注目の公演&イベント|2023年12月
昨2022年は東京オペラシティにおいてメシアンの『鳥のカタログ』全曲を披露したエマール、今年のリサイタルはヤマハホールでシューベルト、クルターク、バッハ。親密さと気楽さ、内向的な趣のある楽曲でのプログラミングゆえ、ヤマハホールはベストマッチ。超絶技巧を駆使して弾きまくるのとはまた違ったエマールを堪能しよう。
12/1@ヤマハホール
https://retailing.jp.yamaha.com/shop/ginza/hall/event/detail?id=3989
♩12/1 水戸博之指揮 オーケストラ・プロジェクト2023《リゲティ生誕100年、ラフマニノフ生誕150年、ロマンの断絶を超えて》
リゲティ生誕100年、ラフマニノフ生誕150年の年を締めくくる、邦人作曲家四名の新作演奏会。リゲティ/ラフマニノフという、ある意味では対照的な二つの才能に対し、今現在どういった応答が可能か。
12/1@東京オペラシティ コンサートホール
http://www.orch-proj.net/#
♩12/1 J-TRAD ensemble MAHOROBA 色不異空~一柳慧の記憶と共に
日本現代音楽と日本伝統音楽の融合を謳ったMAHOROBA第2回演奏会は石井眞木と本條秀太郎の1980年代の作品、高橋悠治の2001年作品、森円花と杉山洋一の2020年代の作品、そしてなんと一柳慧の超絶難曲『ピアノ・メディア』編曲版がずらりと並ぶ。現代と伝統のその先を見せてくれることを祈る。
12/1@トーキョーコンサーツ・ラボ
https://jtrad-mahoroba.com/2023/08/24/mahorobaconcert2/
♩12/1 コントラバスアンサンブル It’s Time for Double bass!!
北とぴあ国際音楽祭2023参加公演として8名のコントラバス奏者が集合してのコントラバスアンサンブル「It’s Time for Double bass!!」が開催される。Cb:佐藤洋嗣、近藤聖也、瀬戸槙之介、横山葉瑠奈、中村杏葉、松尾聖悟、呉惇禎、藁科基輝のほか會田瑞樹(打楽器)、大瀧拓哉(ピアノ) が参加してのバラエティ豊かな演目。ウストヴォルスカヤ/コンポジション第2番 “ディエス・イレ” 、 ヴィトマン/テレジアス、松﨑国生/ 委嘱新作、川島素晴/タンゴ三兄弟、下山一二三 / 深響第2番、T.ライリー/ in C。チェロアンサンブルは珍しくないが、最低音コントラバスだからこその新・世界をたっぷり味わえるのでは。
12/1@北とぴあつつじホール
https://kitabunka.or.jp/himf/12876/
14世紀の写本、モンセラートの朱い本などからクリスマスにまつわるうたをロバハウスという特別な空間で聴く贅沢。そこにハープと種々の打楽器が加わるのだから雰囲気は抜群のはず。
12/3@ロバハウス
https://www.concertsquare.jp/blog/2023/2023092327.html
ファツィオリジャパン 15周年記念コンサートとして ヴァディム・ホロデンコ ピアノリサイタル & コンチェルトが開催されるが、そのリサイタルが要注目だ。ウクライナ生まれ、2013年ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールの覇者の4年ぶりの来日となる。プログラムは2つの変奏曲で、なかでもジェフスキー『不屈の民』。「団結した民衆は決して敗れることはない」の原題を持つこの変奏曲を祖国への想いと共に、人間への希望として演奏してくれるのではなかろうか。
12/5@豊洲シビックセンターホール
https://www.kcf.or.jp/toyosu/event/detail/?id=6370
小泉和裕が九州交響楽団の音楽監督として指揮を執る定期演奏会は、残すところ二回となった。今回は、ここ三シーズンにわたって小泉と九響が取り組んできたブラームスの作品の演奏を締めくくるかたちで、ドイツ・レクイエムが取り上げられる。雄渾な交響曲の演奏を繰り広げてきた両者は、このレクイエムに込められた祈りの確かさを伝えてくれるだろう。九響合唱団との協働の集大成としても注目される。
12/8 @アクロス福岡シンフォニーホール
http://kyukyo.or.jp/cms/14549
♩12/8、9 日本フィルハーモニー交響楽団第756回東京定期演奏会
カーチュン・ウォンによる伊福部昭がまた聴ける! 今回は『マリンバとオーケストラのためのラウダ・コンチェルタータ』である。ソリストに池上英樹を迎え、いかなる熱い伊福部が実現するのか。惜しくも先日亡くなられた日本民族派の外山雄三の『まつら』にも興味津々。そしてショスタコーヴィチ交響曲第5番と、全く隙のない挑戦的なプログラミングに今からワクワクが止まらない。
12/8,9@サントリーホール
https://japanphil.or.jp/concert/20231208
♩12/8,10 北とぴあ国際音楽祭2023 ラモー作曲 オペラ《レ・ボレアード》
北とぴあ国際音楽祭、今年はジャン=フィリップ・ラモーの最後のオペラ《レ・ボレアード》を上演する。
歌手としてカミーユ・プール(ソプラノ)、シリル・オヴィティ(テノール)を海外から招聘し、その他のキャストには国内から実績のあるものをあてている。バロックダンスも、昨年の《アルミード》に出演した、ピエール=フランソワ・ドレ、クラコヴィア・ダンツァ、松本更紗らが予定されている。国内で初めての本格上演、おおいに期待できるだろう。
12/8,10@北とぴあ さくらホール
https://kitabunka.or.jp/event/11402/
♩12/11 會田瑞樹 ヴィブラフォンソロリサイタル2023「闇に舞う」
デビュー以来全く減速することなく日本現代音楽界をリードしてきた會田瑞樹の新たなリサイタルでは松平頼暁、福丸光詩、南聡、山内雅弘、高橋悠治、一柳慧、細川俊夫、水野修孝、松村禎三と日本現代音楽の才能が眩いばかりにひしめく。その光の彼方を見つめたい。
12/11@杉並公会堂小ホール
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2318624
♩12/12 ズラトミール・ファン(チェロ)&アレクサンドル・カントロフ(ピアノ)
ズラトミール・ファンはブルガリアと中国系の両親を持つアメリカ生まれの新星。2019年チャイコフスキー国際コンクールで米人として40年ぶり史上最年少の優勝で注目され、世界各地でリサイタル、アンサンブル、オーケストラとの共演と目覚ましい活躍を見せている。カントロフは同年ピアノ部門の優勝者でまさに夢の共演。シベリウス:メランコリー 、グリーグ:チェロ・ソナタイ短調、ワーグナー(ポッパー編):ロマンス、ブラームス:チェロ・ソナタ第2番ととりどりの選曲。若きデュオの旬の音楽を愛でたい。
12/12@トッパン・ホール
https://www.toppanhall.com/concert/detail/202312121900.html
日本の打楽器奏者の層の厚さとレベルの高さは日々感じることであるが、その中でも今光っている新野将之がB→Cに登場する。スネアドラム・ソロからマリンバ、マルチパーカッションと変幻自在な姿を見せてくれるそうでこちらも食指が動くというものだ。共演に悪原至。
12/12@東京オペラシティリサイタルホール
https://www.operacity.jp/concert/calendar/detail.php?id=15723
紀尾井ホールの「明日への扉」第37回に登場はタレイア・クァルテット。山田香子(ヴァイオリン)、二村裕美(ヴァイオリン)、渡部咲耶(ヴィオラ)、石崎美雨(チェロ)の4人が2014年東京藝術大学在学時に結成。サントリーホール室内楽アカデミー第5期フェローとして研鑽を積む。ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第11番《セリオーソ》、メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲第1番、シューベルト:弦楽四重奏曲第14番ニ短調《死と乙女》と重量級を揃えた。まさに真っ向勝負の演奏に気骨あり、と見る。
12/13@紀尾井ホール
https://kioihall.jp/20231213k1900.html
♩12/16、17 NHK交響楽団 第2000回 定期公演 Aプログラム
NHK交響楽団が12月の定期公演で2000回を迎える。その記念すべき公演の曲目は、首席指揮者ファビオ・ルイージが提示した3曲から聴衆の投票で選ばれたマーラーの交響曲第8番。8人の独唱者、合唱、児童合唱、大規模なオーケストラと、《一千人の交響曲》と呼ばれるにふさわしい壮大な曲である。1986年の第1000回定期公演がサヴァリッシュ指揮のメンデルスゾーンの《エリア》で、今日まで語り継がれる演奏であったように、この日の演奏も記念碑的なものになるのではないか。
12/16,17@NHKホール
https://www.nhkso.or.jp/concert/202312A.html?pdate=20231216
https://www.nhkso.or.jp/concert/202312A.html?pdate=20231217
大阪国際室内楽コンクール2023弦楽四重奏部門第2位記念リサイタル。ほのカルテットは2018年の結成で、2022年秋からサントリーホール室内楽アカデミーで学び始めた若手弦楽四重奏団。メンバーは岸本萌乃加(ヴァイオリン)読響、長田健志(ヴィオラ)反田恭平創設のジャパン・ナショナル・オーケストラ、蟹江慶行(チェロ)東京交響楽団、林周雅(ヴァイオリン)2020年の題名のない音楽会プロジェクト「題名プロ塾」に合格、プロデビューしプロ奏者としてすでにキャリアを開始。その実力のほどをしかと見届けよう。ハイドン:弦楽四重奏曲「冗談」、メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲第4番、ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第12番 と王道のプログラム。
12/19@サントリーホール ブルーローズ
https://www.suntory.co.jp/suntoryhall/schedule/detail/20231219_S_3.html
若松夏美&鈴木秀美プロデュースの、アルテ・デラルコ室内楽シリーズの4回目。17世紀ドイツの室内楽を三十年戦争の戦禍をキーワードにシュッツ、シャイン、ローゼンミュラー、ブルーンスととりどりの作曲家の作品を通して振り返る。
12/27@日本福音ルーテル東京教会
https://eplus.jp/sf/detail/3942270001