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PickUp (2022/7/15)|東京文化会館 歌劇「400歳のカストラート」|林喜代種

東京文化会館 歌劇「400歳のカストラート」 

2022年6月25日東京文化会館小ホール(ゲネプロにて)
Text & photos by 林喜代種

歌劇「400歳のカストラート」は2020年の一部出演者を変えての再演です。

カウンターテナーの藤木大地が主演、企画原案、選曲を担当した注目の東京文化会館舞台芸術創造事業公演。バロックからクラシック音楽史400年の名曲を藤木大地の歌で綴るオリジナル歌劇。全24曲が演奏される。
一部を紹介すると、ヴィヴァルディの歌劇《ジュスティーノ》より「よろこびと共に会わん」、ヘンデルの歌劇《オルランド》より「私に怪物や魔物と戦わせてくれ」、モーツァルトのモテット「アヴェ・ヴェルム・コルプス」、J.シュトラウス2世《こうもり》より「お客を呼ぶのが好き」、ラフマニノフの14の歌より第14曲「ヴォカリ-ズ」、加藤昌則の「絶えることなくうたう歌」など。
演奏者は音楽監督の加藤昌則のピアノ、ヴァイオリンは2度目の成田達輝、初参加は周防亮介のヴァイオリン、東条慧のヴィオラ、上村文乃のチェロである。朗読は前回同様大和田獏と大和田美帆、平常の脚本・演出・美術。
藤木大地演ずるカストラート「ダイチ」は400年を通して現代まで生きた役柄。それを彼のカウンターテナーの歌と演技で表現する。太平洋戦争中に声を失う苦しみや悲しみを味わうが、戦後の復興と共に声を取り戻していく。朗読と藤木の歌と演技が印象的だった。

(2022/7/15)