注目のコンサート|2017年12月
♩12/2 長谷川陽子<デビュー30周年>チェロの個展2017
長谷川陽子がデビュー30周年として開くチェロの個展。チェロらしい響きを思う存分楽しみたいと組まれたプログラムは、ショパン、ミャスコフスキーという二人のポーランド生まれの作曲家のソナタのほか、吉松隆への委嘱作品。「チェロがもっとも朗々と歌える曲を書いてください」と依頼したとのことで、どんな作品が立ち現れるか楽しみだ。
12/2@浜離宮朝日ホール
https://www.japanarts.co.jp/concert/concert_detail.php?id=599
いつも何か新しい何かを聴かせてくれるジョナサン・ノット、彼が今回フィーチャーするのは「ホルン」である。ホルン独奏に、長さの異なるナチュラル・ホルン4
本を含む小管弦楽が絡んで独特の音響世界が楽しめるリゲティ、ホルン4本が冒
険活劇の主人公のように活躍するシューマン、そして第1楽章第1主題などでホル
ンが高らかに歌うベートーヴェン「英雄交響曲」。実に胸高鳴る演奏会となるだろう。
12/2@サントリーホール
http://tokyosymphony.jp/pc/concerts/detail?p_id=dl13XF9BkPU%3D&month=12
1981年に設立されて以降、弦楽合奏のほか管弦楽編成も交え30年以上にわたって活動してきた神戸市室内合奏団。レパートリーはバロックから近現代までと幅広いが、2017年度定期ではウィーン古典派に焦点を当てている。指揮兼チェリストに鈴木秀美を迎えた今回は、「ハイドンのふたつの時代から〜疾風と怒濤から古典派の確立へ〜」と題した興味深いプログラムで、ウィーン古典派の揺籃期を垣間みる貴重な機会となりそうだ。
12/3@神戸文化ホール 中ホール
http://www.kobe-ensou.jp/schedule/201712.html
♩12/5 東京フィルハーモニー交響楽団 第899回サントリー定期シリーズ
伊藤翔は2016年第1回ニーノ・ロータ国際指揮コンクールで優勝した注目の若手
指揮者。9月のサントリーサマーフェスティバルで松村禎三と芥川也寸志を見事にやり遂げたのが記憶に新しい。今回はピアノにベテラン小山実稚恵を迎え、芥川作品とも通じるスピード感あふれるロシア音楽3作品に挑む。清新な演奏を期待したい。
12/5@ サントリーホール
http://tpo.or.jp/concert/20171205-01.php
キャロリン・サンプソンは、バッハ・コレギウム・ジャパンのソリストとして登場する機会が多く我が国でもおなじみだが、リサイタルは今回が初めて。プログラムのタイトルは「花に寄せて」。パーセルからブリテンやブーランジェまでと作曲年代も幅広く、英語、ドイツ語、フランス語の歌曲を組み合わせた意欲的なもの。今回のピアニスト、ジョゼフ・ミドルトンと吹き込んだ歌曲のCD「フルール」は高い評価を得ており、この二人のリサイタルは完成度の高いものとなるだろう。
12/6@王子ホール
https://www.ojihall.jp/concert/lineup/2017/20171206.html
透明感とダイナミズムという一見相反する2つを融合させた独特の音楽世界を構築し、数々の受賞歴を誇る現代作曲家・渡辺俊哉が待望の個展を開く。演奏者8人もまた独自の活動を続けている実力派揃いである。日本現代音楽シーンに新たな1ぺージが記されるのを是非この目で見届けたい。
12/6@東京オペラシティ リサイタルホール
https://www.operacity.jp/concert/calendar/#/list/all/2017/12/e/8618
メシアン夫妻の側近くで多くを学び、メシアン国際コンクールで優勝、現在最高のメシアン解釈者として知られるピエール=ロラン・エマールが大作『幼子イエズスに注ぐ20のまなざし』全曲を日本で初披露する。2時間を超える壮大なスケールの音響世界。貴重な一夜である。
12/6@東京オペラシティ コンサートホール
http://www.operacity.jp/concert/calendar/detail.php?id=8033
カリスマ指揮者ゲルギエフ率いるマリインスキー歌劇場管弦楽団のベルリオーズ「幻想交響曲」。このコンビによる2011年歌劇「トロイア人」日本初演での名演奏は記憶に新しい。「幻想」でも千変万化の音の万華鏡を繰り広げてくれることだろう。ゲルギエフの信頼厚い庄司紗矢香とのショスタコーヴィチも火花散るステージとなりそうだ。
12/6@サントリーホール
https://www.japanarts.co.jp/concert/concert_detail.php?id=583
チェンバロの二人の巨匠、ピエール・アンタイとスキップ・センペが共演、「2台のチェンバロで贈る華麗なるラモーの世界」と題して行われるコンサート。ジャン=フィリップ・ラモーの《優雅なインドの国々》、《プラテー》、《ゾロアスター》などから序曲や舞曲を取り出し、《2台のチェンバロのためのシンフォニー》として編成したプログラム。二人の協演、競演、おおいに楽しみ。
12/6@浜離宮朝日ホール
http://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/event/2017/12/event934.html
12/8@武蔵野市民文化会館小ホール
http://www.musashino-culture.or.jp/eventinfo/2017/09/post-716.html
2000年クララ・シューマン国際ピアノ・コンクール第3位入賞でピアニストへの道を決め、パリ・エコール・ノルマルで研鑽を積んだ赤松の帰国10周年記念リサイタル〜音がこだまする時〜。その膨大なレパートリーから、ペルト、ベートーヴェン、スクリャービン、ドビュッシー、ラフマニノフを並べる。「闘うピアニスト」の異才ぶりを目撃したい。
12/7@王子ホール
http://rintaroworld.blog78.fc2.com/blog-entry-898.html
全音楽譜出版社が主催する全音現代音楽シリーズ24は「調和の原点Ⅱ」〜単色と双色の狭間で〜とのタイトル。全曲新作・世界初演である。四人組とは池辺晋一郎、新実徳英、西村朗、金子仁美、これにゲストの酒井健治が加わる。様々な形態によるソロとデュオのための新作が並ぶ。ベテラン・中堅の仕事ぶりに注目したい。
12/8@東京文化会館小ホール
http://www.zen-on.co.jp/rent_news/【演奏会】128(金)第24回「四人組とその仲間たち/
♩12/8、10 北とぴあ音楽祭 グルック「オルフェオとエウリディーチェ」
今年の北とぴあ国際音楽祭はグルック「オルフェオとエウリディーチェ」。フランス・バロック・オペラのスペシャリスト寺神戸亮率いるレ・ボレアードに中原麻里の振り付け、ラ ダンス コントラステが彩りを添えるセミ・ステージだ。演奏される機会の少ないパリ版での上演でイタリア版にはない有名な「精霊の踊り」も演奏される。無論、バレエシーンも見逃せない。出演はマティアス・ヴィダル(オルフェオ)、ストゥキン・エルベルス(エウリディーチェ)他、キャストも魅力的だ。
12/8@北とぴあさくらホール
http://www.kitabunka.or.jp/kitaku_info/elink/20170602004
東京交響楽団が音楽監督ジョナサン・ノットの指揮で行う演奏会形式によるオペラ公演、昨年の《コジ・ファン・トゥッテ》に続くモーツァルトのダ・ポンテ3部作の2作目。タイトル・ロールのミヒャエル・ナジのほか、エンジェル・ブルー、ローラ・エイキンなど、若手、中堅、ベテランの歌手を集めたキャストは楽しみ。今年もハンマーフリューゲルを指揮者ノットが担当するが、こちらも雄弁な演奏を聴かせてくれるだろう。
12/10@ミューザ川崎シンフォニーホール
http://tokyosymphony.jp/pc/concerts/detail?p_id=j7dd%2F1xpclg%3D&p_concertCategoryId=XujXIaadeUs%3D
2010年より都響の首席客演指揮者を務めるヤクブ・フルシャだが、今回来日がその任期中での最終公演。近年国際的にますます多忙の度を強めるこの中堅の逸材が今後再度都響に戻って来るとの確証はなく、フルシャ&都響の組み合わせは残念ながらこれでとりあえずの一区切りとなる。16日公演も併せ、聴き逃せない一夜。
12/11@東京文化会館
https://www.tmso.or.jp/j/concert_ticket/detail/detail.php?id=3046&year=2017&month=12
1988年ソウル生まれ、2006年リーズ国際ピアノ・コンクールでアジア人初の優勝を成し遂げ一躍注目を浴びた29歳。今回はベートーヴェンの3大ソナタ「悲愴」「月光」「熱情」を弾く。ベートーヴェン演奏に関してはアンドラーシュ・シフから多大な影響を受けたとのことで、俊英の切り拓く新たな世界に期待がかかる。
12/12@紀尾井ホール
http://amati-tokyo.com/performance/20110831.html
♩12/13 NHK交響楽団 第1875回定期演奏会
N響12月定期を振るのはデュトワ。フランスの香り漂うハイドンの交響曲「女王」にメンデルゾーン「スコットランド」でN響&デュトワの色彩豊かなサウンドを堪能したい。2013年ザルツブルク音楽祭でデュトワ&N響が世界初演した細川俊夫の「嘆き(2013)」はソリストにその時と同じソプラノ、アンナ・プロハスカを迎えてのステージとなる。同じプロで横浜定期演奏会にも登場。
12/13@サントリーホール
http://www.nhkso.or.jp/concert/concert_detail.php?id=695
12/16@横浜みなとみらいホール
http://www.yaf.or.jp/mmh/recommend/2017/12/nhk2017.php
16世紀末、九州のキリシタン大名によってヨーロッパへ派遣され、ローマ教皇に謁見した4人の少年、伊東マンショ、千々石ミゲル、中浦ジュリアン、原マルティノ。彼らの物語を、元NHKアナウンサーの山根基世による語りと、古楽アンサンブル アントネッロの演奏で聴く。ルネサンス音楽、そしてその影響を受けたであろう日本の民謡の調べ。演奏されることのほとんどない曲の数々を古楽界で定評のあるキャストで。これは聴くしかない!
12/13,14@浜離宮朝日ホール
http://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/event/2017/12/event901.html
♩12/13 中村恵理 ソプラノ・リサイタル〜小さなものでも〜
08年コヴェント・ガーデンにデビュー、バイエルン国立歌劇場専属歌手を6年務め、現在は国内外にて活躍、世界が注目するソプラノの中村恵理のリサイタル。ヴォルフのイタリア歌曲集から「小さなものでも」を中心に、日本歌曲、R・シュトラウス、オペラアリアなど盛りだくさんのプログラムで聴かせる。旬の歌姫をじっくり楽しめる一夜となろう。
12/13@ヤマハホール
https://www.yamahaginza.com/hall/event/002544/
♩12/14 transit Vol.8 カルテット・アロド
パリ国立高等音楽院で学び、エベーヌ弦楽四重奏団やディオティマ弦楽四重奏団の指導を受ける彼ら、2013年ミュンヘン国際音楽コンクールで優勝し、世界のステージに躍り出た。アロドとは、『ロード・オブ・ザ・リング』に登場する勇敢な白い馬の名とのこと。モーツァルト、メンデルスゾーンにB.アタイールというプログラムで颯爽とお目見えする。翌15日には京都公演も。
12/14@王子ホール
http://www.ojihall.jp/concert/lineup/2017/20171214.html
12/15@京都コンサートホール アンサンブルホールムラタ
http://www.kyotoconcerthall.org/calendar/?y=2017&m=12#key16079
♩12/17 オーケストラ・ニッポニカ コラージュ・秋山邦晴
今回、オーケストラ・ニッポニカが特集するのは、戦後の日本現代音楽界を牽引した評論家・研究者・詩人・作曲家・秋山邦晴。曲目は彼が愛したサティ、「実験工房」以来の彼の盟友・武満徹と湯浅譲二、彼が「日本の未来派」として発見した戦前の伊藤昇、そして1953年に作曲されたまま埋もれていたのを秋山が発見し、1979年に初演されて以来の二度目の早坂文雄の舞台再演である。日本現代音楽を温故知新する意義深い演奏会となろう。
12/17@紀尾井ホール
http://www.nipponica.jp/concert/ticket_information.htm
東京藝大後、ウィーンとローマにて研鑽を積む。詩の朗読や新曲への挑戦など、多彩な活動を展開する人気ソプラノ。モーツァルト、シェーンベルク、ベートーヴェン、池辺晋一郎らの作品の他、藤倉大へ委嘱の世界初演曲2曲など果敢なプログラムだ。共演はピアノに鈴木優人、ヴァイオリンに川久保賜紀を迎え豪華な布陣。
12/19@東京オペラシティ リサイタルホール
https://www.operacity.jp/concert/calendar/detail.php?id=8042
シューベルト国際コンクール優勝など数々の国際コンクール受賞歴を持ち、弱冠32歳で名門ミュンヘン国立音楽大学教授に就任した今峰由香のリサイタル。透明感のある響きと豊かな叙情性を兼ね備えた彼女の音楽は、ベートーヴェンやシューベルトの演奏でとりわけ高い評価を受けてきた。今度のリサイタルでは、シューベルト最後のピアノ・ソナタ2曲を演奏する。本場ドイツで培われたリリシズムをぜひ堪能したい。
12/21@ザ・フェニックスホール
http://phoenixhall.jp/performance/2017/12/21/6975/
12/22@Hakuju Hall
http://kojimacm.com/digest/171222/171222.html
「アンサンブル室町」の名称はヨーロッパの楽器が日本へ伝来した室町時代に由来、ヨーロッパと日本の「古楽器」による世界で初めてのアンサンブル。2007年、フランス人チェンバロ奏者で作曲家のローラン・テシュネを代表として結成された。さまざまな作曲家、ダンサー・舞踊家、俳優、声楽家など、多彩なジャンルのアーティストによる複文化のコラボレーションを展開。新宿・歌舞伎町での10周年も新作初演など刺激に富むプログラムが組まれている。
12/22@新宿 FACE
http://www.tokyo-concerts.co.jp/jp/concerts/171222/