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注目の公演&イベント|2024年5月

♩5/3〜5 ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2024

ゴールデンウィークの風物詩ラ・フォル・ジュルネTOKYOも今年で20年を迎えた。今回のテーマは《ORIGINES(オリジン) ― すべてはここからはじまった》。中世・バロック・ルネサンスなどの古楽からジャズに⾄る流れに独自のスポットを当て、それぞれの⾳楽のルーツを探るプログラムを組むほか、楽器の起源、音楽史の流れを変えたパイオニア作品など、多様な視点から “ORIGINES(起源)”を探索する旅。コロナ禍で楽しめなかったキオスクも復活、賑やかな祝祭が家族で楽しめよう。

5/3~5@東京国際フォーラムとその周辺
https://www.lfj.jp/lfj_2024/

♩5/7 日本テレマン協会 定期演奏会特別公演 ベートーヴェン「第九」初演200周年記念

1824年5月7日、ベートーヴェンの「第九」が初演された。それから200年目となるまさにその日に、日本テレマン協会が初演当時のプログラムに因んだ演目によってその様子を「再現」する。同楽団は創立60周年を迎えた昨年、バッハの《マタイ受難曲》の1829年復活上演版で大阪文化祭賞を受賞しており、今回の公演も大いに注目したい。

5/7@大阪市中央公会堂
http://www.cafe-telemann.com/concerts/240507.html

 

 

♩5/10,11 日本フィルハーモニー交響楽団 第760回東京定期演奏会

この度のカーチュン・ウォンと日本フィルのマーラー交響曲第4弾では第9番が取り上げられる。これまでの3曲においてカーチュンは楽曲の新たな側面に光を当て、極めて新鮮な演奏をレアリゼしていた。今回も期待はいやが上にも高まる。

5/10,11@サントリーホール
https://japanphil.or.jp/concert/20240510

 

♩5/11 東京都交響楽団  第998回定期演奏会 Cシリーズ

尾高忠明、伝家の宝刀ウォルトンの交響曲第1番。これまで度々取り上げている得意曲だ。都響の技術力を得て新たな表現が生まれるか? 武満の映画音楽、そして2014年のフランツ・リスト国際ピアノコンクール(ユトレヒト)優勝者であるマリアム・バタシヴィリとのバルトークも聴き物となるだろう。

5/11@東京芸術劇場コンサートホール
https://www.tmso.or.jp/j/concert/detail/detail.php?id=3778

 

 

 

♩5/11 作曲家が作曲家を訪ねる旅CxC vol.6 酒井健治xクロード・ドビュッシー

「ドビュッシーに惹かれたことのない作曲家に出会ったことがない」(沼野雄司のチラシでの言)全く同感である。作曲家皆が恋い焦がれるドビュッシーと、こう言ってよければ「お見合い」という機会を得たのは酒井健治、音がどこから響いてくるのか、どのように展開していくのか常に我々を翻弄し続けてきた作曲家である。二つのCが交錯した時何が生まれるのか、是非目撃したい。

5/11@神奈川県民ホール 小ホール
https://www.kanagawa-kenminhall.com/d/cxc06

 

 

♩5/11、12 東京交響楽団川崎定期演奏会第96回、第720回定期演奏会

ノットの選曲と演奏を追うことは西洋クラッシク音楽の歴史を追うことに他ならない。今回は武満が調性への回帰を見せた特異点的傑作『鳥は星形の庭に降りる』に始まり、戦間期のベルクの表現主義的アリア『ぶどう酒』を経由し、そしてマーラーの交響的大歌曲『大地の歌』へと至る。我々も鳥となってノット=東響の大地へと降り立てることだろう。

5/11@ミューザ川崎シンフォニーホール
https://tokyosymphony.jp/pc/concerts/detail?p_id=guIH0x9IZE4%3D
5/12@サントリーホール
https://tokyosymphony.jp/pc/concerts/detail?p_id=z4%2FOaWhtivI%3D

 

 

♩5/11、12 NHK交響楽団第2010回 定期公演 Aプログラム

ジェノヴェーゼ(ジェノヴァっ子)ファビオ・ルイージのローマ三部作。だから何だと言われればそうだが、日本でも関西人は…やら東京人は…などの類型化されたイメージが存在するようにイタリアでもそれは同様のようだ。ルイージ曰くジェノヴェーゼは内省的で、まさに自分はそういう気質だと語っていた。ちなみにレスピーギはボローニャ生まれ。ローマのみならずイタリアに想いを馳せるコンサート。

5/11,12@NHKホール
https://www.nhkso.or.jp/concert/202405A.html?pdate=20240511
https://www.nhkso.or.jp/concert/202405A.html?pdate=20240512

 

♩5/12 新しい耳 特別企画2024 シェーンベルク・シリーズ 〜生誕150年に〜vol.8工藤あかね(sop.)& 廻由美子(pf.)〜背徳と官能〜

この度工藤あかねと廻由美子によって演奏される『月に憑かれたピエロ』は作曲者の弟子であるエルヴィン・シュタインがヴォーカルとピアノのデュオに編曲した版。工藤と廻は既に録音も行っており、それはいわゆるクラシック的な歌唱をはみ出すような挑発的な演奏となっていた。実演ではさらにはじけるか? 前半には同じシェーンベルクの『ブレットル・リーダー』。単なるキャバレーソングではなく、ここには既に『月に〜』の萌芽がある。このプログラミング、絶妙。

5/12@ B-tech Japan 東京スタジオ
https://www.atarashii-mimi.com/concert-no28

 

♩5/14 B→C バッハからコンテンポラリーへ 262 對馬佳祐(ヴァイオリン)

對馬佳祐は東京藝術大学からパリ国立高等音楽院へ留学、日本、フランスを中心に古楽から現代音楽、はたまたNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』挿入音楽でソロなど多彩な活躍を見せる若手ヴァイオリニスト。今回はバッハとその時代を源流としたモダニズムの多様性がテーマで、前半はチェンバロとの共演、後半はすべて無伴奏。当時の響きの特性にもこだわりバッハはピリオド楽器を用いる。バッハのほか、シュニトケ:古様式による組曲、エスケシュ:いざ来たれ、三善 晃:ヴァイオリンのための《鏡》、土田英介:新作(2024、對馬佳祐委嘱作品、世界初演)と盛りだくさん。

5/14@東京オペラシティリサイタルホール
https://www.operacity.jp/concert/calendar/detail.php?id=16410

♩5/15,17 NBS旬の名歌手シリーズ2024-Ⅲ アスミク・グリゴリアン ソプラノ・コンサート
リトアニア出身のソプラノ、42歳とまさに成熟期にあるといえるだろう。リリコからドラマティコまでの幅広い役柄をこなし、どの舞台でも高く評価されている。Aプロ、Bプロの二つのプログラムが予定されているが、前半は《ルサルカ》《エウゲニ・オネーギン》《スペードの女王》《アヌッシュ》と共通、後半は、プッチーニの4人のヒロインを歌うロマンティック・アリアの夕べとR.シュトラウスの《エレクトラ》《サロメ》から選曲されたドラマティック・アリアの夕べに分かれる。どちらも彼女の力量を十分に見せてくれることだろう。

5/15,17@東京文化会館大ホール
https://www.nbs.or.jp/stages/2024/singer/03.html

♩5/17 濱田芳通&アントネッロ結成30周年記念公演 モンセラートの朱い本 聖母マリアの頌歌集

近年目覚ましい活躍をみせる濱田芳通&アントネッロの30周年記念公演。今回は手塩にかけて育ててきた合唱団ラ・ヴォーチェ・オルフィカとともに中世スペインの写本からのレパートリーを取り上げる。スペインの古い時代の音楽は濱田がずっと取り組んできたレパートリー群で、いわば十八番と言えるもの。東京カテドラルの豊かな音響の中でどう響くのか、聞き逃す手はない。

5/17@東京カテドラル聖マリア大聖堂
https://www.anthonello.com/schedule/detail/?id=83

 

 

♩5/17、18 日本フィルハーモニー交響楽団 第143回さいたま定期演奏会、第397回横浜定期演奏会

井上道義の指揮者引退は秒読み(?)に入って来た。「ショスタコーヴィチは僕だ」と公言するミッキーは総決算とばかりに同作曲家を今改めて頻繁に取り上げている。今回演奏されるのは交響曲第10番とチェロ協奏曲第2番。チェロ協奏曲第1番は比較的実演で取り上げられるが、第2番は稀(奇妙な曲である)。ソロは若手実力派の佐藤晴真、ミッキーとの共演が楽しみ。

5/17@大宮ソニックシティ
https://japanphil.or.jp/concert/20240517
5/18@横浜みなとみらいホール
https://japanphil.or.jp/concert/20240518

 

♩5/18 シュトックハウゼン「FREUDE」日本初演-来たりたまえ、創造主なる 精霊よ-

シュトックハウゼンが晩年に手掛けた未完成の連作音楽である「Klang(音)−1日の24時間」の第2時間目「Freude(喜び)」日本初演。2台のハープによって演奏される本作は奏者が演奏しながらグレゴリオ聖歌を歌う。ハープデュオ・ファルファーレのこの挑戦は快挙だろう。エレクトロニクスに有馬純寿、アドバイザーには松平敬。コアなマニアのみならずこの機会は逃すべきではない。

5/18@同仁キリスト教会
https://blog.goo.ne.jp/harpduofarfalle/e/6c79fb901652846a749c8ac5a32ae2cb

 

♩5/22,24 クリストフ・プレガルディエン(テノール)&ミヒャエル・ゲース(ピアノ)
トッパンホールのシリーズ「〈歌曲(リート)の森〉~詩と音楽 Gedichte und Musik~」の第29,30篇として行われる、68歳の大ベテラン、クリストフ・プレガルディエンと盟友のミヒャエル・ゲースによるリーダー・アーベント。シューベルトの歌曲による第1夜、バッハからマーラーまでの多くの作曲家による歌曲を集めた第2夜、二つのプログラムが用意されている。年齢的な衰えをまったく感じさせないプレガルディエンの歌唱、彼の表現にピタッと寄り添うゲースのピアノ、聞き逃すことのできないリサイタル。シューベルトの夕べと同じプログラムで京都でも予定されている。

5/22,24@トッパンホール
https://www.toppanhall.com/concert/detail/202405221900.html
https://www.toppanhall.com/concert/detail/202405241900.html
5/26@青山音楽記念館バロックザール
https://barocksaal.com/schedule/7500/

♩5/25 エトワール・シリーズ プラス 佐藤晴真(チェロ)Part.1 無伴奏チェロ・リサイタル

3月1日にリニューアルオープンしたさいたま芸術劇場が若手の期待ピアニストを紹介して来たエトワール・シリーズ。劇場開館30周年を機に、「エトワール・シリーズ プラス」としてピアノのみならず多様な気鋭の器楽奏者をフィーチャーするシリーズを立ち上げる。その1人目には2019年にミュンヘン国際音楽コンクールのチェロ部門において日本人として初めて優勝して一躍国際的に注目を集めた佐藤晴真が登場。プログラムもチャレンジングだ。

5/25@彩の国さいたま芸術劇場
https://www.saf.or.jp/arthall/stages/detail/99031/

 

♩5/25,26 札幌交響楽団 第661回定期演奏会

昨2023年5月の名フィル定期においても井上道義はクセナキスの『ノモス・ガンマ』とラヴェルの『ボレロ』を同時にプログラミングしているので、そのちょうど1年後のこの札響定期演奏会はいわば「再演」となる。しかし、こんなプログラムをこの短い期間で再演とは(笑)。前者はオーケストラがステージ上で指揮者を円状に取り囲んで演奏する型破りな作品。「ボレロ」もそのままの配置で演奏し、視覚的にも音楽的にも名曲を際立たせる。札響初演となる武満作品「アステリズム」には北村朋幹も登場。井上道義、恐らく札響との最後の共演。

5/25、26@札幌コンサートホール Kitara
https://www.sso.or.jp/concerts/2024/05/-661/

 

♩5/28 N響 Music Tomorrow 2024

諸事情により当初指揮者として登壇予定であったペーテル・エトヴェシュが降板したとの報から日が経たぬ内の同氏の訃報には驚かされた。残念という他ないが、本コンサートではそのエトヴェシュの日本初演作が自作自演で取り上げられる予定だったからなおさらだ。エトヴェシュ亡き後代役を務めるのはペーター・ルンデル。他にはミュライユのやはり日本初演作及び第71回尾高賞を受賞した湯浅譲二の2023年作。

5/28@東京オペラシティコンサートホール
https://www.nhkso.or.jp/concert/20240528.html?pdate=20240528

♩5/31 森谷真理 Spirit of Language -言霊- Vol.1 ~Le Symbolisme -フランス象徴主義~

もちろんそれまでも実績を積み上げていたが、2006年にレヴァイン&MET『魔笛』の夜の女王役に抜擢されて一躍名が知られたであろう森谷真理が王子ホールで歌曲のシリーズを開始する。その第1回はフランス象徴主義の詩人、ボードレール、ヴェルレーヌ、マラルメの詩による珠玉のフランス歌曲の作品集。森谷のファンはもちろん、フランス近代作品及び歌曲ファンは逃せぬ一夜となろう。

5/31@王子ホール
https://www.ojihall.jp/concert/lineup/2024/20240531.html

 

 

♩5/31 大野彰展完全帰国リサイタル

昨年の北とぴあ国際音楽祭のラモー《レ・ボレアード》で来日できなくなったシリル・オヴィティに代わってアバリス役を見事につとめたことで知られる大野彰展が、完全帰国を記念して開催するリサイタルでは、ヘンデルのオラトリオ《アレクサンダーの饗宴》を取り上げるという。ちょっと待て。このオラトリオ、もっと登場人物がいたはず。これをどうやって一人でやるのか? ちょっと想像がつかないのだが、そこがまた楽しみでもある。

5/31@五反田文化センター音楽ホール
https://tiget.net/events/297706