注目の公演・イベント|2021年11月
♩11/1~12/12 NODA・MAP番外公演『THE BEE』
2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件に触発され、筒井康隆「毟りあい」を原作として、野田秀樹がロンドンでのワークショップをもとに書き下ろした英語戯曲。2006年初演ののち、世界各地で再演されてきた同作が日本語で上演されるのは2012年ぶりとなる。
11/1~12/12@東京芸術劇場 シアターイースト
https://www.geigeki.jp/performance/theater293/
神童として世界のクラシック音楽界に名を轟かせ、35年前の初来日公演では日本に旋風を巻き起こしたキーシン。今年で50歳を迎えるとともに、この夏には恩師カントール女史を亡くすなど、彼にとってはキャリアの節目の年となった。隔離期間を経て臨む来日ツアーは5都市で開催予定。天才にして孤高のピアニストの今後の行く末を占う絶好の機会となりそうだ。
・下記の日程で全国ツアーが行われる
10/28 (木)ミューザ川崎シンフォニーホール
11/2 (火) 所沢市民文化センター ミューズ アークホール
11/6 (土) ザ・シンフォニーホール
11/10 (水)東京オペラシティ コンサートホール
11/14 (日)愛知県芸術劇場コンサートホール
11/17 (水)サントリーホール
https://www.asahi.co.jp/symphony/event/detail.php?id=2484
♩11/6 C×C 作曲家が作曲家を訪ねる旅 山本裕之×武満徹
神奈川県民ホールが放つ新たなコンサートシリーズ「C×C」。記念年を迎える作曲家と現代の作曲家とをコラボレーションさせるプログラムで、音楽の過去・現在・未来を描き出す。第一回目となる今回は没後25年を迎えた武満徹と「輪郭主義」などで知られる山本裕之。コンサート当日そこにあるのは、二人の作曲家の友好関係か、それとも真っ向勝負か。期待が高まる。
11/6@神奈川県民ホール 小ホール
https://www.kanagawa-kenminhall.com/event/detail?id=37364
びわ湖ホール声楽アンサンブルによる「日本合唱音楽の古典」シリーズⅥ、注目は寺嶋陸也委嘱新作『年を忘れた少年の歌』。自然の息吹、命の温もりを伝える森哲弥の『少年百科箱日記』からの5編。寺島は指揮の沼尻竜典とは幼馴染とか。親密な合唱世界が創出されよう。他に三善晃、大中恩らの作品が並ぶ。
11/6@びわ湖ホール
https://www.biwako-hall.or.jp/performance/bve73
11/7@東京文化会館小ホール
https://www.t-bunka.jp/stage/12078/
寺田倉庫の「歌う建築」展(2020年)における企画から、長塚圭史が能作文徳・常山未央設計「西大井のあな/2018」を体感して創作された、「或る老女とその住まいとの対話劇」。
11/7~15@吉祥寺シアター
https://asagayaspiders.com/pg3861443.html
3年に一度開催の浜松国際ピアノ・コンクールは『蜜蜂と遠雷』でも知られるが、そこから羽ばたいたピアニストたちが浜松に集結しての9日間のフェスティバル。オープニングのジャン・チャクムルからフィナーレの牛田智大×髙木竜馬×小井土文哉~コンチェルトの饗宴~まで、わくわく感満載のピアノの競演。見逃せない、聴き逃せない豪華版だ。
11/7~28日@アクトシティ浜松(静岡県浜松市)
https://www.hipic.jp/news/2021/08/08111news.php
♩11/9 B→C バッハからコンテンポラリーへ 嘉目真木子 ソプラノ
バッハからコンテンポラリーへ、と同時に、ニーチェからアドルノへという側面もある。ワーグナーの危険性に警鐘を鳴らした者たちの系譜という意味では、今月のマイスタージンガーと対位法を成すプログラムである。アドルノを介して、ブレヒトのエピックシアターもちらつく「批判的」プログラム。
11/9@東京オペラシティリサイタルホール
https://www.operacity.jp/concert/calendar/detail.php?id=14376
ピアニストの廻由美子が主宰する「新しい耳」音楽祭・秋第29回は新世代の演奏家/作曲家の個展として第1夜「小倉美春の耳 ~Call・個展~」(薬師寺典子sop.松岡麻衣子vn.)、第2夜は越境音楽家2人による「田中信正pf.& 廻由美子pf.~火の鳥~」、第3夜「高橋悠治の耳vol.14 ~あそび~」波多野睦美(vo.)という刺激的なプログラム。すでに全日完売だが、HPにもろもろ動画情報あり、要チェック!
11/12~14@サロン・テッセラ
https://www.atarashii-mimi.com/concert-no28
♩11/13,14 NISSAY OPERA 2021 ベッリーニ:《カプレーティとモンテッキ》
ベルカント・オペラの代表的な作曲家ヴィンチェンツォ・ベッリーニによる「もう一つ」の《ロメオとジュリエット》。ロメオ役がメゾソプラノで女声二重唱の美しい響きも特長。今回指揮にあたる鈴木恵里奈は、藤原歌劇団、日生劇場などで副指揮者を数多く経験し、2019年に藤原歌劇団公演《蝶々夫人》で指揮者として本格デビューしている。彼女の若々しい演奏が楽しめることだろう。
11/13,14@日生劇場
https://opera.nissaytheatre.or.jp/info/2021_info/I-Capuleti-e-i-Montecchi/index.html
♩11/18 ストラヴィンスキーの「兵士の物語」+伊左治直新作初演
演出の自由度が高いストラヴィンスキー『兵士の物語』、今回は演劇やバレエをナシとして、語りに歌舞伎義太夫三味線奏者・野沢松也を招いての日本語上演である。浄瑠璃の強烈な「語り」がストラヴィンスキーの音楽とどう絡み合うのか興味津々。またストラヴィンスキーと同じ編成の伊左治直『密林の楽士』世界初演も期待大だ。
11/18@トーキョーコンサーツ・ラボ
https://tocon-lab.com/event/20211118
9月の「魔笛」とあわせて、東京で広義の「大衆劇」を「オペラ」で見るとはどういうことなのか、市民性とはなにかということが改めて問われている。7月公演は中止となったが、疫病下の歌合戦が実現か。ではこのとき喜劇とはいったい何だろうか?
11/18~12/1@新国立劇場
https://www.nntt.jac.go.jp/opera/diemeistersingervonnurnberg/
♩11/20 プラチナ・シリーズ第2回 野平一郎・堀正文・堤剛 ピアノ・トリオ
日本が誇るレジェンド、野平一郎・堀正文・堤剛のピアノ・トリオでベートーヴェン「大公」は必聴ではないか。若手室内楽が元気いっぱいの昨今、ヴェテランの風格品格を堪能させてくれよう。他にベートーヴェン「ヴァイオリン・ソナタ」とシューベルトの「アルペジオーネ・ソナタ」という組み合わせも「抜け感」あり。ちなみに野平はこの9月から東京文化会館館長に就任。今後の舵取りにも期待したい。
11/20@東京文化会館小ホール
https://www.t-bunka.jp/stage/10898/
♩11/23 What Price Confidence~エルンスト・クルシェネク没後30年によせて~
クルシェネクが第二次大戦中に書いた室内オペラ『信じること、その値段は(What Price Confidence)』を今現在のコロナ禍中に「オペラの灯を消すな!」という言葉とともに日本初演する気概を買いたい。その音楽を通じて我々は何を信じるべきかを教えてくれることを期待する。
11/23@北とぴあつつじホール
http://kitabunka.or.jp/event/6512/
♩11/24、25 アレクサンドル・カントロフ ピアノ・リサイタル
トッパンホールのエスポワール・スペシャル17に登場はアレクサンドル・カントロフ(pf)。2019年チャイコフスキー国際コンクールの覇者、日本デビューである。父はジャン=ジャック・カントロフであればまさにサラブレッド。ブラームス:4つのバラード 、リスト:《巡礼の年 第2年イタリア》より、ブラームス:ピアノ・ソナタ第3番と盤石の構成。その実力のほどを確かめたい。
11/24,25@トッパンホール
https://www.toppanhall.com/concert/detail/202111241900.html
♩11/26 サンドリーヌ・ピオー ~夢想のおもむくところ Chimere~
フランスのソプラノ、サンドリーヌ・ピオーが、エリック・ル・サージュのピアノに伴われて歌う歌曲の夕べ。ドビュッシー、プーランクといったフランスの作品、レーヴェ、シューマン、ヴォルフのドイツ歌曲、ディキンソンの詩にバクス、プレヴィンというアメリカの作曲家が付曲したものと多彩なプログラム。同名のタイトルのCDと同じ構成だが、ピアノがスーザン・マノフからル・サージュに代わったことで少なからず変化があるだろう。その違いを楽しみにしたい。
11/26@王子ホール
https://www.ojihall.jp/concert/lineup/2021/20211126.html
ベルリンを拠点に活躍著しい久末航がHakuju Hallのリクライニング・コンサートに登場。シマノフスキ「メトーフ」を中心に、ショパン、シューマンを配置と、いかにも彼らしいプログラミング。知性感性を兼ね備えた腕っこき、何と言ってもシマノフスキが楽しみだが、3人の作風をどうさばくかも聴きどころ。
11/26@Hakuju Hall 昼夜公演
https://hakujuhall.jp/concerts/detail/3026
首席客演指揮者のアクセルロッドが、2つの「英雄物語」を振る。注目は何と言っても「慶長遣欧使節」を題材とする小説『セビリアの侍』のための作品の世界初演。曲を手がけたのはセビリアの作曲家でギタリストのホセ・マリア・ガジャルド。作曲家本人によるギターのほか、箏にナレーションも加わり、400年前の両国の交流の様子が今に甦る。シュトラウスによる《英雄の生涯》と合わせ、東西の歴史を彩る英雄譚を堪能したい。
11/27,28@京都コンサートホール
https://www.kyoto-symphony.jp/concert/detail.php?id=1012&y=2021&m=11
♩11/27、29 新日本フィルハーモニー交響楽団定期演奏会第638回
シャルル・デュトワならではの色彩感あふれる選曲が何と言っても魅力!武満徹 : 弦楽のためのレクイエム 、ラヴェル : ピアノ協奏曲 、ストラヴィンスキー: 『ペトルーシュカ』それにラヴェル : ラ・ヴァルスときては胸躍ろうではないか。しかもピアノ協奏曲は今や破竹の勢い、北村朋幹だ。彼がデュトワとどんなラフマニノフを聴かせるか。たっぷり酔わせて欲しいマチネとソワレ。
【北村朋幹は出演できず、プログラムを大きく変更】
11/27@すみだトリフォニーホール
https://www.njp.or.jp/concerts/22614
11/29@サントリーホール
https://www.njp.or.jp/concerts/22618
13人の日本人作曲家が、アジア各国の音楽・文化からテーマを得た作品を披露する。岡倉天心の「アジアは一つである」という言葉を越えた、ポストコロニアリズム音楽会となるか、それとも疑似西洋国家・日本からアジアへのオリエンタリズム的視線が発露するのか、期待と不安が綯い交ぜだが、まずは現場に立ち会わざるべからず、だ。
11/30~12/1@北とぴあ・つつじホール
https://samulnori.jp/id/asia/index.html