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注目のコンサート|2018年9月

♩9/5 オーケストラ・プロジェクト2018

1979年西村朗、松平頼暁、水野修孝、吉崎清富の4人の作曲家により第1回公演を開催、オーケストラ作品の創造と発表の機会とし新作初演を続けている。今年は阿部亮太郎 :「漆黒の網目」、 小山和彦 「ピアノ協奏曲第3番」、山内雅弘 「SPANDA~ヴィブラフォンとオーケストラのための」、森垣 桂一 「 交響曲」の4作。日本のオーケストラ新作をそろって目撃できるまたとない機会。
9/5@東京オペラシティ コンサートホール
http://www.orch-proj.net

 

 

 

♩9/6 東京都交響楽団 第860回定期演奏会

ポーランドの巨匠、アントニ・ヴィトが都響に初登場してのポーランド特集。ワーグナーがポーランド革命に触発されて書いた序曲『ポローニア』、言わずとしれたショパンのピアノ協奏曲第2番(独奏はシャルル・リシャール=アムラン)、そして極めて複雑な構造と神秘的かつ不可思議な響きで人々を魅了する現代音楽の古典、ルトスワフスキの交響曲第3番が演奏される。時代を超えたポーランドの精神世界に触れられることを期待したい。
9/6@サントリーホール
http://www.tmso.or.jp/j/concert_ticket/detail/detail.php?id=3137&year=2018&month=9

 

 

♩9/6,7,8,9 東京二期会オペラ劇場 プッチーニ《三部作》 外套/修道女アンジェリカ/ジャンニ・スキッキ

2012年にデンマーク王立歌劇場とアン・デア・ウィーン劇場で上演されたダミアーノ・ミキエレットの演出によるプロダクション。注目は、この三作をどのように関連づけるかという点。《外套》のミケーレと《ジャンニ・スキッキ》のタイトルロール、《外套》のジョルジェッタと《修道女アンジェリカ》のアンジェリカ、《修道女アンジェリカ》の公爵夫人と《ジャンニ・スキッキ》のツィータといったように、異なる作品の主役クラスに同じ歌手が配されている。指揮のベルトラン・ド・ビリーはフランスの指揮者、ウィーン国立歌劇場などで活躍中の53歳。若手、中堅の歌手たちをどのようにまとめてくれるだろう。
9/6,7,8,9 新国立劇場オペラパレス
http://www.nikikai.net/lineup/il_trittico2018/index.html

 

♩9/7、8 日本フィルハーモニー交響楽団 第703回東京定期演奏会

若き音楽の開拓者・山田和樹と日フィルが近現代フランス音楽(三善はフランスでデュティユーに師事した)を俯瞰する。炸裂する三善のピアノ協奏曲(独奏は萩原麻未)に始まり、端正かつエスプリの妙に満ちたプーランク『シンフォニエッタ』、童心に帰るデュカス『魔法使いの弟子』、そして真に魔法的な現代音楽、デュティユーの交響曲第2番『ル・ドゥーブル』という、山田ならではの個性的な作品群を彼がどう振るか見届けたい。
9/7,8@サントリーホール
https://www.japanphil.or.jp/concert/23219

 

 

♩9/8 トン・コープマン指揮 アムステルダム・バロック管弦楽団&合唱団

トリフォニーホール・グレイト・オーケストラ・シリーズ2018/19の一環、トン・コープマン・プロジェクト2018の二公演のうちの一つ。彼が40年にわたって率いてきたアムステルダム・バロック管弦楽団&合唱団を指揮、ヨハン・セバスチャン・バッハのミサ曲ロ短調を演奏する。彼の演奏では教会のような残響の多い会場での映像をみることが多いが、コンサートホールでの音楽に没入した彼の姿にも興味が引かれる。70代に入った彼の円熟の境地を楽しみにしたい。
9/8 トリフォニーホール
https://www.triphony.com/concert/detail/2017-12-002099.html

 

 

♩9/12 アレクサンダー・ガブリリュク ロシア三大ピアノ協奏曲

ウクライナ出身、1999年ホロヴィッツ記念国際ピアノコンクール優勝を皮切りに様々なコンクール覇者であるガブリリュク、繊細かつパワフルなピアニズムをフルに生かすべく、ロシアの雄たるチャイコフスキー、プロコフィエフ、ラフマニノフの三大協奏曲を一夜で聴かせる。指揮は昨年ショルティ国際指揮者コンクール優勝のヴァレンティン・ウリュービン/東京交響楽団。聴く方もスタミナが必要であろう。
9/12@東京芸術劇場
https://www.japanarts.co.jp/concert/concert_detail.php?id=662

 

 

 

♩9/15、16 びわ湖ホール オペラへの招待「ドン・ジョヴァンニ」

「初めてのオペラを体験するのにうってつけのシリーズ」と銘打ったびわ湖ホールの「オペラへの招待」が、《ドン・ジョヴァンニ》を取り上げる。喜劇ながらも深遠な人間ドラマでもあるこの人気演目を、新進気鋭の演出家、伊香修吾がどのように手がけるのか注目したい。びわ湖ホール声楽アンサンブルと大阪交響楽団を率いるのは園田隆一郎(指揮・チェンバロ)。園田はこれまでにもモーツァルトのオペラの弾き振りで好評を博してきただけに、演奏も大いに期待できそうだ。
9/15,16@滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 中ホール
https://www.biwako-hall.or.jp/performance/2017/12/02/-2915.html

 

 

♩9/18 B→C #204 守岡未央

武蔵野音大卒、2015年日本音楽コンクール優勝の新進トランペッター。繊細さと華やかさを併せ持つ若きホープがB→Cに登場。バッハ、アルビノーニ、テレマン、エネスク、ボザ、ラフマニノフ、松下倫士(新作委嘱作)らを並べ、その真価を問う。
9/18@東京オペラシティ リサイタルホール
http://www.operacity.jp/concert/calendar/detail.php?id=8774

 

 

 

♩9/19 アンドレイ・イオニーツァ チェロ・リサイタル

ルーマニア生まれ、2015年チャイコフスキー国際コンクール優勝のイオニーツァ、昨年は内田光子に招かれマールボロ音楽祭に出演している注目の有望株である。メンデルスゾーン、フォーレ、マルティヌー、プロコフィエフを並べたプログラム。その才気あふれる清新な演奏をいち早く目撃すべし。ピアノはベルリン在住の薗田奈緒子。
9/19@浜離宮朝日ホール
http://www.pacific-concert.co.jp/concert/view/890/

 

 

 

♩9/20 ハンブルクトリオ

2013年結成のハンブルクトリオはドイツのエバーハルト・ハーゼンフラッツ(ピアノ)、日本の塩貝みつる(ヴァイオリン)、リトアニアのヴィタウタス・ゾンデキス(チェロ)とそれぞれ出自の異なる3人によるピアノ・トリオである。今回が3度目の来日だが、メンデルスゾーン姉弟のピアノ三重奏曲を聴かせる。個性豊かなピアノ・トリオの醍醐味を堪能できよう。
9/20@東京オペラシティ リサイタルホール
https://accordmm.jimdo.com/アーティスト/ハンブルクトリオ/

 

 

 

♩9/21 小菅優 ピアノ・リサイタル Four Elements vol.2 「Fire」

小菅優が昨年から開始した「Four Elements(4元素)」水・火・風・大地をテーマとするシリーズ第2回は「火」。人間が自然の一つにすぎないこと、本当に必要なものは何か、といった問いを聴衆とともに考えて行きたいというのがこのシリーズの趣旨。今回、火にまつわる曲を集めたら第一次世界大戦周辺の作品ばかりになったとのことで、チャイコフスキーの「四季」の<炉端にて>からストラヴィンスキーの「火の鳥」までをオムニバス風に綴る。ありがちな若手人気ピアニストの枠にとどまらぬ発信力に期待したい。
9/21@東京オペラシティ コンサートホール
http://www.kajimotomusic.com/jp/concert/k=679/

 

 

♩9/21,22 NHK交響楽団 第1892回 定期公演 Cプログラム

パーヴォ・ヤルヴィが、故郷の団体、エストニア国立男声合唱団を呼び、初期の大作《クレルヴォ》を中心に、ジャン・シベリウスの作品によるプログラムを演奏する。もう一曲の《フィンランディア》ともども、合唱が重要な曲目であり、どのような歌を聴かせてくれるか楽しみである。フィンランドのソプラノのヨハンナ・ルサネンとバリトンのヴィッレ・ルサネンの姉弟は、ヨーロッパ各地で《クレルヴォ》を歌ってきた実績もあり、言葉の点でものぞましい。ヨハンナは2001年に来日しリサイタルを行っているが、近年の充実した活動の一端を楽しみにしたい。ヤルヴィ指揮のNHK交響楽団も、シベリウスの厚い響きを聴かせてくれるだろう。
9/21,22 NHKホール
http://www.nhkso.or.jp/concert/concert_detail.php?id=786

 

♩9/21、22 紀尾井ホール室内管弦楽団 第113回定期演奏会

9月の定演は昨年4月に首席指揮者に就任したライナー・ホーネックの<モーツァルト選集>。世界的ヴィオリスト今井信子を迎え「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲」を披露。この作品はスコアにあるスコルダトゥーラ(特別調弦)の問題で半音高く調弦するか、楽器を替えるか悩ましいそうだ。旧知の二人がどんなアプローチを見せるか興味深い。他に「ハフナー・セレナーデ」。初秋のモーツァルトをじっくり味わう夕べである。
9/21,22@紀尾井ホール
http://www.kioi-hall.or.jp/20180921k1900.html

 

 

 

♩9/22、23 オペラ「ルイーズ」

東京オペラ・プロデュース102回定期公演はシャルパンティエ「ルイーズ」全4幕フランス語上演。フランス国内では頻繁に上演されており、日本初演はこの団体により2007年。社会の抱える問題、台本からのメッセージなどヴェリスモをフランスにいち早く取り入れたシャルパンティエの本作は結婚をめぐっての身分・職業への偏見、親子の対立を軸としたもの。優美な音楽とともに考えをめぐらせる上演となろう。
9/22,23@新国立中劇場
http://operaproduce.web.fc2.com

 

 

♩9/23 ジャン・ギアン・ケラス&フレンズ トラキア・プロジェクト

万能のチェリスト・ジャン=ギアン・ケラスが、彼の古くからの友人たちと共にバルカン半島南東部のトラキア地域の音楽にスポットを当てた演奏会を催す。シェミラーニ兄弟はペルシャ古典音楽の打楽器奏者、ソクラティス・シノプロスはギリシアの古代から伝わる楽器・リラ奏者。4人によるトラキアの伝統音楽に西洋現代音楽、そして即興演奏というボーダーレスなプログラムに胸が高まる。
9/23@三鷹市芸術文化センター 風のホール
http://mitaka-sportsandculture.or.jp/geibun/wind/event/20180923/

 

 

 

♩9/23 エストニア国立男声合唱団

パーヴォ・ヤルヴィと組んだ録音がグラミー賞を取った注目の合唱団の初来日。指揮はミック・ウレオヤ。バルト3国屈指の合唱大国エストニアが誇る男声合唱の真髄を披露する。プログラムはラフマニノフの徹夜祷にエストニアの作曲家トルミスの名作ほか。合唱ファンでなくとも聞き逃せない一夜である。
9/23@すみだトリフォニーホール
http://www.triphony.com/concert/2018/flyer_180923_Estonian.pdf
http://www.tempoprimo.co.jp/contents/ticket/pg205.html

 

 

 

♩9/23 横山幸雄 ピアノ・リサイタル 「ベートーヴェン・プラスvol.5」

2013年に始まった横山幸雄の「ベートーヴェン・プラス」、第5回はベートーヴェン30代前半のピアノ・ソナタ、変奏曲を軸にブラームス、ショパン、ドビュッシー、ラヴェルを置いた。午前11時から午後16時半まで全5部の構成で、古典派から印象派にいたるピアニズムの大アーチを描き出す。ラヴェル直伝のペルルミュテールに学んだ横山のフレンチも楽しみだ。
9/23@東京オペラシティ コンサートホール
https://www.japanarts.co.jp/concert/concert_detail.php?id=675

 

 

♩9/23 第56回大阪国際フェスティバル2018 サー・サイモン・ラトル指揮 ロンドン交響楽団

この6月にベルリン・フィルを勇退したばかりのラトルが、新たに音楽監督に就任したロンドン交響楽団を率いて初の日本ツアーを行う。ツアー初日となる大阪では、今年生誕100年を迎えたバーンスタインの交響曲第2番「不安の時代」(ピアノ独奏はクリスチャン・ツィメルマン)と、マーラーの交響曲第9番という何とも贅沢なプログラムを披露(大阪限定プロ)。母国イギリスのオーケストラでこれからどのようなサウンドを作るのか、その方向性をうかがう貴重な機会となりそうだ。
9/23@フェスティバルホール
https://www.festivalhall.jp/program_information.html?id=1603
http://www.asahizaidan.or.jp/festival/festival01_2018.html

 

♩9/24 ボンクリ・フェス2018

藤倉大をアーティスティック・ディレクターとする「ボンクリ・フェス」の第2回。赤ちゃんからシニアまでが楽しめる1日音楽祭で、朝から晩まで色々なジャンルのイベントを東京芸術劇場内に散りばめた。ワークショップ、即興音楽、日本の伝統音楽、合唱、エレクトロニクスなどなど世界中からの「新しい音楽」が集合、思い思いに時を過ごせる楽しさ。ぜひ遊びに行こう。
9/24@東京芸術劇場
http://www.geigeki.jp/performance/concert138/

 

 

 

♩9/25 東京ニューシティ管弦楽団 第120回定期演奏会

新進気鋭の指揮者、ヌーノ・コエーリョを迎えての今回の曲目はシューマン、ベートーヴェンの間になんと伊福部昭のマリンバ協奏曲『ラウダ・コンチェルタータ』を挟むという異色の取り合わせ。堅固に構築されたドイツ音楽と、日本の土俗的で宗教的とも言える感覚を喚起させる伊福部音楽をコエーリョはどう再現するのか、注目である。マリンバ独奏者は同曲のCD録音もある塚越慎子。
9/25@東京芸術劇場
http://www.tnco.or.jp/concert/第120回定期演奏会-the-120th-subscription-concert/

 

♩9/29 Music Dialogue in Kyoto vol. 5 シューマンが響く秋の高台寺

若手演奏家や聴衆の育成を目指し、「室内楽との対話」をモットーに東京や京都などで演奏会を行なっている「Music Dialogue」。他分野の芸術との「対話」も重視する彼らが新たに企画したのは、秀吉の正室、北政所が建立した高台寺を舞台にシューマンの歌曲集《詩人の恋》を朗読とヴィオラ、ピアノで奏するという珍しい内容。その他、《子供の情景》や《幻想小曲集》などもプログラミングされ、京都の古刹でシューマンを堪能するというちょっと変わった一夜となりそうだ。
9/29@高台寺利生堂
http://www.music-dialogue.org/business/index.html

 

♩9/30 開館20周年記念公演 マーラー作曲 交響曲第8番「千人の交響曲」

興行主により「千人の交響曲」と銘打たれたマーラーの交響曲第8番は、彼の作品中最大の編成を誇り、その演奏会とあらばそれ自体が話題になるほどの祝祭性を内包している。そんな巨大作が今秋、競い合うように全国各地で上演される。九響が狼煙を上げ、10月までに京響、読響、名フィルが次々に作品に挑む。そんな中でも注目したいのがびわ湖ホールの開館20周年を祝う公演だ。芸術監督の沼尻竜典の下、同ホール声楽アンサンブルや実力派の歌手が結集。「びわ湖リング」の高水準な音楽を支える沼尻×京響の描くマーラーに大いに期待したい。
9/30@びわ湖ホール
https://www.biwako-hall.or.jp/performance/2017/12/02/208.html