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Pick Up (2023/6/15)|第2回ショパン国際ピリオド楽器コンクール記者会見|大河内文恵

第2回ショパン国際ピリオド楽器コンクール記者会見
2nd International Chopin Competition on Period Instruments 
2023年6月9日 ムジカーザ
2023/6/9  Musicasa

Reported by 大河内文恵(Fumie Okouchi)

6月9日(金)おこなわれた第2回ショパン国際ピリオド楽器コンクールの記者会見の様子をレポートする。ムジカーザの奥にはフォルテピアノが置かれ、その前にテーブルがセットされていた。会見はNIFC(国立フリデリク・ショパン研究所)から3名と第1回の入賞者2名及び通訳の杉浦綾氏(ポーランド広報文化センター)が登壇しておこなわれた。

まずプレス担当のアレクサンダー・ラスコウスキ氏から登壇者の紹介があった後、同研究所所長のDr.アルトゥル・シュクレネル氏よりコンクールの概要の説明があった。その中で第1回のショパン国際ピリオド楽器コンクールに対し、世界中からピアニストやプレスを中心に大きな反応があったこと、それがコンクールの継続の決め手となったことが強調された。

続いて、コンクール担当チーフのヨアンナ・ボクシチャニン氏より、コンクールの現在の進行状況と今後の見通しが発表された。今回は22か国84名の応募があり、最も多かった国は日本で23名、次がポーランドの15名、他にはイタリア、中国、オーストリア、フランス、南アフリカ、ニュージーランド、イスラエルなどから応募があった(参加申込受付は6月1日に締め切られた)。応募者はDVDにて演奏動画を送付し、審査員による審査を受け、ワルシャワでの参加者は7月にコンクールのサイト上で発表される。

10月5日にオープニングコンサートが開催され、6~8日第1ステージ、10~11日第2ステージ、13~14日ファイナル、15日には入賞者記念コンサートが予定されている。オープニングコンサートでは日本の作曲家、藤倉大に委嘱した作品を川口成彦が演奏する予定とのことである 。

課題曲に関しては、第1ステージはJ.S.バッハ、モーツァルト、ショパン、ショパンと同時代のポーランドの作曲家の作品が挙がっており、第2ステージはショパンのみ、ファイナルはショパンの2つのピアノ協奏曲、またはモーツァルトの「お手をどうぞ」による変奏曲、ポーランドの歌による幻想曲Op. 13、ロンド・ア・ラ・クラコヴィアクOp. 14の3曲から2曲を選択して演奏する。

審査員は、ファイナルでオーケストラの指揮をするヴァールラフ・ルクスに加え、アンドレアス・シュタイアー、パオロ・ジャコメッティ、トビアス・コッホといったピリオド楽器の専門家、ショパン演奏の大家らで構成される 。

ワルシャワでのコンクールはオンライン中継され、アーカイヴも残る。ポーランド国内ではテレビ中継とラジオ中継もされるとのことである。

入賞者には賞金のほか、世界ツアーが用意されている。日本では2024年の1月に浜松と兵庫でソロ・リサイタル、東京オペラシティでバッハ・コレギウム・ジャパンとの共演が予定されている。

続いて、第1回の入賞者であるトマシュ・リッテルと川口成彦から第1回のコンクールの振り返りがなされた。リッテル氏からは、楽器選択の難しさが言及された。ピリオド楽器はモダンのピアノよりもそれぞれ特徴があり、楽器によって音楽性の大部分が決まる。とはいえ、どちらがよいといったことを一概に評価するのは難しいと指摘した。川口氏はコンクールの雰囲気が、古楽器のコンクールによくみられる和やかな雰囲気で、コンクールを受けているというより講習会に来ているようだったと語った。楽器選択に関しては、1つのステージで複数の楽器を用いる場合、楽器を移動しながら曲を進めていくため、どの楽器をどの位置に置くかということに気を使ったという。

続いて質疑がおこなわれた。フロアからは、第1回では手慣らしや曲間のつなぎで即興的な短い演奏をするコンテスタントがみられたが、これらは審査の対象になるのかという質問がなされた。それに対し、楽器の状態を推しはかるために手慣らしやつなぎに即興的なものを弾くことは認めるが、それ自体は審査の対象とはならないと回答された。

最後に前回入賞者によるデモンストレーション演奏がおこなわれた。タカギクラヴィア提供の1843年のプレイエルが使用され、川口がショパンのノクターン2番Op.9-2、ワルツ2番Op.34-1、続いてリッテルがノクターン4番Op. 15-1、前奏曲集より雨だれのプレリュードOp.28-15、最後に二人の連弾でシューベルトの2つの性格的行進曲ハ長調 D 968B(886) Op.121より第1番が演奏された。

(2023/6/15)