注目のコンサート|2020年5月
♩5/2ルーシー・ホルシュ&トーマス・ダンフォード
(公演中止)
リコーダー界期待の星ルーシー・ホルシュの3度目の来日公演。今回はリュートのダンフォードとの共演で、ヴィヴァルディのリコーダーソナタといったリコーダー用のレパートリーだけでなく、J.S.バッハの組曲の編曲やドビュッシーのフルート作品と時代もジャンルも射程の長いプログラム。
5/2@東京文化会館小ホール
https://amarone-arts.com/post-376/
https://amarone-arts.com/post-590/
♩5/4 Music Tomorrow 2020
(公演中止)
今回演奏されるのは第66回尾高賞作品の細川俊夫《渦》(2019)、委嘱世界初演となる西村朗《華開世界》、米国の作曲家レシュノフ《ヴァイオリンと管弦楽のための室内協奏曲》2015日本初演)、サロネン《ニュクス》(2011日本初演)の4作品。
西村作品は、道元<華開世界起>(『正法眼蔵』より)の読み替えとか。細川の静と西村の動の対比がどのように現前するか、非常に興味深い。指揮はロバート・スパーノ、レシュノフにはクレズマー奏者としても知られるVnノア・ベンディックス・バルグリー。
5/4@東京オペラシティ コンサートホール
https://www.nhkso.or.jp/concert/20200504.html
♩5/8 東京都交響楽団第903回定期演奏会Aシリーズ【三善晃の「反戦三部作」】
(公演中止)
日本の戦後現代音楽作品に果敢に挑戦し続けている山田和樹が、ついに三善晃の傑作三部に挑む。死者の声と生者の声が舞台上で交錯する三善の音響世界をどこまで読解し再現できるか、そして我々は今この音楽をどう聴くべきなのか、考えつつ聴き、聴きつつ考えねばなるまい。
5/8@東京文化会館
https://www.tmso.or.jp/j/concert/detail/detail.php?id=3354
♩5/9 中嶋香リサイタル ―ピアノと声による音楽空間を求めてⅤ―
(公演延期/無観客6/6配信予定)
中嶋香の「ピアノと声による音楽空間を求めてⅤ―」。合唱に関わることで開かれた声の領域をピアノとともに探索するシリーズ。林光『 島こども歌2 』、三宅榛名『 ピアノ・ソナタ第3番 』、権代敦彦の声とピアノのための『 海に還る 』、伊左治直 『 舟歌 』ほか2曲、篠田昌伸の声とピアノのための『 明滅するイメージ~「よろこべ午後も脳だ」によるパラフレーズ~ 』2020委嘱新作初演。意欲的な活動を注視したい。
5/9@ Hakuju Hall
http://www1.odn.ne.jp/~clh68390/
♩5/10 飯野明日香 Parfum du Futur vol.20
(公演中止)
飯野明日香「Parfum du Futur」は<新たな出会い>をコンセプトに2部構成。一つが「エラールの旅 」第2回で1867年製、福澤諭吉家伝承のエラール・ピアノの調べ。パルムグレンからラフマニノフまでをエラールで聴かせる。第二部は「和の歌」で日本の歌によるピアノ作品集全曲委嘱新作世界初演。金子仁美から山田武彦まで10名の作曲家の唱歌アレンジがずらりと並ぶ。楽しそうだ。
5/10@サントリーホール ブルーローズ
https://www.askaiino.com/project/parfum-du-futur-vol-20/
2020年4月から指揮者/クリエイティブパートナーに就任の鈴木優人が5月定期に登場。シューベルト交響曲第4番「悲劇的」とベリオ「レンダリング~シューベルトの未完の断片を用いて~」を組み合わせ、間に名手マティアス・ヘフスを迎えベーメ「トランペット協奏曲 」を加えるプログラム。シューベルトの過去と現代を行き来する斬新な音楽の旅に期待したい。
5/13@サントリーホール
https://yomikyo.or.jp/concert/2019/11/-598.php
♩5/14 マリアン・コンソート
(公演中止)
カウンターテナーのローリー・マクリーリーが2008年に設立したア・カペラグループの初来日。イギリスのルネサンス時代の巨匠ウィリアム・バードがカトリックのためにかいたミサ曲を中心に構成させたコンサートは救いを求めたくなる私たちにどう響くのか?
5月14日@東京文化会館小ホール
http://www.allegromusic.co.jp/TheMarianConsort2020.html
♩5/15~17 テッセラ音楽祭「新しい耳」
(公演中止)
三軒茶屋駅前のビル内にあるサロン風のイベント・スペース「サロン・テッセラ」。70席のこの親密な空間でピアニストの廻由美子が主宰し毎年春と秋に開催されるのが「新しい耳 テッセラ音楽祭」である(もちろん新しい耳=NEW EAR、ということでケージに由来している)。今年で26回目を迎える同音楽祭だが、今回の「春の会」は全3回、梯剛之が弾くゴルトベルク変奏曲とドビュッシー、武満徹作品による第1夜、工藤あかねと廻によるケージ、シェーンベルク(『月に憑かれたピエロ』)に一柳慧が演奏される第2夜、そして寺島陸也がベートーヴェン、シューマン、ショスタコーヴィチ、シューベルトに八村義夫を披露する第3夜。どの日もありきたりではないプログラミングに期待は高まるというものだ。
5/15~17@サロン・テッセラ
https://www.atarashii-mimi.com/
♩5/17 ソッリマ無伴奏チェロ・リサイタル
(2021年 2月17日(水)へ公演延期)
「100チェロ」で世界を沸かすチェロの怪人ソッリマの無伴奏リサイタル。バッハはもとより、自作、G.デ・ルーヴォ、ロマネッシチリアのアルバニア系住民に伝わる伝承曲(ソッリマ編曲)、コルベッタ(ソッリマ編曲)、サレント地方の伝承曲(ソッリマ編曲)などなど多彩なジャンルでの無伴奏が聴ける。深く楽しい愉悦に満ちた彼の魅力満載のコンサート。
5/17@三鷹市芸術文化センター 風のホール
https://mitaka-sportsandculture.or.jp/geibun/wind/event/20200517/
♩5/18、21 アンドレアス・ヘフリガー ピアノ・リサイタル
(公演中止)
エルンスト・ヘフリガーを父にもち、スイス人音楽一家の元に生まれドイツで育ったアンドレアス。1988年のニューヨーク・デビュー以来、名門コンサートホールでの公演や、北米、アジアなどで高い評価を得ている。ベートーヴェンピアノ作品全曲演奏「パースペクティブ」シリーズを行っており、5/21@東京文化会館小ホールでは『ハンマークラヴィーア』の他ムソルグスキー『組曲展覧会の絵』という重量級プログラム。5/18@武蔵野市民会館小ホールではワーグナー(リスト編)『イゾルデの愛の死 』も。
5/18@武蔵野市民会館小ホール
https://www.proarte.jp/shop/products/detail.php?product_id=2269
5/21@東京文化会館小ホール
https://www.proarte.jp/shop/products/detail.php?product_id=2235
♩5/22〜29 ヴィオラスペース2020
(公演中止・延期)
ヴィオラスペース2020は「ベートーヴェン生誕250年&ヒンデミット生誕125年記念」と銘打ち2大巨匠をヴィオラという視点から紹介するユニークなプログラムを組む。若手演奏家のための公開マスタークラスからコンサートまで、仙台、東京、大阪公演で開催。
とりわけヒンデミットの室内楽作品も含め豊かなヴィオラ世界を楽しみたい。
5/22 コンサート@宮城野区文化センターPaToNaホール
5/23&24公開マスタークラス @上野学園 石橋メモリアルホール
5/26コンサートⅠ@紀尾井ホール
5/27コンサートⅡ@上野学園 石橋メモリアルホール
5/28公開マスタークラス@相愛大学
5/29コンサート @あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホール
http://www.tvumd.com/program/detail/?event_code=violaspace&program_id=this_time
♩5/23 中田麦マリンバ・リサイタル
(公演延期・2021年3月10日)
ザ・フェニックスホールの主催事業「フェニックス・エヴォリューション・シリーズ」の公募企画の中から選ばれた公演の一つが、新進気鋭のマリンバ奏者、中田麦のリサイタル。中田は現代音楽、中でも邦人作曲家の作品を積極的に取り上げ高い評価を受けてきたが、本公演では三善晃と一柳慧のマリンバ作品に焦点を当てる。日本を代表する作曲家の音を若き奏者がどのように響かせるのか、この機会にぜひ聴いておきたい。
5/23@ザ・フェニックスホール
https://phoenixhall.jp/performance/2020/05/23/11655/
https://phoenixhall.jp/performance/2021/03/10/12983/
♩5/27、28 ハンヌ・リントゥ指揮、フィンランド放送交響楽団
(公演中止)
ハンヌ・リントゥとフィンランド放送響、5年ぶりの来日。リントゥは今シーズンでこのオケの首席指揮者を退任することが決まっているため同コンビでの来日公演はひとまずこれが最後となるだろう。両者の前回来日時、あるいはリントゥ単身での新日本フィルへの客演時のシベリウスを聴けば分かるように、この指揮者の演奏は極めて力強く強直で明快な構築に優れ、いわゆる北欧情緒的な雰囲気など微塵も感じられない。余計な夾雑物を交えず「シンフォニスト・シベリウス」の力量を徹底的に堪能させてくれるその演奏は誠に稀有なものだが、今回もそのシベリウスを再び披露してくれる。チャイコフスキーの第5もシベリウスと同様に感傷性よりもベートーヴェンばりのドラマが展開されよう。
5/27,28@サントリーホール
https://www.japanarts.co.jp/concert/concert_detail.php?id=801
♩5/29 リーラ・ジョセフォウィッツ&トーマス・アデス デュオ・リサイタル
(公演延期)
2020年の東京オペラシティ「コンポージアム」が迎えるのは、「ブリテンの再来」との呼び声高いイギリス人作曲家、トーマス・アデス。第3夜目となるこのコンサートでは、ピアニストとして登場。アデスの新作を、ヤナーチェク、ストラヴィンスキー、ナッセン、ラヴェルの作品が取り巻く、魅力的なプログラムが組まれている。
5/29@東京オペラシティリサイタルホール
http://www.operacity.jp/concert/compo/2020/schedule/200529.php
♩5/30 第58回大阪国際フェスティバル2020「ニーベルングの指環」ハイライト(演奏会形式)
今年の大阪国際フェスティバルの目玉の一つは、「ワーグナー指揮者」として名高い飯守泰次郎による「ニーベルングの指環」ハイライト(演奏会形式)。自身が9年にわたって常任指揮者を務めた関西フィルハーモニー管弦楽団を率いての上演だ。ペトラ・ラング(ブリュンヒルデ他)、ミヒャエル・クプファー=ラデツキー(ヴォータン他)、ミカエル・ヴェイニウス(ジークフリート他)など、世界一流のワーグナー歌手をソリストに迎えた豪華な舞台。今年傘寿を迎える飯守にとっても、一つの節目を飾るビッグ・イベントとなりそうだ。
5/30@フェスティバルホール
https://kansaiphil.jp/concert/#concert20200522
♩5/30 ラ・ジュメル第3回演奏会 天空の祝宴
(公演中止)
オート=コントル(高いテノール)、テノール、バスという、フランス音楽独特の編成で奏でられる世界。バロック・チェロの山本徹とクラヴサンの根本卓也を迎え、17世紀末にイタリアの影響を受けたフランス音楽という一捻りしたプログラム。
5/30@近江楽堂
https://www.facebook.com/pg/officefrenchbaroque/posts/
♩5/30 ピアノ・エトワール・シリーズ Vol.39 藤田真央 ピアノ・リサイタル
今や実力、人気共々飛ぶ鳥落とす勢いの藤田真央がこの度彩の国さいたま芸術劇場のピアノ・エトワール・シリーズに登場。モーツァルト、シューマン、ショパン、ベートーヴェンの名曲を惜しげなくズラッと並べたプログラムだが、有名曲だけにピアニストの力量が正面から問われよう。藤田の自信の表れであろうこのリサイタル、ピアノ好きであれば聴き逃す手はない。
5/30@彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール
https://www.saf.or.jp/arthall/stages/detail/7412
♩5/30 NIKIKAI Days @Blue Rose 第2日 ブラームス・ワルツ集「2つの愛の歌」
(公演中止)
ブラームス作曲のワルツ集《愛の歌》op.52 および《新・愛の歌》op.を中心とするコンサート。出演者は、二期会のベテラン歌手中心の4名と大ベテランと若手によるピアノ。
現時点で実施可能な音楽会は、サロンのような小規模な会場で、聴衆一人一人を主催者が確実に把握でき、なにかあった場合に追えることが必須だろう。観客の人数を半分くらいに限定するなどの方法は可能だろうが、会場、出演者、聴衆、主催者、それぞれがどこまでリスクを覚悟できるかによるだろう。
現時点では、海外からの演奏家の加わるコンサートの実施はむずかしいと考えられる。
5/30@サントリーホールBlue Rose
https://www.suntory.co.jp/suntoryhall/schedule/detail/20200530_S_2.html
浜松在住、演奏活動20周年を迎えた横坂の無伴奏リサイタルが浜松で開かれる。注目はスヴィリドフへの新作委嘱作品世界初演と黛敏郎『文楽』。ソッリマも無論、披露。多彩な横坂ワールドが楽しめよう。
5/30@ アクトシティ浜松
http://www.hcf.or.jp/life/guidance/event/2020/20th-gen/index.html
1人の作曲家が全作品の審査をする「武満徹作曲賞」も今年で22回となる。審査員を務めるのはトーマス・アデス。32ヵ国から集まった93作品の応募作の中からどの作品が選ばれるのか、注目が集まる。
5/31@オペラシティ コンサートホール
http://www.operacity.jp/concert/compo/2020/schedule/200531.php
巨匠ギトリスが「人生で聴いた一番もの凄い演奏!」と激賞したヴァイオリニストで、韓国、タタール、ベラルーシの血を引くカザフスタン生まれ。自身の編曲によるバッハ《G線上のアリア》で話題になったが、今回はそのバッハの他パガニーニ、イザイ、さらに自作の《レクイエム〜広島と長崎の子どもたちの思い出に》(世界初演)を並べた。その超絶技巧はもとより、自作世界も興味津々だ。
本公演は、コロナにより延期、以下に変更
2021年2月17日@品川区立五反田文化センター音楽ホール
https://mcsya.org/news/roman-kim-may-31-2020-postponed/