられるフレンチ・プログラムもまた楽しみだ。ドビュッシー、ストラヴィンスキー共に、名作ながら演奏頻度が高いとは言えない作品が揃った。名ピアニスト・ヌーブルジェの参加も嬉しい。
4/9@サントリーホール
https://www.suntory.co.jp/suntoryhall/schedule/detail/20190409_M_3.html
4/10@東京文化会館
http://www.tomin-gekijo.or.jp/lineup/music/2019/04/000947.html
(他日公演)
http://www.kajimotomusic.com/jp/concert/k=718/
♩4/11,13 東京・春・音楽祭 2019 イゴール・レヴィット (ピアノ)
一昨年、キリル・ペトレンコ率いるバイエルン州立歌劇場来日公演のオーケストラコンサートに参加したイゴール・レヴィット。後半のマーラーも語り草となったが、前半のラフマニノフ『パガニーニの主題による狂詩曲』、および『イゾルデの愛の死』のアンコールもファンの心を捉えた。その彼が重量級の演目を携え、東京・春・音楽祭に登場。同内容のCDがリリースされている変奏曲3題が並べられた。バッハ『ゴルトベルク変奏曲』、ベートーヴェンとジェフスキが並ぶ2夜。聴き手の精神力をも問うようなプログラムだ。
4/11,13@東京文化会館 小ホール
http://www.tokyo-harusai.com/program/page_6070.html
http://www.tokyo-harusai.com/program/page_6071.html
♩4/12 東京・春・音楽祭 2019 The 15th Anniversary Gala Concert
東京・春・音楽祭の15年の節目を祝うガラ・コンサート。ハイドン、チャイコフスキー、ヴェルディ、ワーグナー、R. シュトラウスらこの音楽祭のオペラ・シリーズを彩ってきた作曲家の名作が並ぶ。特に近年シリーズ化され好評を博しているワーグナーに関しては、名歌手の歌唱で名アリアや場面をたっぷりと味わえる機会となろう。オーギャンと読響の華やかな演奏とともに、豪華なガラを存分に楽しもう。
4/12@東京文化会館 大ホール
http://www.tokyo-harusai.com/program/page_6050.html
♩4/12 MAROワールドVol.35 ショーソン by 篠崎「まろ」史紀
第35回目を数えるこの4月のMAROワールドではショーソンが取り上げられる。交響曲、詩曲、『愛と海の詩』などと並ぶこの作曲家の傑作であるピアノ三重奏曲とヴァイオリン、ピアノと弦楽四重奏曲のための協奏曲(いわゆる「コンセール」)はなかなか実演で耳にする機会がない。それが「まろ」をはじめとする名手達によって演奏されるのだから、既に曲を知っている方は当然のこと、ドビュッシーやラヴェルらフランス近代音楽を愛する方で未聴の方はぜひとも王子ホールに駆けつけられたい。馥郁たる香気漂う逸品。
4/12@王子ホール
http://www.ojihall.jp/concert/lineup/2019/20190412.html
♩4/12 アンサンブル室町によるLeçons de Ténèbre/暗闇の聖務
西洋古楽器と和楽器とのコラボレーションによる演奏会を続けてきたアンサンブル室町による今回の公演は、復活祭前の聖週間におこなわれる「ルソン・ド・テネブル」。クープランを軸としつつ、若手作曲家の新曲を織り交ぜながら独特の世界が堪能できるはず。
4/12@ルーテル市ヶ谷ホール
https://www.ensemblemuromachi.or.jp/2019-lecons?_fsi=DSxh9Fam
♩4/13 トッパンホール エスポワールシリーズ12 Vol.1 日本歌曲 嘉目真木子
トッパンホールの若手育成プロジェクトであるエスポワールシリーズに歌手が初登場する。オペラでの活躍が目立つ嘉目が今回取り組むのは日本歌曲。瀧廉太郎・山田耕筰・信時潔といった日本歌曲創成期の作曲家から中田喜直・三善晃を経て木下牧子に至るバラエティに富むラインナップは非常に楽しみ。
4/13@トッパンホール
http://www.toppanhall.com/concert/detail/201904131700.html
♩4/13,14 NHK交響楽団第1909回定期公演 Aプログラム
ヤクブ・フルシャは1981年生まれのチェコの指揮者、2010年~2017年の間東京都交響楽団のプリンシパル・ゲスト・コンダクターを務めた。現在、バンベルク交響楽団首席指揮者、フィルハーモニー管弦楽団とチェコ・フィルハーモニー管弦楽団の首席客演指揮者。R.シュトラウスの交響詩《ツァラトゥストラはこう語った》、ベルリオーズの叙情的情景《クレオパトラの死》、ヤナーチェク《シンフォニエッタ》というプログラム、フルシャが初共演のNHK交響楽団から多彩な音色を引きだしてくれるだろう。フランスの名ソプラノ、ヴェロニク・ジャンスが歌うベルリオーズも楽しみ。
4/13,14@NHKホール
http://www.nhkso.or.jp/concert/concert_detail.php?id=818
http://www.nhkso.or.jp/concert/concert_detail.php?id=819
♩4/19 池辺晋一郎大全集プロジェクトvol.3 池辺晋一郎の弦楽作品
作曲から教育・実務に至るまでまさに日本の音楽界の大黒柱たる池辺晋一郎を知る「池辺晋一郎大全集プロジェクト」第3弾は、彼の20代の無伴奏ヴァイオリン・ソナタ、そして90年代から書き続けられた『ストラータ』『バイヴァランス』シリーズ。誰もが知る彼のにこやかな笑顔と駄洒落の内に秘めたる強靭な音楽に触れられる、またとない機会となろう。
4/19@トーキョー・コンサーツ・ラボ
https://tocon-lab.com/event/190419
♩4/19 ヴォーカル・コンソート東京 第8回演奏会 バッハ「ミサ曲ロ短調」
世界で活躍する古楽奏者を中心に結成されたバロック・オーケストラと指揮をつとめる四野見和敏が設立した室内合唱団による演奏会。今回はバッハのロ短調ミサ曲をドレスデン・パート譜のバージョンで演奏する。時代様式を重んずる彼らがどこまでドレスデンの響きを響かせるのか聴きものである。
4/19@渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール
https://vctokyo.jp/
♩4/20 聖週間のフランス・バロック~高橋美千子リサイタル
パリ在住でフランスを中心に活躍する高橋美千子によるフランス・バロックのリサイタルは復活祭(4月21日)前の聖週間にちなみ、フランソワ・クープランのルソン・ド・テネブルとシャルパンティエの作品をお送りする。バロック音楽の中でも日本では比較的馴染みのうすいフレンチを聖週間にふさわしいラインナップで聴ける午後のひとときをいかが。
4/20@日本福音ルーテル東京教会
http://fonsfloris.com/0420/
♩4/20、21 ローム ミュージック フェスティバル 2019
毎年4月、オーケストラコンサート&リレーコンサートと、盛りだくさんのプログラムが並ぶ音楽祭。今年は没後150年記念のベルリオーズをテーマの京響スペシャルコンサート(バレエ付き)の他、反田恭平、日下紗矢子を迎えての協奏曲も注目される。リレーでは、モーツァルト・ガラのほか、河村尚子のベートーヴェンと充実のラインアップ。野外での中高生の吹奏楽でパワーをもらうのも一興だ。
4/20、21@ロームシアター京都
https://micro.rohm.com/jp/rmf/activity/rmfes/2019/detail0420.html
大阪国際音楽フェスティバルの提携公演として、都響が2年ぶりに大阪に来演。今回タクトを握るのは音楽監督就任から4年目となる大野和士。ロシアの俊英ピアニスト、ニコライ・ルガンスキーの独奏でグリーグの協奏曲を取り上げる。メインは、今年没後150年を迎えたベルリオーズの《幻想交響曲》。緻密なサウンド作りで知られる大野=都響によるロマン派の名曲2作をこの機会にぜひ味わいたい。
4/21@フェスティバルホール
https://www.tmso.or.jp/j/concert/detail/detail.php?id=3227
低音2人、すなわちバリトンの松平敬とチューバ・セルパンの橋本晋哉の低音デュオが桑原ゆう、福井とも子、小出稚子、山根明季子、4人の女性作曲家をフィーチャーする。このデュオがこれまで委嘱してきた女性作曲家は山根だけであったが、それは何故か?女声は男声よりも音高が低い故か?いや、そのような味気ない一般論を越えた新たなる出会いを期待したい。
4/24@杉並公会堂小ホール
https://www.confetti-web.com/detail.php?tid=50778
2月にソロで来日したばかりのイブラギモヴァ、4月は自身が第1ヴァイオリンを務めるキアロスクーロ・カルテットの一員として再来日。ガット弦を用いてのフレッシュなアプローチで演奏される知られた楽曲がその場で「更新」されるかのような体験を味わったのは2016年4月の初来日時。あれから3年、恐らくアンサンブルは更なる成熟を見せていよう。しかし、今や若手~中堅カルテット百花繚乱の時代。
4/25@パルテノン多摩
http://parthenon.or.jp/music/3521.html
♩4/25 河村尚子 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ・プロジェクト Vol.3 (全4回)
全4回で構成される河村尚子のベートーヴェン:ピアノ・ソナタ・プロジェクト、その3回目は『ハンマークラヴィーア』を含む中期~後期に向けての3曲。このピアニストはショパンなどでは極めてセンシティヴな表現を聴かせるが、反面必要に応じて披瀝されるダイナミズムは強烈なものがある。恐らく当夜の演目において河村の実力が最高度に発揮されるであろうことは疑う余地がない。
4/25@紀尾井ホール
https://www.japanarts.co.jp/concert/concert_detail.php?id=717
♩4/26 東京都交響楽団 第877回 定期演奏会Bシリーズ
5シーズン目に突入する大野和士×東京都交響楽団。記念イヤーのベルリオーズ『幻想交響曲』を取り上げるC定期&大阪公演、東京・春・音楽祭で披露する超大作シェーンベルク『グレの歌』と、いきなりフルスロットルで稼働の趣。加えて4/26のB定期にも注目したい。武満、シベリウス、ラフマニノフの美しい名作揃いの一夜を、大野と都響はどのように彫琢するだろうか。特にメインのラフマニノフ『交響的舞曲』は昨年彼らが取り上げた『交響曲第3番』と対を成す作品であり、弧を描くようなシーズン構成が垣間見える。
4/26@サントリーホール
http://www.tmso.or.jp/j/concert/detail/detail.php?id=3228
♩4/26、27 シュニトケ&ショスタコーヴィチ プロジェクト III
トッパンホールでしかありえない企画の第3回が開催される。トッパンホールに、日本にこの人ありというマエストロ井上道義に、このホールと井上が見込んだ若き天才・山根一仁、ホールを支え続けたウィスペルウェイと、日本最高クラスのトッパンホール・チェンバー・オーケストラ、さらに今回はヴィオラにメンケマイヤーを迎え、二度とないかもしれない精鋭による、今まで聴いたことのないプログラムが組まれる。これを逃してはならない。
4/26,27@トッパンホール
http://www.toppanhall.com/concert/detail/201904261900.html
♩4/26、27 新日本フィルハーモニー交響楽団 定期演奏会 ルビー<アフタヌーンコンサート・シリーズ>第21回
フランスの名匠P・ロフェによるロシアもの2曲。なんといっても話題はチャイコフスキー「ピアノ協奏曲第2番」。圧倒的にポピュラーな第1番に比べ演奏されることが少ない作品だが、今回はA・ヴォロディンを迎え、オリジナル版での披露となる。その歌謡性をたっぷり楽しみたい。他にスクリャービン「交響曲第2番」という組み合わせも魅力的だ。
4/26,27@すみだトリフォニーホール
https://www.njp.or.jp/concerts/4113
♩4/27,28 東京二期会 マスネ《エロディアード》(セミ・ステージ形式)
東京二期会コンチェルタンテ・シリーズの第2弾、ジュール・マスネのグランド・オペラとしては初期の作品を取り上げる。指揮はフランスの大ベテラン、ミシェル・プラッソン。第1弾の《ノルマ》と同様セミ・ステージ形式での上演、映像や照明を使った舞台となる。バレエのところをどのように処理するか、この作品では課題となるだろう。主な登場人物は、R.シュトラウスの《サロメ》と同じであるが、それぞれの性格付け、ストーリー展開は異なる。東京二期会は6月に《サロメ》を上演予定で、この二つのサロメとジャン(ヨハナーン)を中心とするオペラを短い期間の間に聴き較べることができる。
4/27,28@Bunkamuraオーチャードホール
http://www.nikikai.net/lineup/herodiade2019/index.html
びわ湖ホールを会場に、2日間にわたって様々なクラシック・コンサートを催す音楽祭も2年目に突入。プロデューサー沼尻竜典の指揮によるオープニング・コンサートは、近年評価の著しい中村恵理を独唱者に、ミュンヘン国際音楽コンクールの覇者ユリアン・シュテッケルをチェリストに迎え、京都市交響楽団の演奏で行なわれる。また、沼尻のオペラセレクションではプーランクのモノ・オペラ「声」を砂川涼子で上演。一方、びわ湖名物になりつつあるのが、宵の湖畔で行なわれる「かがり火コンサート」。今年はマティアス・ユング指揮、ザクセン声楽アンサンブルとびわ湖ホール声楽アンサンブルの共演で、モーツァルトの《レクイエム》を2夜連続上演する。その他、内外から集う一流演奏家の顔ぶれを書けばキリがない。まずはサイトを覗いてみよう。
4/27,28@滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール
https://festival.biwako-hall.or.jp/2019/