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注目の公演&イベント|2021年7月

♩7/2 D.Buxtehude Membra Jesu nostri 私たちのイエスのお身体

かのバッハがわざわざ聞きに行ったというエピソードで知られるブクステフーデだが、今日ではオルガン曲を除けばほとんど演奏されない。気鋭の演奏家が結集して、代表的な声楽作品を聴ける絶好の機会。聞き逃すべからず。

7/2@日本福音ルーテル東京教会
https://tiget.net/events/120077

 

 

 

 

♩7/3 ラス・ウエルガス写本の聖母のミサ

14世紀初頭に編纂された、スペインの女子修道院で歌われていた宗教音楽を収録したラス・ウエルガス写本は、CDがいくつも出ているほどこの時代の音楽としては知られたものだが、実演に接することができるのは非常に稀である。この写本を歌うために集まったヴォーカル・アンサンブルが5年の歳月をかけて、当時の写本から紡ぎ出す音楽に耳を傾けたい。

7/3@大森復興教会
https://amare-harayayo.amebaownd.com/posts/6802039/

 

 

 

♩7/3、4 未練の幽霊と怪物 -『挫波(ザハ)』『敦賀(つるが)』-

以前ロームシアターで観劇したチェルフィッチュ主宰の岡田利規が関わる作品として興味津々。能の形式と夢とレクイエムというキーワードがどんな作品になるのだろうか。映画「アンダードッグ」で主役を演じた森山未来が出演しているところも好奇心をそそる。

7/3,4@兵庫県立芸術文化センター
https://www1.gcenter-hyogo.jp/contents_parts/ConcertDetail.aspx?kid=5012412308&sid=0000000001

 

 

 

 

♩7/3~19 新国立劇場《カルメン》

新国立劇場の2020/21シーズンの最後の演目、ビゼー作曲の《カルメン》、アレックス・オリエ演出による新制作の舞台。劇場の設備にふさわしい装置やオリエ独自の時代設定、人物像など興味深い点が多い。「新型コロナウイルス感染症拡大予防対策を講じた新時代の生活様式を考慮した演出」とのこと。指揮は音楽監督の大野和士。
今回は歌手も楽しみ。タイトルロールのステファニー・ドゥストラックはバロック・オペラから入り、近年幅広い役柄を歌い、高く評価されている。エスカミーリヨのアレクサンドル・ドゥハメルはフランス出身の若手。フランスの劇場を中心にさまざまなオペラの主役を歌い、注目を集めている。
7月9日から16日には同じプロダクションで、「高校生のためのオペラ鑑賞教室」が行われる。こちらはすべて日本人キャスト、山下牧子と谷口睦美がタイトルロールを歌う。
月末には、びわ湖公演が予定されている。鑑賞教室、びわ湖ともに指揮は沼尻竜典。

7/3~19@新国立劇場
https://www.nntt.jac.go.jp/opera/carmen/

 

♩7/6 三浦一馬キンテート

アストル・ピアソラ生誕100年祭としてバンドネオンの三浦一馬キンテートが放つピアソラ決定版。石田泰尚vn、山田武彦pf、高橋洋太cb、大坪純平guitの精鋭熱血気心メンバーで、彼らならではのオリジナリティ溢れる尖った現代のピアソラが爆発するに違いない。
夏の宵にはもってこい、だ。

7/6@浜離宮朝日ホール
https://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/event/2021/07/event1860.html

 

 

 

♩7/6 服部百音 ヴァイオリン・リサイタル

言わずと知れた音楽一家服部家のニュー・スター服部百音のリサイタル。2009年リピンスキ・ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリン・コンクールのジュニア部門で史上最年少第1位及び特別賞でその実力のほどを知らしめる。ショスタコーヴィチ、プロコフィエフ、シマノフスキ、ラヴェルと馬力と技巧全開のプログラム。圧倒されたい。

7/6@紀尾井ホール
https://www.ints.co.jp/mone-hattori2021.html

 

 

 

♩7/8 紀尾井 明日への扉 第29回 樋渡希美(打楽器)

2020年度の振替公演。シュトゥットガルトで学ぶ若き俊英のデビュー・リサイタル。本公演では、前半でソロ作品、後半でアンサンブル作品が披露される。プログラムは、グロボカール、福士則夫、三木稔など、現代音楽作品が中心を占めている。マリンバ以外の多種多様な打楽器の演奏も堪能できるだろう。若い才能の飛翔の瞬間を、しかと見届けたい。

7/8@紀尾井ホール
https://kioihall.jp/20210708k1900.html

 

 

 

♩7/9 大島亮プロデュース 弦の響き

神奈川フィルの大島亮vaのプロデュースによる「弦の響き〜磯村和英氏を囲んで」。東京 クァルテットで国際的活躍を長く続けた磯村を招いての昨年6/26延期公演。松浦奈々、直江智沙子vn、辻本 玲、市寛也vcら主要オケのメンバーを集め、シューベルト、モーツァルト、ブラームスと編成を広げるプログラム。達人たちの息のあったアンサンブルを楽しみたい。

7/9@トッパンホール
https://www.toppanhall.com/concert/detail/202006261900.html

 

 

 

♩7/11 1964音風景

前回の東京オリンピック・パラリンピックの開催年・1964年にはどのような音楽が創造されていたのかを振り返るコンサート。日本でいまだ現役の作曲家・湯浅譲二、高橋悠治、一柳慧らと、アメリカで対照的な音楽思想を開拓していたケージ、ライリーが取り上げられる。演奏は手練のアンサンブル・ノマド。単なる回顧展以上の音楽体験が得られるだろう。

7/11@水戸芸術館コンサートホールATM
https://www.arttowermito.or.jp/hall/lineup/article_4273.html

 

♩7/13 クンウー・パイク ピアノ・リサイタル

ソウル生まれ。渡米、1969年ブゾーニ国際ピアノ・コンクール金賞受賞など、国際的な活躍をするパリ在住のクンウー・パイクが「ショパンの夜想曲を求めて」とのタイトルでノクターンばかりを弾く一夜。その孤高の静謐を湛える詩情豊かなピアニズムに身を委ねよう。

7/13@王子ホール
https://www.ojihall.jp/concert/lineup/2021/20210713.html

 

 

 

 

♩7/13 東京現音計画#14〜コンポーザーズセレクション6:森紀明

2020年6月に予定されていたものの延期公演。第6弾となる「コンポーザーズセレクション」に、「Crossings」などジャンル横断的な活動で知られる森紀明が登場。
森が今回取り上げるのは、ニューヨークとシカゴの実験的な即興音楽シーンと関わりがある、若手から中堅のアメリカ在住の作曲家の作品だという。新作は、ゲストソリストに坂田明を迎えるサクソフォンコンチェルト。「ボーダーレス」を感じ、「アカデミズム」の現在地点について考える、またとない貴重な機会となるだろう。

7/13@杉並公会堂小ホール
https://tokyogenonproject.net/?cat=6

 

 

♩7/16 室内楽の極み メシアン『世の終わりのための四重奏曲』

メシアンが第二次世界大戦でドイツ軍の捕虜となり、捕虜収容所に収容されていたときに作曲さたこの四重奏曲は、ヴァイオリン・クラリネット・チェロ・ピアノという特殊な編成をもつ。収容所においてメシアンを含む捕虜の音楽家たちによって初演されたこの曲をいま、私たちはどのように聴くだろうか。

7/16@Hakuju Hall
https://teket.jp/337/4066

 

 

 

 

♩7/16 篠原眞 室内楽作品による個展

押しも押されぬ現代日本音楽界の巨匠ながら、いちどの演奏会を通してその作曲の軌跡を体感できる機会はめったにない。今回は西洋楽器の枠組みでの選曲だが、演奏者にも錚々たる顔ぶれが並び、凝縮された鮮烈な時間をあらかじめ約束されているかのようだ。

7/16@東京オペラシティリサイタルホール
https://www.confetti-web.com/detail.php?tid=61277

 

♩7/17 川口成彦 ―ショパンをめぐる旅

フォルテピアノの川口成彦がプレイエル(1843年製)、ヴィンテージ・スタインウェイ(1887年製)で「ショパンを巡る旅」と題し、ショパンにちなんだ作曲家の作品を周辺に配したプログラムを組んだ。オネゲル、シューマン、プーランク、モンポウら、楽器の個性、作曲家の個性、そしてそれぞれの時代の香気をも細密に描き出してくれることだろう。川口のピアニズムの知・情・意をとくと目撃したい。

7/17@トッパンホール
https://www.toppanhall.com/concert/detail/202107171700.html

 

 

 

♩7/18 オーケストラ・ニッポニカ第38回演奏会

2002年設立の芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカの第38回演奏会は松村禎三交響作品集。野平一郎指揮で「ピアノ協奏曲第1番」(1973)pf渡邉康雄1973)、「ゲッセマネの夜に (2002/2005)「交響曲第1番」(1965)と代表作が並ぶ。とりわけ「交響曲第1番」はその初演時の衝撃が今日も語り継がれている作品。この貴重な機会、聞き逃せない。

7/18@紀尾井ホール
http://www.nipponica.jp/concert/next_concert.htm

 

 

 

♩7/20 【浜離宮ランチタイムコンサートvol.204】大西宇宙バリトン・リサイタル

2018年に5年ぶりのリサイタルをこのホールで持った大西宇宙。2019年セイジ・オザワ松本フェスティバルの《エフゲニー・オネーギン》においてタイトルロールの代役を務め、国内でのオペラ主役出演を果たし、それ以後、オペラとコンサートの両面で活躍の場を拡げている。3年ぶりとなるこのホールでのリサイタル、ランチタイムコンサートということで演奏時間が限られた中、歌曲とオペラ・アリアを組み合わせたプログラムが予定されている。今回は、レスピーギの歌曲、マーラーの《さすらう若人の歌》とまとまりのあるものが中心。この間の表現力の向上が聴けるだろう。
7/20@HAMARIKYU ASAHI HALL
https://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/event/2021/07/event1870.html

 

 

♩7/21 佐藤洋嗣X近藤聖也 DOUBLE BASS DUO CONCERT

なかなかまれなコントラバス2台のデュオ・リサイタル。マルチな活動を展開している原島拓也、期待の新人波立裕矢の2人の委嘱初演に、カプースチン、池辺、平、下山と、これまた個性的な作曲家の名前が連なる。縁の下の力持ち・コントラバスが縁の下からでたらどんな怪力を見せてくれるのか、実に楽しみだ。ピアノに井口みな美。

7/21@杉並公会堂小ホール
https://www.suginamikoukaidou.com/event/3851/

 

 

 

♩7/28 オペラ《PLAT HOME》

気鋭の作曲家・高橋宏治による「群像モノオペラ」(ソプラノ・薬師寺典子)の日本初公演。テロを題材にし、「私たちはわかりあえるのか」というサイトの言葉が実に重い。題材、そして現実の重さに比肩するオペラを求めたい。

7/28(昼、夜)@杉並公会堂小ホール
https://nezumi.tokyo/plathome

 

 

♩7/28 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団第343回定期演奏会

指揮・下野竜也とピアノ・小山実稚恵が伊福部昭『ピアノと管弦楽のための協奏風交響曲』に挑む。2017年8月にも本作に挑み喝采を博したこのコンビ、伊福部のトーン・クラスターの向こうに何が見えるのか、注目である。

7/28@東京オペラシティコンサートホール
https://www.cityphil.jp/concert/detail.php?id=229&y=2021&m=7

 

 

 

 

♩7/29 どーげんをプロデュースvol.1福井とも子

卓抜した技量を持つフルート奏者・木ノ脇道元を作曲家が自由にプロデュースしてしまおうという企画の第1回。プロデューサーは作曲家・福井とも子。なにやら物々しい雰囲気の作曲家と作品が並ぶが、木ノ脇ならば見事な音楽を聴かせてくれるに違いない。

7/29@トーキョーコンサーツ・ラボ
https://member.ebravo.jp/search-concert-detail/?concert_id=243747

 

 

 

 

♩7/30 NEO-SYMPHONIC JAZZ at 芸劇 スプラッシュ・ザ・カラーズ!

2019年に始まった、東京フィルハーモニー交響楽団と挾間美帆 m_big bandによるシンフォニック・ジャズの演奏会。オランダのメトロポール・オーケストラ常任客演指揮者を務める挾間美帆の指揮のもと、今年はボーカルに吉田沙良(モノンクル)を迎えて臨む。

7/30@東京芸術劇場コンサートホール
https://geigeki.jp/performance/concert231/

 

 

 

 

♩7/31、8/1オペラ《カルメン》

「沼尻竜典オペラセレクション」と題し、びわ湖ホールと新国立劇場が連携して「カルメン」を新制作する。演出は、一昨年夏に両劇場が手がけたプッチーニ《トゥーランドット》のアレックス・オリエ。空間を生かした可動式装置によって人物の心理を巧みに描き出し、高い評価を受けた。古今東西繰り返し上演される今度の愛憎劇でも、従来とは一味異なる角度からの描写が期待される。タイトルロールに挑むのは、谷口睦美と山下牧子(ダブル・キャスト)。沼尻指揮による東京フィルハーモニー交響楽団が管弦楽を務める。

7/31,8/1@びわ湖ホール
https://www.biwako-hall.or.jp/performance/2021/01/22/carmen2021-1.html
(新国立劇場公演7月3、6、8、11、17、19日)