注目のイベント・公演|2024年8月
♩8/3 ロマンティック・クラシック 藤木大地 カウンターテナー リサイタル
~冷静と情熱のあいだに~テノールへのオマージュ
カウンターテナーの藤木大地のリサイタル、「~冷静と情熱のあいだに~テノールへのオマージュ」と題して、時代はルネサンスから現代まで、地域はヨーロッパ・アメリカから日本まで、幅広い曲目が予定されている。40代半ばの充実した音楽活動を十分に聴かせてくれることだろう。ピアノは松本和将、いつも通りの安定したデュオが期待できる。
8/3@東京文化会館小ホール
https://www.min-on.or.jp/play/detail_228044_.html
♩8/4 高崎芸術劇場 大友直人PresentsT-Shotシリーズ vol.13 前田妃奈 ヴァイオリン・リサイタル
芸術監督大友直人のプロデュースによる若手演奏家プロジェクト第13回に登場は、2022年第16回ヘンリク・ヴィエニアフスキ国際ヴァイオリンコンクール優勝の前田妃奈vn。現在東京音大に特別特待奨学生として在学中。弾くことの楽しさがはち切れそうな演奏で魅了する彼女、さてグリーグのソナタ1〜3番でどのような世界を広げるか。知情意の整う俊才久末航pfとの共演がいかにも楽しみだ。
8/4@高崎芸術劇場
https://www.takasaki-foundation.or.jp/theatre/concert_detail.php?key=1407
♩8/7 湯浅譲二 95歳の肖像 ~室内楽作品を中心に~
♩8/12 湯浅譲二 95歳の肖像 ~合唱作品による個展~
2023年作の打楽器、ハープ、ピアノ、弦楽オーケストラのための哀歌(エレジィ) ―for my wife, Reiko―が第71回尾高賞を受賞した湯浅譲二。1929年生まれの同氏は今年95歳を迎えるが、その創作を俯瞰する意味合いで室内楽作品と合唱作品がこの度の2度のコンサートでそれぞれ取り上げられる。この稀有な作曲家の唯一無二の世界を堪能されたい。尚、合唱作品が演奏される8月12日はまさに湯浅譲二の95回目の誕生日にあたる。
8/7@豊洲シビックセンターホール
https://www.gettiis.jp/event/detail/100395/J30952
8/12@豊洲シビックセンターホール
https://www.gettiis.jp/event/detail/100395/J30953
♩8/8 林光メモリアル 東混・八月のまつり45 東京混声合唱団特別定期演奏会
東京混声合唱団が毎年8月に行ってきている「八月のまつり」、林光の《混声合唱のための原爆小景》を中心に、彼の作品を歌う。さらに三善晃の原爆に関する混声合唱曲も取り上げる。忘れてはならないことを継承していくために、継続して行ってきているこの合唱団の取り組み。貴重なことだと思う。
8/8@第一生命ホール
https://www.triton-arts.net/ja/concert/2024/08/08/3986/
♩8/9 東京都交響楽団 第1006回定期演奏会Bシリーズ
♩8/10 東京都交響楽団 都響スペシャル
2021年7月に予定されていながらコロナ禍によりキャンセルとなったハーディングの都響客演、ようやく実現。プログラムはベルクとマーラー、いずれもこの指揮者が得意とするプログラム、特に後者は「マーラー・オーケストラ」都響から新たにどんな演奏を引き出すかが最大の関心事だ。ハーディングの推すソプラノ、ニカ・ゴリッチのベルクも期待大。
8/9@サントリーホール
https://www.tmso.or.jp/j/concert/detail/detail.php?id=3790
8/10@サントリーホール
https://www.tmso.or.jp/j/concert/detail/detail.php?id=3791
小澤征爾が亡くなって初のセイジ・オザワ 松本フェスティバル開催。メインとなるコンサートはボストン響繋がりで小澤と縁の深かったネルソンスが指揮してのブラームス:交響曲全曲演奏か。沖澤のどかが指揮する予定のオーケストラコンサート及び『ジャンニ・スキッキ』も大注目だ。精神的支柱であった小澤亡き後の今後を占う意味でもこの度のフェスティバルを注視したい。
8/9-9/4@キッセイ文化ホール(長野県松本文化会館)、 まつもと市民芸術館・主ホール、松本市音楽文化ホール(ザ・ハーモニーホール)他
https://www.ozawa-festival.com/
♩8/12 フェスタサマーミューザ KAWASAKI2024 東京交響楽団フィナーレコンサート
すごい時代が来たものである。土の匂いを誰よりも愛した伊福部昭と、現代日本の都会的・マンガ的な感性を音楽化した吉松隆と、さらにはヴァーチャルアーティスト「潤音ノクト(うるねのくと)」のピアノソロとオーケストラの「生」演奏による『ラプソディ・イン・ブルー』が連なる異形のプログラムがここに。これは新しい時代の始まりか、人類の終わりの始まりなのか、この目と耳で確かめるしかないだろう。
8/12@ミューザ川崎シンフォニーホール
https://www.kawasaki-sym-hall.jp/festa/calendar/detail.php?id=3853
♩8/13、15 ミシェル・プラッソン日本ラストコンサート Au revoir!
最愛のフランス音楽~フォーレ「レクイエム」とラヴェルの名曲
指揮活動からの引退を視野に入れてかは分からぬが、名匠プラッソンの日本におけるラストコンサートが東京フィルを指揮して開催される。プログラムはラヴェルとフォーレ。これ以上本稿に付け加える必要もあるまい。必聴。
8/13、15@東京オペラシティコンサートホール
https://nikikai.jp/concert/240813_15_requiem.html
♩8/16〜18 第18回 Hakuju ギター・フェスタ 2024
今年の<Hakuju ギター・フェスタ 2024>のテーマは “ラテンアメリカ”。H.ヴィラ=ロボス、A.ピアソラ、M.ポンセなどを並べるが、軸になるのは出演者全員によるポンセのギター・ソナタ全曲演奏。作風の変遷と同時にギタリストの個性をも味わえるプログラム。初登場の村治奏一からエドゥアルド・フェルナンデス、荘村清志、レオナルド・ブラーボ、福田進一のほか、若手ギタリストの登竜門「旬のギタリストを聴く」には、2023年、ミケーレ・ピッタルーガ国際ギターコンクール優勝の山田唯雄が登場。また、荘村と福田のデュオにより加羽沢美濃による委嘱新作(世界初演)の演奏も。夏の風物詩、ギターの饗宴を楽しみたい。
8/16~18@ HAKUJU HALL
https://hakujuhall.jp/concerts/detail/3933
♩8/17 第53回サントリー音楽賞受賞記念コンサート 濱田芳通(指揮・リコーダー) ヘンデル:オペラ『リナルド』
主に中世からバロック初期作品において大胆な想像力/創造力を駆使し画期的な演奏を連発する濱田芳通は2021年に第53回サントリー音楽賞を受賞した。これを記念してこの8月にヘンデルの傑作オペラ『リナルド』が上演される。オケはもちろんアントネッロ、彌勒忠史や中川詩歩らの実力派歌手を擁しての本コンサートはヘンデルのオペラ演奏史に残るものとなること必至であろう。
8/17@サントリーホール
https://www.anthonello.com/schedule/detail/?id=84
♩8/20 谷 昂登(ピアノ)&水野優也(チェロ)
谷昂登は現在、桐朋音大ソリスト・ディプロマコースに特待生として在学中。第18回東京音楽コンクール第2位(最高位)、第20回浜松国際ピアノアカデミーコンクール特別賞など受賞。水野優也は桐朋を経てザルツブルク・モーツァルテウム大学にてクレメンス・ハーゲンに師事、第89回日本音楽コンクール第1位ほか受賞多数。反田恭平率いるジャパン・ナショナル・オーケストラコアメンバーでもある。若手二人の初顔合わせ、谷のソロ2曲、ベートーヴェン:幻想曲、ブラームス:パガニーニの主題による変奏曲。水野&谷のデュオ2曲、ベートーヴェン:《魔笛》の主題による7つの変奏曲 、ブラームス:チェロ・ソナタ第1番。今後の活躍が期待される彼らの今に猛暑も吹っ飛ぶに違いない。
8/20@トッパンホール
https://www.toppanhall.com/concert/detail/202408201900.html
♩8/22~29 サントリーホール サマーフェスティバル2024
毎年8月に開催される「現代音楽祭」サントリーサマーフェスティバル。毎年プロデューサーが任命されその裁量によりプログラミングが行われるが、今年はかのアルディッティ弦楽四重奏団を率いるアーヴィン・アルディッティ。3回もたれる室内楽コンサートはアルディッティSQと曲により北村朋幹も参加しての狂気/狂喜のハードコア作品のオンパレード(リンクを参照されたい)。オーケストラコンサートはブラッド・ラブマン指揮の都響、もちろんアルディッティSQも加わり細川俊夫、クセナキス、フィリップ・マヌリ。テーマ作曲家はそのマヌリ、2回のコンサートとワークショップ&トークセッション。芥川也寸志サントリー作曲賞選考演奏会もある。
8/22-29@サントリーホール
https://www.suntory.co.jp/suntoryhall/feature/summer2024/
♩8/23、24 京都市交響楽団 第692回定期演奏会 《フライデー・ナイト・スペシャル》
2022年の3月に広上&京響により演奏が予定されていたマーラーの交響曲第3番は、合唱が必要な作品ゆえコロナ禍では演奏を回避した方がよかろうとの判断で『巨人』に変更となった経緯がある。つまりこの度の「マラ3」は2年5ヶ月ぶりのリベンジ。近年より円熟味を増した広上だけに名演必至。メゾソプラノは藤村実穂子。
8/23@京都コンサートホール
https://www.kyoto-symphony.jp/concert/detail.php?id=1290&y=2024&m=8
8/24@京都コンサートホール
https://www.kyoto-symphony.jp/concert/detail.php?id=1279&y=2024&m=8
今年はルイジ・ノーノ生誕100年。これを記念して水戸芸術館にしか出来ないであろうオール・ノーノ・プログラムによるコンサート開催。プレコンサート含め全5曲が演奏されるが、特に注目すべきはアルディッティSQによる「断章-静寂、ディオティマへ」であろう。ラッヘンマンの述懐によればノーノがその演奏を大絶賛したというアルディッティSQの本作実演、逃す手はない。
8/31@水戸芸術館コンサートホールATM
https://www.arttowermito.or.jp/hall/lineup/article_4603.html
♩8/31 いずみホール・オペラ 2024 佐藤正浩プロデュース G. ビゼー《真珠とり》
ホールの特性を活かしたオペラ制作に取り組んできた住友生命いずみホール。佐藤正浩のプロデュース・指揮により、新しいプロジェクト「フランス・オペラ・シリーズ」を開始する。その第一弾となるのは、ビゼーの傑作《真珠とり》。キャストに迎えるのは森谷真理、宮里直樹、甲斐栄次郎、妻屋秀和ら本邦オペラ界を代表する歌手陣。フランス・オペラの世界を堪能できるのも嬉しいが、演奏会形式だからこそ歌の魅力がより身近に感じられるのは間違いない。大いに期待したい。
8/31@住友生命いずみホール
https://www.izumihall.jp/schedule/20240831