注目の公演&イベント|2021年8月
国内外で活躍の実力派メンバー岩谷祐之、平山真紀子vn、 鈴木康浩va、 上森祥平vc結成のTOKI弦楽四重奏団、夏の恒例公演。今回はゲストに島田玲vaを迎え、「祈り そして復活」をテーマにヘンデル、レフラー、ヤナーチェク、バーバー、ドヴォルザークを並べる。心の架け橋としての音楽のたゆまぬ追求に耳を傾けたい。
8/3@浜離宮朝日ホール
http://shin-en.jp/schedule20210803/index.html
♩8/4-8/8 銕仙会・新作能『長崎の聖母』『ヤコブの井戸』
銕仙会による二作の新作能。多田富雄作の『長崎の聖母』(2005年初演)では長崎の聖母役にメゾソプラノの波多野睦美を迎え、浦上での被爆を、ディートハルト・レオポルド作の『ヤコブの井戸』(日本初演)では「ヨハネの福音書」のエピソードを題材として、平和とは、民族とは、と問いかける。銕仙会の思想が舞台の上で新作能としてどう花開くのか見届けたい。
8/4-8/8@座・高円寺
https://tessen-contemporary.com/2021/
♩8/4、7オペラ夏の祭典《ニュルンベルクのマイスタージンガー》
昨年は惜しくも中止となった「オペラ夏の祭典」。その時予定されていたワーグナーの大作、《ニュルンベルクのマイスタージンガー》を今夏、改めて取り上げる。演出を担当するイェンス=ダニエル・ヘルツォークによれば、本公演は「劇場が舞台」とのこと。場面転換を多く取り入れ喜劇的要素を打ち出した舞台が繰り広げられるようだ。ハンス・ザックスにトーマス・ヨハネス・マイヤーを迎えるなど、内外から一線で活躍する歌手が大野和士率いる東京都交響楽団と共演する。
8/4,7@東京文化会館
https://opera-festival.com/2021die-meistersinger-von-nurnberg
11/18,21,24,28,12/1@新国立劇場
https://www.nntt.jac.go.jp/opera/diemeistersingervonnurnberg/
アンサンブル九条山は、演劇性のあるユニークな舞台を展開することで知られる現代音楽グループ。今度のテーマは「彼岸」。メシアンの《世の終わりのための四重奏曲》をメインに、早坂文雄、石井眞木を取り上げる。もちろんそれだけでは終わらない。観世流能楽師、浦田保親との共演が本公演のもう一つの見もの。死者の霊を迎える8月ならではの現代音楽会となりそうだ。
8/6@京都府立府民ホール “アルティ”
http://ensemble-kujoyama.blogspot.com/
今春、ランチタイムで大いに会場を沸かせた周防亮介が「時を隔てた二つのカプリース/パガニーニ&シャリーノ」と題してのリサイタル。スリリングというか豪奢というか、イタリアの天才鬼才のカプリースを混ぜこぜに弾くほとんど魔界、真夏の夜の夢は何やら危険な香りが。
8/6@トッパンホール
https://www.toppanhall.com/concert/detail/202108061900.html
勅使川原三郎+KARASがゲスト・ダンサーを迎えての新作上演。内外の多彩な文学作品を材としたダンス作品創作で気を吐く勅使川原、今回は芥川龍之介「羅生門」に挑む。佐東利穂子の他、ハンブルクバレエのプリンシパル、アレクサンドル・リアブコがゲスト、笙奏者の宮田まゆみも参加で、この「鬼伝説」をいかに表出するか、期待が膨らむ。
8/6~8@東京芸術劇場
https://www.geigeki.jp/performance/theater280/
8/11@愛知県芸術劇場
https://www-stage.aac.pref.aichi.jp/event/detail/000527.html#000527
♩8/7 緑の月桂樹、枯れた月桂樹~イタリア古都フェッラーラのマドリガーレ
近年活躍の幅を広げてきているチェンバロの上羽がミラノ市立音楽院でともに学んだソプラノでリュートも弾く森と組んで繰り広げる世界。当時は一大音楽都市だったフェッラーラを舞台に、ルネサンスとバロックの隙間で見落とされがちな歴史をすくいあげる。
8/7@Salone Fontana
https://www.facebook.com/events/954465948650576/
♩8/9 フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2021
東京交響楽団フィナーレコンサート
フェスタサマーミューザKAWASAKI、今年も音楽欲をそそる公演が並ぶが、中でも注目されるのは東響・原田慶太楼によるフィナーレ。『アイーダ』と、それを原曲としたドレイク・ミュージック・アンサンブル・プロジェクトの即興、アダムズ『アブソルート・ジェスト』、そして吉松隆『交響曲第2番 地球(テラ)にて』の4楽章完全版である。ポストモダニズムもなし崩し的に平板化されている感のある今現在の日本にこれらの音楽がどう響いてくるのか傾聴したい。
8/9@ミューザ川崎シンフォニーホール
https://www.kawasaki-sym-hall.jp/festa/calendar/detail.php?id=2928
♩8/11 ラ・ムジカ・コッラーナ バロック・コンチェルト・フェスティバル Vol. 8
古楽界の若手精鋭集団ラ・ムジカ・コッラーナのバロック定期。ヴァイオリンの丸山、チェロの島根と古楽界で活躍中の2人がディレクターとサブディレクターをつとめる古楽オーケストラが今回とりあげるのはアルビノーニ、ガルッピ、ヴィヴァルディ。イタリアものの煌びやさを存分に楽しめるに違いない。
8/11@豊洲シビックホール
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/02v3bqtubtk11.html
♩8/11 落合陽一×日本フィル プロジェクトVOL.5 《醸化する音楽会》
毎夏恒例となった落合陽一×日本フィルの第5回は《醸化する音楽会》と題し「五感、解禁。」がコンセプト。生オケの音に五感を総動員、嗅覚味覚も取り混ぜた音楽と身体性を取り戻す「身体性の回復」を謳う。東西文化圏それぞれのDNAの発酵から生まれる新しい可能性をかつて高度経済成長期にあった科学技術と人間性の調和の夢に反芻する、とのこと。配信あり。新しい可能性、新しい「自然」とは?
8/11@サントリーホール
https://japanphil.or.jp/concert/24672
♩8/12、13 トーキョー・メット・サラダ・ミュージック・フェスティバル 2021
Sing and Listen and Dance~歌う!聴く!踊る!をコンセプトに、都と都響が東京芸術劇場、豊島区と連携、赤ちゃんから大人まで楽しめる多彩なプログラムを展開するフェス。メインプログラムは「オーケストラ×歌×ダンス」で大野和士の指揮のもと、赤ちゃんから入場OK!の「OK!オーケストラ」、演出振付家の金森穣が率いるダンスカンパニーNoism Company Niigataが再登場のほかグリム童話を題材とした子どものためのオペラ『ゴールド!』の日本初演などが並ぶ。わいわい楽しみたいフェス、配信あり。
8/12,13@東京芸術劇場/池袋エリア
https://salad-music-fes.com/
♩8/15 上森祥平 J.S.バッハ × B.ブリテン 無伴奏チェロ組曲全曲ー究極の9曲
毎年恒例、気鋭のチェリスト上森祥平による、バロックと現代を代表する無伴奏チェロを往還する試み。聴き手も演奏者も相応の集中を要求されるが、一年の時を隔てて上森の音楽がどう進化していっているのか聴き比べるのも大いに楽しみである。
8/15@東京文化会館小ホール
https://www.uwamori.jp
♩8/20〜22 第15回 Hakuju ギター・フェスタ2021
第15回を迎える<Hakuju ギター・フェスタ 2021>は「原点回帰」がテーマ。大萩康司、福田進一、鈴木大介、荘村清志、沖仁と豪華な布陣。「旬のギタリストを聴く」は、パリ国立高等音楽院で学び、パリで活躍する松本大樹が登場、ブローウェル、藤井敬吾などを取り上げる。最終日の荘村清志、福田進一、鈴木大介、大萩康司によるギター・カルテットも楽しみだ。
8/20~22@Hakuju Hall
https://www.hakujuhall.jp/syusai/233.html
♩8/21,22 子どもたちとアンドロイドが創る新しいオペラ『スーパーエンジェル』
アンドロイド「オルタ3」が出演するオペラが遂に上演される。新制作、創作委嘱作品・世界初演で作曲は渋谷慶一郎、台本は島田雅彦、そして総合プロデュースと指揮は大野和士と、制作陣は錚々たる顔触れ。「子どもたちとアンドロイドが創る新しいオペラ」によって人間の未来、オペラの未来を是非見てみたい。
8/21,22@新国立劇場
https://www.nntt.jac.go.jp/opera/super_angels/
今年のサントリーサマーフェスティバルは、「ザ・プロデューサー・シリーズ」にアンサンブル・アンテルコンタンポランが迎えられ、その音楽監督を務めるマティアス・ピンチャーが「テーマ作曲家」に選ばれた。マティアス・ピンチャーの個展はもちろんのこと、「ブーレーズを少々」をはじめ、細川俊夫のオペラ『二人静』とマーラーの『大地の歌』を組み合わせたプログラムなど、強力なラインナップが目白押し。芥川作曲賞の最終候補には、桑原ゆう、杉山洋一、原島拓也が選ばれている。現代音楽の祭典を今年も楽しみたい。
8/22~28@サントリーホール
https://www.suntory.co.jp/suntoryhall/feature/summer2021/
浜離宮ランチタイムコンサートvol.205に登場はロン・ティボー・クレスパン国際コンクール第3位(1位なし)など国際コンクールで数々の賞を受賞の気鋭の若手實川風。バッハ 「目覚めよと呼ぶ声が聞こえ」 (ケンプ編)、ヤナーチェク「1905年10月1日 街頭にて」、ショパン「幻想ポロネーズ 」、べートーヴェン「ソナタ第8番、第31番 」を並べる。みずみずしい感性に潤いたい。
8/26@浜離宮朝日ホール
https://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/event/2021/08/event1872.html
2020年7月に予定されていた公演が、1年延期して開催される。カロリーネ・グルーバーの演出は、ルルの出自や生育過程といったオペラ以前のストーリーにも焦点をあてるものとのこと。ベルクが作曲した2幕版での上演。指揮はフランスの俊英、マキシム・パスカル、切れ味の鋭い演奏を聴かせてくれることだろう。二組のキャストが予定されているが、その片方はタイトルロールのルルを歌う森谷真理の二期会会員としての最後の出番となる。
8/28~31@新宿文化センター 大ホール
http://www.nikikai.net/lineup/lulu2020/index.html
1976年にピエール・ブーレーズが設立した演奏団体「アンサンブル・アンテルコンタンポラン」が、刺激的なレパートリーを引っ提げて神奈川県立音楽堂に登場。ブーレーズにはじまり、リゲティ、一柳慧、グリゼイ(デュフールから変更)、そして若手の作曲家であるミケル・ウルキーザ、アンナ・ソルヴァルズドッティルの名前がプログラムに並んでいる。現代音楽アンサンブルの最高峰の技に酔いしれたい。
8/29@神奈川県立音楽堂
https://ongakudo-classic.com/21vol03/
♩8/30-9/12 フロリアン・ゼレール『Le Fils 息子』
日本では『Le Père 父』(2019)が記憶に新しい、フランスの作家・劇作家フローリアン・ゼレールによる2018年の新作『Le Fils息子』。演出はフランスオリジナル版を手掛けたラディスラス・ショラー。両親の離婚により、世間社会から「ズレ」ていく息子役に岡本圭人。息子を救おうとする父親役に岡本健一。古典的とも言える主題が現代ではどのように現れてくるのだろうか。
8/30-9/12@東京芸術劇場 プレイハウス
https://www.lefils-theatre.jp/