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注目の公演&イベント|2024年6月

♩6/2 日本フィルハーモニー交響楽団第255回芸劇シリーズ

昨年逝去の坂本龍一に捧げる公演で、監修は小沼純一。ドビュッシー:《夜想曲》、武満徹:組曲 《波の盆》より「フィナーレ」を置き、坂本の『箏とオーケストラのための協奏曲』、『The Last Emperor (映画 「ラストエンペラー」より)』、『地中海のテーマ(1992年バルセロナ五輪開会式音楽)』の3作を並べた。指揮:カーチュン・ウォン、箏:遠藤千晶、ピアノ:中野翔太。最後までピアノを弾くかの仕草のうちに永眠した坂本の功績を偲びたい。

6/2@東京芸術劇場
https://japanphil.or.jp/concert/20240602

 

 

♩6/3 近藤聖也コントラバス ソロリサイタル

佐藤洋嗣や山本昌史など、昨今コントラバス界隈(?)が賑やかだ。その一角を成す近藤聖也が奇人・川島素晴新作と、新鋭にして「少女の死体、そこから生まれた命を『実際に育てる』」という謎すぎるコンセプトの佐藤瀬奈の新作を主軸としてぶち込んできた。何が起こるか全くわからないというこのワクワク感に従うしかあるまい。

6/3@調布市せんがわ劇場ホール
https://kondorabass.wixsite.com/-site

6/4,5 東京都交響楽団第1000回定期演奏会Bシリーズ,同第1001回定期演奏会Cシリーズ

記念すべき都響の第1000回定期演奏会は桂冠指揮者インバルが登場してのブルックナー:交響曲第9番のフィナーレ付バージョン。この指揮者は1980年代に既にこのフィナーレ付の同曲を録音していたが、それはいわゆる「サマーレ=マッツーカ版」での演奏であった。今回都響とはそれを底本としつつそこにジョン・アラン・フィリップスとベンヤミン=グンナー・コールスの2人の音楽学者が加わってのさらなる改訂バージョンである2021-22年SPCM版が用いられる。ちなみに、ラトルとベルリン・フィルが2012年に録音したブルックナーの第9もSPCM版が用いられているが、今回インバルと都響が用いるSPCM版はそこからさらに進化した最新版である。日本初演。

6/4@サントリーホール
https://www.tmso.or.jp/j/concert/detail/detail.php?id=3780
6/5@東京芸術劇場コンサートホール
https://www.tmso.or.jp/j/concert/detail/detail.php?id=3781

♩6/5 サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン
CMGプレミアム 小菅 優プロデュース《月に憑かれたピエロ》

シェーンベルクの代表作の一つ、シュプレヒシュティンメで知られる《月に憑かれたピエロ》を中心に、20世紀の作品を集めたプログラム。ピアノ、ヴァイオリン、チェロ、フルート、クラリネット、そしてメゾ・ソプラノに、独奏、室内楽に力量を発揮している若手メンバーを集め、さまざまな組み合わせと編成で聴かせる。ストラヴィンスキー、ラヴェルの作品なども、各演奏者の技量を楽しむことができるだろう。

6/5@サントリーホール ブルーローズ
https://www.suntory.co.jp/suntoryhall/schedule/detail/20240605_S_3.html

 

 

♩6/5 Piangete occhi 瞳よ涙を流せ〈17世紀イタリアの宗教的な歌〉

昨年6月、豊洲センターシビックホールにて鬼プログラムを披露したPoesia Amorosaが1年ぶりに帰ってくる!メンバーは昨年と同じ4人。今年は同じく17世紀イタリアものながら、昨年のような世俗曲ではなく、宗教曲をとりあげる。宗教曲といえばラテン語だが、今回はイタリア語の作品を歌うという。何かが起こる予感がする。

6/5@日本福音ルーテル東京教会
https://concert-search.ebravo.jp/concert/196989

 

 

♩6/9 寺田悦子ピアノ・リサイタル

ウィーン、アメリカで学んだヴェテラン、「時空を超えて~ベートーヴェンから西村朗まで~」のタイトルでのリサイタル。ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第7番 ニ長調 Op.10-3、ブラームス:ピアノ曲集 Op.76 より、西村朗:神秘の鐘(2006) ~ 第1曲「薄明光」、ショパン:ノクターン 第13番 ハ短調 Op.48-1、マズルカ 第17番 変ロ短調 Op.24-4、スケルツォ第4番 ホ長調 Op.54他、となるほど時空を超えた選曲。鐘音は、実はあらゆる音楽家の通奏低音。それがここに聴こえるかも知れない。

6/9@東京文化会館小ホール
https://www.japanarts.co.jp/concert/p2076/

 

♩6/15〜23 調布国際音楽祭2024

鈴木優人がエグゼクティブ・プロデューサーを務める調布音楽祭、今年のテーマは「MUSIC WITHOUT BORDERS」。互いにファンである将棋の佐藤天彦を迎えてのオリジナル企画「将棋×音楽」とはこれいかに。オーソドックスな演目の他に、深大寺本堂で響くバロック・チェロ、フェスティバル・オーケストラ・鈴木雅明の『幻想交響曲』、新作ダンス公演8『ちいさな死神くんとあの木の上のお星さま』などなどバラエティ豊かなプログラム。異文化・言語の壁を越え、カフェで、通りすがりに、と多様な形での音楽との出会いを楽しみたい。

6/15~23@調布市グリーンホールほか
https://chofumusicfestival.com/JP/TOP

♩6/16 橋本晋哉セルパンリサイタル01 “La lettre S”

現代チューバのスペシャリストにして古楽器セルパンの使い手である橋本晋哉がセルパンオンリーのリサイタルを開催する。ルネサンス期、J.S.バッハ、そして現代音楽とレンジの広い選曲でどのようなセルパン世界が広がるのか、是非とも実地で見聞したい。

6/16、14:00(完売)、18:00@スタジオピオティータ
https://tiget.net/events/304026

 

 

 

♩6/18 芸劇リサイタルシリーズ「VS」 Vol.9 務川慧悟×ナターリア・ミルステイン

2台ピアノを主軸に2人のピアニスト対決がウリのシリーズ。第9回は務川慧悟とヨーロッパの俊英 ナターリア・ミルステイン。ロシア生まれ、フランス育ちの彼女の感性に惚れた務川の希望での初来日である。選んだのは、ストラヴィンスキー/三大バレエ音楽『春の祭典』『火の鳥』『ペトルーシュカ』というラインアップで、まさに豪華絢爛気宇壮大な響きの饗宴となろう。
パリに華開いたベル・エポック、その古典と前衛の祭りを楽しめよう。

6/18@東京芸術劇場
https://www.geigeki.jp/performance/concert284/c284-9/

 

♩6/22 エレクトロニック・デュオ・シリーズ両国門天2024

先鋭的なキュレーションに定評あるCabinet of Curiositiesの企画・構成により、ヴァイオリン:河村絢音、ヴァイオリン・ヴィオラ:松岡麻衣子、エレクトロニクス:佐原洸というkasane vol.3で集った面々を迎え、英語圏、ドイツ語圏の作曲家を取り上げる。興味深すぎる固有名詞が並ぶこの演奏会、賭けてみる価値ありと見た。

6/22@両国門天ホール
https://www.monten.jp/20240622

 

 

 

♩6/22,23 シュレーカー《クリストフォロス、あるいは「あるオペラの幻影」》日本初演

『遥かなる響き』『烙印を押された者たち』『宝掘り人』などのオペラ作品で当時R.シュトラウスに並ぶ人気作曲家となったシュレーカーだが、ユダヤ系であるためにナチスの圧力を受け、かつ折衷的であるその作風ゆえ次第にその評価も絶対的なものではなくなる。そんな中でシュレーカーが放ったのがこのオペラ。「作曲家である主人公には、彼自身の音楽観を語らせます。そしてバロックから後期ロマン派に至る伝統的な音楽、およびウィーンのモダニズムを色濃く反映した「三大オペラ」の作風と、当時最先端の前衛的な音楽様式からキャバレー音楽までを縦横無尽に融合させ、さらにフロイトの精神分析と、ヴァイニンガーのジェンダー論まで盛り込んだ、意欲あふれる実験作です。」(公演のウェブサイトより)。本公演はシュレーカーの全オペラ作品を通じて日本初の舞台上演になるとのこと、これを逃すと今後実演に接する機会はあるまい。

6/22、23@清瀬けやきホール
https://ivctokyo.com/christophorus/

♩6/23,24,26 チョン・ミョンフン=東京フィルハーモニー交響楽団 メシアン《トゥランガリーラ交響曲》

チョン・ミョンフンの指揮したメシアンの《トゥランガリーラ交響曲》、その録音に立ち会った作曲者から高く評価されたという。チョンも得意とし、何度も取り上げてきている。東京フィルとは2007年以来となる。ピアノに務川慧悟、オンド・マルトノに原田節をむかえ、盤石な体制でのぞむ。第1000回定期演奏会にふさわしい充実した演奏が期待される。

6/23@オーチャードホール
https://www.tpo.or.jp/concert/20240623-01.php
6/24@サントリーホール
https://www.tpo.or.jp/concert/20240624-01.php
6/26@東京オペラシティ コンサートホール
https://www.tpo.or.jp/concert/20240626-01.php

♩6/25~27 ヤニック・ネゼ=セガン指揮 METオーケストラ来日公演2024

METオーケストラ単体での初のアジア・ツァーの一環として行われる公演。2つのプログラムが用意されている。プログラムAはバルトークの《青ひげ公の城》の演奏会形式での上演を中核にオペラ作品、プログラムBはマーラーの交響曲第5番を中心とするコンサート作品が並ぶ。オペラのオーケストラに留まらない力量を示してくれることだろう。指揮のネゼ=セガンも幅広いレパートリーを見せてくれると期待。

6/25-27@サントリーホール
https://www.met-japan-tour.jp/

 

♩6/28 トリオ・ヴァンダラー

紀尾井ホールのピアノ・トリオ・フェスティバル2024の第1回はトリオ・ヴァンダラー。1988年ミュンヘンARDコンクール第2位(最高位)、以降、世界のピアノ・トリオ界を牽引し続けている成熟トリオ。不動のメンバーによる極上アンサンブルを味わうにもってこいのブラームス:ピアノ三重奏曲第1番、シューベルト:ピアノ三重奏曲第2番を並べた。
ウィーンを彩った二人のロマン派の雄の奥深い世界へと誘いこんでくれることだろう。

6/28@紀尾井ホール
https://kioihall.jp/20240628k1900.html

 

♩6/29,30 札幌交響楽団 第662回定期演奏会

デュトワ、なんと54年ぶり(!)の札響登壇、実質上の初登場と言ってよかろう。デュトワの音作りと札響独特の透明な音はこの上なくマッチするであろうことは容易に想像がつく。但し、同質性があるからと言ってエキサイティングな演奏になるかはまた別の話で―例えばデュトワとある意味持ち味の異なる大阪フィルが意外な相性の良さを見せている例もある―、この辺り、蓋を開けて見るまで予想がつかない。また、初登場ゆえ白紙の状態からデュトワが札響の音をどう変えるかが白日のもとに晒される。必聴だろう。

6/29、30@札幌コンサートホールKitara
https://www.sso.or.jp/concerts/2024/06/-662/