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Back Stage|様々な「出会い」の場。東京文化会館|里神大輔

様々な「出会い」の場。東京文化会館

text by 里神大輔 (Daisuke Satogami)

JR上野駅公園口の目の前にある東京文化会館は1961年4月に開館しました。開館した月にレナード・バーンスタイン&小澤征爾指揮/ニューヨーク・フィルハーモニックや英国ロイヤル・バレエ団が公演を行い、その後今日まで、国内外の様々な団体やアーティストによるオペラ、バレエ、コンサート等が連日開催されています。

建築は前川國男。建築面でも大きな注目を集め、現在でも国内外からの多くの視察が行われていますが、主な施設は3つ。「大ホール」(2,303席)では舞台公演やオーケストラ公演を中心に、「小ホール」(649席)ではリサイタルや室内楽公演が連日行われており、4階にある「音楽資料室」ではレコードやCD、DVDやLDの視聴、楽譜や音楽関係の書籍、公演プログラム(開館以降全て保存)の閲覧が出来ます(13時~20時/日曜は17時まで、月曜休室)。

さて、皆様のイメージされる「東京文化会館」とは、どのようなものでしょうか。おそらく、最初に書いたような「国内外のオペラ、バレエ、オーケストラ、リサイタル等」が行われている会場でしょう。数年間通い続ければ、世界の主要なオペラハウス、バレエ団の公演を一通り観られるというのは、世界でもここだけかもしれません。

実は、これらの公演の多くが「貸館」公演として行われています。一方、東京文化会館自身がプロデュースする公演も多数行われています。開館時から様々な公演が行われてきましたが、1999年4月の長期改修終了後、当時の館長である故三善晃氏の主導によりその内容と質に大きな拡充が図られました。東京都の文化政策や日本を取り巻く環境も変わる中、現在、主催事業の大きな柱は「創造発信」「人材育成」「教育普及」の3つで様々なタイプの事業が行われています。

オペラ『眠れる美女』

「創造発信」では、新作公演を中心とした事業を行っています。これまで大ホールや小ホールで初演した作品は、オペラ『古事記』(黛敏郎作曲)、オペラ『眠れる美女~House of the Sleeping Beauties~』(クリス・デフォート作曲・台本/川端康成原作)、オペラ『Four Nights of Dream』(長田原作曲・台本/夏目漱石原作)、「日本舞踊×オーケストラ」(花柳壽輔構成・演出/『ボレロ』『牧神の午後』『パピヨン』『ペトルーシュカ』等初演)、白井剛×中川賢一×堀井哲史『ON-MYAKU 2016 -see / do / be tone-』など。タイトルを見ただけでは「これは何だろう?」という公演が多く、正直なところ、チケット販売は苦労する公演がほとんどですが(新作につきものですね…)、非常にエキサイティングな舞台が産まれています。これからも様々な新作を創っていきますが、来年1月と3月には小ホールで2つの新作公演を予定していますのでご期待ください。

「人材育成」は、「東京音楽コンクール」と「ワークショップ・リーダー育成プログラム」が主な内容です。若手音楽家の育成には開館時から力を入れており、1965年から2002年まで「東京文化会館新進音楽家デビューコンサート」を開催し、翌年から「東京音楽コンクール」を開催しています。コンクールの構成も年々変化があり(例えば、第1~3回の本選は小ホールで、第4回より大ホールでオーケストラ伴奏による、など)、2016年より参加者の国籍・居住地を不問にした結果、海外からの応募も格段に増えました。このコンクールの大きな特徴は、豊富なアフターケアです。ホールが主催するコンクールということで、入賞者は私共が企画する公演に多数出演しています。

ワークショップ『ライオン・ビート』

「ワークショップ・リーダー育成プログラム」は、2012年開始。ポルトガルの音楽施設「カーザ・ダ・ムジカ」と連携し、ポルトガルのリーダーによる指導や派遣研修を通じ、東京文化会館や他会場で定期的にワークショップを行えるよう、日本人ワークショップ・リーダーを育成しています。

このような「人材育成」プログラムで生まれるアーティストやワークショップ・リーダーも活躍するのが「教育普及」の分野で、東京文化会館や都内各地で定期的に開催する「東京文化会館ミュージック・ワークショップ」や、非公開ですが学校や高齢者施設等で開催する「アウトリーチ・コンサート/ワークショップ」など近年活動が特に増えているのが大きな特徴です。特に「東京文化会館ミュージック・ワークショップ」では、対象となる参加者は最も若くて生後6ヶ月! 妊娠中の方を対象にしたワークショップも今年から始めます。

これまで紹介した公演の他にも様々な事業を行っていますが、「東京文化会館の主催公演ってどのようなことをやっているのですか?」と聴かれると、「有名なアーティストや楽曲のコンサートは少なく、一言では説明しづらい公演が多いけど、様々な作品やアーティストとの出会いがあり、0歳から誰でも参加できる様々なワークショップも行っています」と説明しています。

東京文化会館は様々なタイプの「出会い」の場を提供し、どの年代でも関わりを持つことが出来る企画を用意しています。また、東京文化会館以外で開催する公演も多数ありますので、これからも私共の活動にぜひご注目ください。

里神大輔(東京文化会館 広報担当)

(2018/2/15)

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今後の公演情報
【東京音楽コンクール入賞者出演公演】
上野deクラシック
5月18日(金)19:00 小ホール
出演 居福健太郎(ピアノ)
曲目 シューマン:ピアノ・ソナタ第1番 嬰ヘ短調 op.11 他
全席自由1,000円(販売中)
http://www.t-bunka.jp/stage/host_10554.html

【0歳から参加できるワークショップ】
東京文化会館ミュージック・ワークショップ「咲かせよう!音楽の花」
4月22日(日)10:30 リハーサル室
対象 6~18ヶ月
参加料500円(販売中)
http://www.t-bunka.jp/stage/host_10552.html
※同日開催する他の回は売り切れました。

【東京文化会館の舞台へ!】
東京文化会館バックステージツアー
4月18日(水)14:30/19:00
対象 中学生以上
参加料500円(2月24日(土)発売)
http://www.t-bunka.jp/stage/host_10605.html

東京文化会館チケットサービス 03-5685-0650(電話10:00~18:00/窓口10:00~19:00/Web 24時間)