Back Stage|人が交わり、響く場所―ミューザ川崎シンフォニーホール|前田明子

人が交わり、響く場所―ミューザ川崎シンフォニーホール

text by 前田明子( Akiko Maeda)

ホール内観(堀田正矩)

ミューザ川崎シンフォニーホールは、2004年に「音楽のまち・かわさき」のフラッグシップ施設として誕生しました。
1997席の客席はステージを取り囲むように躍動的に配置されており、ブドウ畑のような見た目から「ヴィンヤード形式」と呼ばれる独特の形をしています。臨場感を生むスパイラル模様の美しい音楽空間は、国内外の音楽家、そしてお客様に大変好評をいただいております。主催公演は、川崎市フランチャイズ・オーケストラの東京交響楽団と、ホールアドバイザ―として活動していただいている4名の音楽家(秋山和慶、小川典子、佐山雅弘、松居直美)との協力により、ミューザならではの魅力的なラインナップをお届けしています。

フェスタサマーミューザ2017フィナーレ(青柳聡)

その中でも開館1年後の2005年にはじまった真夏の音楽祭「フェスタ サマーミューザKAWASAKI」は、ミューザの代名詞ともいえる音楽祭です。首都圏のプロ・オーケストラが集結し連日コンサートを繰り広げるという、日本ではほかに類を見ない企画だけでなく、パイプオルガンやジャズ、子ども向けのプログラムなど多彩なプログラムで幅広いお客様のニーズに応え、オーケストラファンのみならず多くの熱心なファンの皆様に支えられております。

ミューザの名前を、2011年3月11日の東日本大震災で被害を受けたホールとして知った方もたくさんいらっしゃることと思います。天井仕上げ材が落下した映像は衝撃的で、多くの音楽関係者を震撼させました。2年間の休館期間を経験し、ミューザの中に2つの大きな意識が芽生えました。
1つめは当然のことながら「安全」に対する意識。定期的に様々なシチュエーションを想定した避難訓練を行うほか、危機管理やサービスアップについて定例の会議を行い日々の業務で目にしたヒヤリハットやお客様からのご意見を元に、より安全に快適に音楽鑑賞を楽しんでいただけるよう改善を図っています。その成果の一つとして、今年3月には転倒やつまづきの多かった客席の一部に「手掛け棒」を設置しています。また、障害者の方に実際にホール内を視察いただく「バリアチェック」を行うなど、今後あらゆる方々をお迎えできるよう取り組みを進めています。

ミューザの日2017(青柳聡)

2番目は、「地域貢献」への意識です。ミューザは休館中も歩みを止めることなく、フェスタサマーミューザなどの主催公演を市内のさまざまな代替施設で実施しました。それは地域の温かい支援がなければできなかったことであり、この経験は、ミューザと地域との絆をより一層深めることとなりました。クラシックファンのためだけの施設ではなく、地域に愛され、ミューザがあることで地域が豊かになったと実感されるために何ができるか。その一つとしてミューザの開館記念日である7月1日は「ミューザの日」とし、リニューアルオープンした2013年より地元の企業・団体、学校などの協力を得てビル全体を盛り上げるお祭りを開催しています。こうした取り組みが評価され、2017年1月に地域創造大賞(総務大臣賞)を受賞しています。

ミューザは今年、「運営方針」をホームページに掲載しました。

 ミューザ川崎シンフォニーホールは「MUSIC+座」を意味する名称が示す通り
 音楽によって、人が集まり、交わり、そして響く場所として、
 あらゆる人に音楽との多様な関わり方を提案し、川崎のまちを豊かに鳴らしていくことを目指します。
 http://www.kawasaki-sym-hall.jp/facilities/

「個」の体験としての鑑賞だけでなく、ホール(あるいは音楽)に人が集うということの意味を問い直し、ミューザならではのコンサートやイベントをこれからも提供していきます。どうぞご期待ください!

<注目のコンサート>

ジョナサン・ノット

鋭い感性による個性的なプログラミングがいま大注目のジョナサン・ノット氏(東京交響楽団音楽監督)が、ミューザに初めて訪れた際にステージを360度取り囲む客席を見てすでに構想していたという、演奏会形式でのオペラ上演。
舞台装置や過剰な演出にとらわれることなくモーツァルトの音楽をたっぷりと聴いてほしいという思いから、昨年「コジ・ファン・トゥッテ」でも音楽を重視し一切のカットをせず、演出も歌手の自主性に任せた即興的なもの(とはいえ、トーマス・アレンが監修したステージは良質の演劇作品を見ているようでした)。
第二弾は「ドン・ジョヴァンニ」。今年9月にバイエルン国立歌劇場「魔笛」公演でパパゲーノを演じたミヒャエル・ナジがタイトルロールを務めます。

前田明子(広報営業課主任)

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公演情報
モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」(演奏会形式、全2幕、日本語字幕付)
2017年 12月10日 (日) 開場 14:15 開演 15:00

指揮、ハンマーフリューゲル:ジョナサン・ノット
ドン・ジョヴァンニ:ミヒャエル・ナジ
騎士長:リアン・リ
レポレッロ:シェンヤン
ドンナ・アンナ:ローラ・エイキン
ドン・オッターヴィオ:アンドリュー・ステープルズ
ドンナ・エルヴィーラ:エンジェル・ブルー
マゼット:クレシミル・ストラジャナッツ
ツェルリーナ:カロリーナ・ウルリヒ
管弦楽:東京交響楽団
合唱:新国立劇場合唱団
演出監修:原 純

S12,000円 A9,000円 B6,000円 C4,000円

公演詳細
http://www.kawasaki-sym-hall.jp/calendar/detail.php?id=2016&y=2017&m=12