注目のコンサート|2019年10月
♩10/2 東京都交響楽団 第887回定期Cシリーズ【スッペ&オッフェンバック生誕200年記念】
今年、生誕200年をむかえた喜歌劇の大家、スッペとオッフェンバックの作品によるコンサート。序曲は取り上げられる機会が多いが、このコンサートでの注目はオッフェンバックのチェロ協奏曲 ト長調《軍隊風》。チェロ独奏はエドガー・モロー、1994年フランス生まれの若手、2011年のチャイコフスキー国際コンクール第2位などの受賞歴のほか、ゲルギエフ、ソヒエフ等との共演もあり、今後が期待される。この曲が日本初演というのは意外だが、オッフェンバックの音楽の知られざる一面を聴けるだろう。
10/02@東京芸術劇場
https://www.tmso.or.jp/j/concert/detail/detail.php?id=3240&my=2019&mm=10
♩10/3~6、13 東京二期会オペラ劇場 プッチーニ 歌劇《蝶々夫人》
<ザクセン州立歌劇場とデンマーク王立歌劇場との共同制作/新制作 ワールド・プレミエ公演>
宮本亜門の演出による新制作の舞台、この後、ザクセン州立歌劇場、デンマーク王立歌劇場で上演が予定されている。東京二期会では海外の劇場との共同制作をたびたび行ってきているが、東京でまず上演し他へ持っていくというケースはなかったのではないか。成果を楽しみにしたい。アンドレア・バッティストーニが、手兵・東京フィルを振り、森谷真理と大村博美の二人がタイトルロールを歌う。日本語と英語の字幕付という点も国際共同制作にふさわしい。
10/3~6@東京文化会館 大ホール
http://www.nikikai.net/lineup/butterfly2019/
10/13@よこすか芸術劇場 大劇場
http://www.nikikai.net/lineup/butterfly2019_yokosuka/index.html
今年のゲストオーケストラは香港シンフォニエッタ、ジャカルタ・シティ・フィルハーモニックが参加。ホストオーケストラはオーケストラ・アンサンブル金沢という顔ぶれ。スダーン指揮の香港・金沢のチャイコフスキー合同演奏も楽しみ。各楽団のお国ものにそれぞれのオケの個性も是非聴き取りたい。
10/4@けんしん郡山文化センター
10/5~7@東京オペラシティ コンサートホール
http://www.orchestra.or.jp/aow2019/
2018年6月、古楽アンサンブルの世界的名門オランダ・バッハ協会管弦楽団(1921年創設)の音楽監督に就任した佐藤俊介がその管弦楽団を率いて、音楽監督として初の日本凱旋ツアーを行う。バッハを中心にピゼンデル、ビュファルダンといったバロック作品を並べ、バロックの真髄を堪能させてくれることだろう。モダンとバロックの演奏に造詣の深い佐藤のリーダーシップも聴きどころ。
(ツアースケジュール)
9/28@京都・青山音楽記念館(バロックザール)(完売)
http://www.barocksaal.com/
9/29@神奈川県立音楽堂
https://www.kanagawa-ongakudo.com/detail?id=35997
9/30@浜離宮朝日ホール(完売)
https://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/event/2019/09/event1376.html
10/5@彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール
http://www.saf.or.jp/arthall/stages/detail/6376
10/6@三原市芸術文化センター ポポロ
https://mihara-popolo.hall-info.jp/event/2019/main_ev012.html
♩10/5 『3つの時代を巡る楽器物語』第1章「ショパンとプレイエル」
京都コンサートホールが手がける新たなシリーズ企画は『3つの時代を巡る楽器物語』。作曲家が生きた当時の楽器を用いてその世界を堪能するものだ。3年をかけて3つの時代を巡る。その初回を飾るのは、「ショパンとプレイエル」。昨年開催された第1回ショパン国際ピリオド楽器コンクールで第2位入賞を果たした川口成彦が、プレイエルでオール・ショパンのプログラムに挑む。残念ながらすでにチケット完売とのことだが、来年開催予定の第2回「ベートーヴェンとフォルテピアノ」、再来年の第3回「J.S.バッハの世界」と続くことから、今公演を含めてシリーズ全体に注目しておきたい。
10/5@京都コンサートホール
https://www.kyotoconcerthall.org/calendar/?y=2019&m=10#key19027
シリーズ全体についての情報はこちら
https://www.kyotoconcerthall.org/instruments/
♩10/5,6 ジョナサン・ノット指揮、東京交響楽団 『グレの歌』(字幕付き)<開館15周年記念>
シェーンベルクの大作《グレの歌》、編成の巨大さもあり、取り上げられる機会は多くないが、今年は、読売日本交響楽団、東京都交響楽団、東京交響楽団と三団体が演奏する。この日の独唱者はトルステン・ケール ドロテア・レシュマンと充実しており、語りにトーマス・アレンが加わるという豪華さ。ジョナサン・ノットの指揮は声楽の加わる大編成の曲で大きな成果をあげてきており、今回もおおいに期待できるだろう。
10/5,6@ミューザ川崎シンフォニーホール
https://www.kawasaki-sym-hall.jp/gurre/
B→C215回はすでに様々なシーンで大活躍の若きヴィルトゥオーゾ成田達輝。共演に現代音楽のスペシャリスト百留敬雄(ヴァイオリン)を迎え、マロンドラ「2台のヴァイオリンのための新作」(2019、成田達輝委嘱作品)を世界初演。これは聞き逃せない。バッハ無伴奏ソナタからパガニーニのほかファーニホウ、フーバーなど新旧てんこ盛りバラエティ丼の一夜。じっくりソロとデュオの実力と魅力を堪能したい。
10/8@東京オペラシティ リサイタルホール
https://www.operacity.jp/concert/calendar/detail.php?id=9510
10/5@札幌コンサートホール Kitara 小ホール
https://www.kitara-sapporo.or.jp/event/event_detail.php?num=3469
テミルカーノフは既に読響でショスタコーヴィチの交響曲を何曲か演奏しているが、今回はなかなか実演でお目にかかる機会のない『バビ・ヤール』。テーマがテーマであるだけに、やはり激動のソヴィエト連邦時代を生き抜いたテミルカーノフの指揮でこれを聴くことの意味/価値はやはり大きかろう。畢生の名演を期待。
10/9@サントリーホール
https://yomikyo.or.jp/concert/2018/10/592-1.php
♩10/11,12 ホリガー指揮・名古屋フィルハーモニー交響楽団第472回定期演奏会<最大の傑作>
今年80歳を迎えるハインツ・ホリガーは東京オペラシティでの80歳記念コンサートの他、札響や大阪フィルへの客演さらには室内楽公演などを精力的にこなす予定だが、この名古屋フィルへの10季ぶりの客演ももちろんその一連のコンサートに連なるもの。武満徹の『夢窓』とホリガー自身の『デンマーリヒト』はそれぞれ夢窓疎石、俳句という日本にまつわる事物にインスパイアされたということで対をなし、最後に偉大な古典であるシューベルトの『グレイト』を置く。実に魅惑的なプログラムではないか。
10/11,12@愛知県芸術劇場コンサートホール
https://www.nagoya-phil.or.jp/2018/1228095439.html
今回の東京交響楽団の定期演奏会は、2014年ゲザ・アンダ国際ピアノコンクールの覇者であるヴァーヴァラの日本デビューの舞台になるという。しかし気になるのはなんといっても、アイヴズとシューベルトをアタッカで演奏するという試み。「ノット監督ならでは」の試みとあるが、はたしてその真意はいかに。
10/12@サントリーホール
https://tokyosymphony.jp/pc/concerts/detail?p_id=vI3w6gNyqpg%3D
♩10/14 ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン《メサイア》
今年創立40周年を迎えるフランスの古楽団体レザール・フロリサンの来日公演。その音楽監督であるウィリアム・クリスティは17・18世紀のフランス音楽のレパートリーを広めたパイオニアであり、ヨンチェヴァを始めとする若手を育成してきた教育者でもある。ヘンデルの最高傑作の1つである《メサイア》を彼らがどのように聴かせるのか。聴きものである。
10/14@東京オペラシティコンサートホール
https://www.operacity.jp/concert/calendar/detail.php?id=9500
アンゲリッシュ、と言えばわが国ではむしろ室内楽奏者のイメージの方が強いのかも知れないがゆえに、その実力に比しての知名度は高くなく、評価もいまいち定まっていないように思える。しかしこのピアニストの実力は大変なもので、それはかなりの点数リリースされているCDを聴けば容易に理解できよう。今回は(日本では)珍しくソロリサイタルが開催されるが、ピアノ音楽ファンは必ず駆け付けるべき。瞠目する瞬間に満ち満ちるのではないか。
10/15@紀尾井ホール
http://www.kajimotomusic.com/jp/concert/k=729/
♩10/16 クリストフ・ルセ(チェンバロ) & パリの仲間たち
<ヴェルサイユの輝き!マラン・マレーの肖像>
フランス古楽界の大物、チェンバロのクリストフ・ルセが7年ぶりに来日する。酒井淳、マリオン・マルティノのヴィオラ・ダ・ガンバとともに、マラン・マレーの曲を中心とするプログラムで王権の絶頂期にヴェルサイユ宮殿に響いた音楽を聴かせる。
10/16@ヤマハホール
https://mcsya.org/concerts/16-oct-christophe-rousset-and-friends/
♩10/18 山澤慧無伴奏チェロリサイタル マインドツリーvol.5
バッハから現代音楽まで、幅広いレパートリーをもつチェリスト・山澤慧の無伴奏チェロリサイタルが今年も開催。ブリテン、ヒンデミットが取り入れられている点にバランスの良さを感じさせる今回のプログラムの序盤には、木ノ脇道元、山澤慧それぞれによる新作が配置されている。どんな作品が演奏されるのか否応なしに期待が高まる。
10/18@トーキョーコンサーツ・ラボ
http://www.tokyo-concerts.co.jp/artists/keiyamazawa/
♩10/19、24 ピエール・アンタイ チェンバロ・リサイタル
フランスのチェンバロの大家ピエール・アンタイ、2年前の来日時にはスキップ・センペとの協演で、ラモーの作品から選び構成した《2台のクラヴサンのためのシンフォニー》を聴かせた、今回は彼一人の来日で、プログラムはラモー、ヘンデル、D.スカルラッティ、J.S.バッハと18世紀に書かれた作品が並ぶ。多様な世界を楽しませてくれるだろう。
10/19@Hakuju Hall
https://www.nipponartists.jp/ticket/td20191019.html
10/24@いずみホール
http://www.izumihall.jp/schedule/concert.html?cid=1854&y=2019&m=10
高橋アキが生涯の友としているシューベルトに始まり、一柳慧、間宮芳生、クセナキスという日本と世界の現代音楽史上の偉人、さらには独立独歩の鈴木治行をそこに並べたプログラムに「今を生きるピアニスト」たる高橋の進取の気概を見て取れよう。時代や場所や年齢を越えた音楽家たちの出会いに加わりたい。
10/24@豊洲シビックセンターホール
http://www.camerata.co.jp/concerts_events/detail.php?id=234
王子ホールのtransitvo.12に登場はヴィジョン弦楽四重奏団。2012年結成ベルリンに拠点を置く。クラシックからジャズ、オリジナルまで多岐にわたるレパートリーを暗譜立奏でいまどきスタイルの急先鋒。2016年2つの主要コンクールで第1位ならびに聴衆賞と特別賞受賞、ベルリンでアルテミス・カルテットに師事他、多彩な音楽家から薫陶を受ける。シューベルト2曲をメインに大胆な個性爆発を期待しよう。京都ではジャズ、ロック、ポップスも予定。
10/25@王子ホール
http://www.ojihall.jp/concert/lineup/2019/20191025.html
10/24@京都コンサートホール アンサンブルホールムラタ
https://www.kyotoconcerthall.org/calendar/?y=2019&m=10#key19591
2018年<サントリーホールチェンバーミュージック・ガーデン2018ベートーヴェン・チクルス>に登場で魅了したスペインの実力派カルテットの再来日。1997年マドリッドで結成、2000年ロンドン国際弦楽四重奏コンクール優勝など。スペインが生んだ国際的カルテットとして活躍を続ける。現代作曲家たちとの協業も積極的だ。ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンと王道のプログラム。
10/25@JTアートホール アフィニス
https://www.melosarts.jp/melos-arts/concert/CuartetoCasals2019
音楽学者で評論家の伊東信宏が企画・構成を手掛ける新たな公演は、峻烈な演奏で日本を代表するヴァイオリニストになりつつある郷古廉と、ソリストとしてまた室内楽奏者として定評のあるピアニスト、加藤洋之のデュオ。タイプは異なれども、いずれも「剣豪のような迫力」を備え、「土俗性に根ざし、作品を、聴衆を挑発する」という。得意とするバルトークのほか、ヤナーチェクやプーランクなど新たな演目にも挑むだけに、丁々発止と切り結ぶ音楽が期待できそうだ。
10/26@ザ・フェニックスホール
http://phoenixhall.jp/performance/2019/10/26/10938/
♩10/26 東京芸術劇場コンサートオペラvol.7 ドビュッシー《放蕩息子》、ビゼー《ジャミレ》
フランス・オペラを日本で観られる機会は限りなく少ない。カルメンだけではないビゼーの世界と、ローマ大賞受賞作であるドビュッシーの《放蕩息子》、いずれも舞台はカイロと中東というエキゾチックな土地柄を演奏会形式ながら感じてみては?
10/26@東京芸術劇場コンサートホール
http://www.geigeki.jp/performance/concert187/
イギリスで結成、第6回大阪国際室内楽コンクール覇者となり、世界で活躍するドーリック弦楽四重奏団。今回は十八番ハイドン、ベートーヴェン「大フーガ付き」の間にブリテンを挟む直球勝負のプログラムだ。新世代カルテットがひきもきらぬ昨今、彼らならではの正統かつ斬新演奏を聴かせてくれるに違いない。
10/31@紀尾井ホール
http://www.kioi-hall.or.jp/20191031k1900.html
2010年に始まったパーセル・プロジェクトの10回目。今回は第1回で取り上げた「アーサー王」の再演。9年間の積み重ねの成果と今年生誕360年を迎える「声楽芸術の結晶」たるパーセルの世界を楽しみたい。
10/31@浜離宮朝日ホール
https://www.officearches.com/special/青木洋也-purcell-project/
♩10/31 ジャン・ロンドー チェンバロ <イタリア風に>
♩11/3 ジャン・ロンドー フレンチ・プログラム <クラヴサン奏法>
フランスの若手チェンバロ奏者ジャン・ロンドー、クリストフ・ルセ等を継ぐ才能と期待が高い。今回の来日では二つのプログラムが用意されている。<イタリア風に>と題したJ.S.バッハとD.スカルラッティによるプログラムは、イタリアの音楽の影響をうけた18世紀初めの作品によるもの。もう一つは、フレンチ・プログラムということで、ラモー、フランソワ・クープラン、ロワイエの曲が予定されている。前者は東京以外でも、豊田、札幌、神戸でも聴くことができる。
ほぼ半月の間に、3人のフランスのトップクラスのチェンバリストを聴き較べることができる。なんと贅沢なことだろうか。
10/30@豊田市コンサートホール・能楽堂(バッハ&スカルラッティ)
https://www.t-cn.gr.jp/4848/
10/31@王子ホール(バッハ&スカルラッティ)
http://www.ojihall.jp/concert/lineup/2019/20191031.html
11/2@札幌コンサートホール小ホール(バッハ&スカルラッティ)
https://www.kitara-sapporo.or.jp/event/event_detail.php?num=3458
11/3@東京文化会館小ホール(フレンチ・プログラム)
http://www.allegromusic.co.jp/JeanRondeau2019.html
11/4@兵庫芸術文化センター 神戸女学院小ホール(バッハ&スカルラッティ)
http://www1.gcenter-hyogo.jp/contents_parts/ConcertDetail.aspx?kid=4313213311&sid=0000000001