注目の公演&イベント|2023年9月
♩9/1 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第363回定期演奏会
今年生誕100周年のリゲティと、彼が影響を受けたバルトークの3作を並べる。特別客演コンサートマスター荒井英治が『ヴァイオリン協奏曲』のソロというのも大注目。『ルーマニア協奏曲』はユダヤ系ハンガリー人のリゲティが西側に移住する前のハンガリー時代の作品で、ルーマニア民族音楽の色彩がある。後半のバルトークとの照応もまた、高関健の腕のふるいどころ。
9/1@東京オペラシティ コンサートホール
https://www.cityphil.jp/concert/detail.php?id=424&y=2023&m=9
武生国際音楽祭2023では、「弦楽四重奏の現在(いま)」をテーマとした昨年に続き、弦楽四重奏を軸に古典と現代が豊かな対話を繰り広げる演奏会が数多く予定されている。「時代を超えて響け 弦楽四重奏の調べ」をテーマとする今回の音楽祭の焦点に挙げられるのが、昨年のARDミュンヒェン国際音楽コンクール弦楽四重奏部門で第2位と聴衆賞を受賞したクァルテット・インテグラの出演だろう。この弦楽四重奏団は、ベートーヴェン、バルトーク、ドナトーニの作品のほか、ユステ・ヤヌリテと坂田直樹の新作を演奏する。この音楽祭に毎年のように集う優れた弦楽器奏者が弦楽四重奏を繰り広げるのも注目される。本音楽祭の音楽監督である細川俊夫のオペラ《松風》の日本初演(2018年2月)で主役を歌ったイルゼ・エーレンスの声も楽しみなところ。
9/3~10@越前市文化センター大ホール
http://takefu-imf.com/2023mainconcert/
チェロの山澤慧とコントラバスの近藤聖也、低音と最低音の異色のデュオがお目見えする。取り上げる作曲家もクセナキス、スコダニッビオ、アダーメクの海外勢に、大活躍中の川島素晴、野村誠、さらに若手の徳武史弥、佐藤伸輝と一癖も二癖もある面々。現代音楽の新しい道が拓けるに違いない。
9/8@東京コンサーツ・ラボ
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/02wiq7vk6p331.html#detail
ラ・フォンテヴェルデが日本初演! 松本直美氏によってヴェネツィアの図書館から新発見された隠れた名作マドリガル・コメディ。これを見逃す手はない。
9/8@HAKUJU HALL
http://lafonteverde.com/blogs/blog_entries/view/55/a66d1418b614be1dd9d69ae94e4eb33c?frame_id=140
♩9/9,10 藤原歌劇団公演 ヴェルディ:歌劇《二人のフォスカリ》
ヴェルディの初期の傑作、歌劇《二人のフォスカリ》を藤原歌劇団が、新国立劇場と東京二期会との共催で取り上げる。筋書きはなんとも救いのないものだが、音楽的な充実は名作といわれるものにひけをとらない。終幕のフランチェスコ・フォスカリのアリアはバリトン歌手の聴かせどころ。この役は上江隼人と押川浩士のダブルキャスト。息子のヤコポは藤田卓也と海道弘昭が歌う。こちらの役にもよいアリアがある。演奏機会の少ないこのオペラ、このチャンスをのがさずに聴いておくべきだろう。
9/9,10@新国立劇場 オペラパレス
https://www.jof.or.jp/performance/2309_duefoscari/
♩9/9,10,14,15第8回両国アートフェスティバル2023
下町・両国を舞台とした音楽祭、第8回は20世紀に生まれた最大の芸術形式とも言うべき映画を、娯楽映画研究家・佐藤利明を芸術監督・ナビゲーターに迎えて特集する。ヨーロッパ映画、ハリウッド映画、日本映画の3本の柱を両国門天ホールで、さらに、委嘱作品と公募作品をすみだトリフォニーホール小ホールで演奏する。映像と強く結び付けられた音楽を単独で奏でたとき何が我々の眼前に開けるか、楽しみで仕方がない。
9/9,10,14@両国門天ホール
9/15@すみだトリフォニーホール小ホール
http://www.monten.jp/raf8
♩9/12 B→C バッハからコンテンポラリーへ(254) 黒川 侑vn
2006年16歳で日本音楽コンクールを制した黒川侑。ウィーン、ブリュッセル、東京、パリの各地で学び、現在パリと京都を拠点に活動する実力派だ。同世代による室内楽にも意欲的。
バッハ2曲を要に“touch”の意のサーリアホ《トカール》、クセナキス《ディクタス》、シチェドリン《エコー・ソナタ》と凝ったプログラミング。知情意の絶妙なバランスの奏者のプレイリストをじっくり楽しみたい。Pfは秋元孝介。これまた楽しみ。
9/12@東京オペラシティ リサイタルホール
https://www.operacity.jp/concert/calendar/detail.php?id=15720
クラシック・現代音楽界の生きる伝説、ハインツ・ホリガー4年ぶりの来日である。今回はピアノ・ソロにアントン・ケルニャックを迎え、ピアノ・ソロ作品も披露される。ホリガー作品はもちろん、フランス作品も多く揃えた曲目に心臓が高鳴る。
9/19@東京文化会館小ホール
https://www.hirasaoffice06.com/concerts/view/431
♩9/20,21 レア・デザンドレ&トーマス・ダンフォード デュオ・リサイタル
メゾ・ソプラノのレア・デザンドレとリュートのトーマス・ダンフォードの二人によるデュオ・リサイタル。王子ホールはイタリアン・プログラム、豊洲シビックセンターホールではフレンチ・プログラムが予定されている。デザンドレは、近年さまざまなオペラの舞台に立つほか、多くの有名なコンサート・ホールに出演している。ダンフォードは自ら立ち上げたアンサンブルと演奏したり、ウィリアム・クリスティなど名だたるバロック・アンサンブルとともに活動している。二人の共演はたびたび行われており、今回聴けるのは楽しみ。
9/20@王子ホール
https://www.ojihall.jp/concert/lineup/2023/20230920.html
9/21@豊洲シビックセンターホール
https://allegromusic.co.jp/LeaDesandreandThomasDunford2023.html#French
♩9/24 東京文化会館オペラBOX『Help! Help! グロボリンクスだ!~エイリアン襲来!!~』
台本・作曲ジャン=カルロ・メノッティによるオペラ『Help! Help! グロボリンクスだ!~エイリアン襲来!!~』(全1幕/日本語上演)。子供たちが乗ったスクールバスがグロボリンクス(エイリアン)に襲われる話で、襲来者の電子音に有効なのはアコースティック音。エミリーはヴァイオリンを手に立ち向かう。2017年の初演から6年ぶりの再演。指揮・音楽統括:柴田真郁、演出:岩田達宗、歌手陣には東京音楽コンクール声楽部門の上位者が揃う。ヴァイオリン:岸本萌乃加(同1位)、ピアノ:髙橋裕子。ヴェテランに支えられての溌剌ステージを見聞したい。
9/24@東京文化会館小ホール
https://www.t-bunka.jp/stage/18804/
現代日本音楽界にこの団体あり、というヴォクスマーナもついに第50回定期演奏会を開催する運びとなった。演目は鈴木治行と北爪裕道の委嘱新作、伊藤弘之、渡辺俊哉の再演作である。奇想と美が交錯した時に生まれる現代音楽の世界に浸りたい。(当初の公募委嘱新作は該当作なしとなった。会場・開演時間が普段と変わったこともご注意ください)
9/29@台東区生涯学習センター・ミレニアムホール
https://vox-humana.wixsite.com/vox-humana/concerts
♩9/29、30大阪フィルハーモニー交響楽団 第571, 572回 定期演奏会
バーゼル室内管と極めて斬新かつ問題提起的な『ザ・グレイト』の録音を行ったホリガーが大阪フィル客演にて同曲を披露。あの解釈を大フィルがどれだけ具現化できるかの興味も含めこれは聴き逃がせぬ一期一会の機会。ホリガー自作の『音のかけら』は2012年の新日本フィル客演時にも演奏された9曲のウェーベルンを想起させる傑作小品集、ルトスワフスキ作品は作曲者の指揮によりハインツ・ホリガーとウルズラ・ホリガーにより録音された名盤が存在する名曲。指揮者、作曲家、オーボエ奏者としてのハインツ・ホリガーの凄さを堪能させるであろうコンサートだ。
9/29,30@フェスティバルホール
https://www.osaka-phil.com/events/event/874/
https://www.osaka-phil.com/events/event/875/
2016年には「ジャズの未来を担う25人」(ジャズ専門誌『ダウンビート』)に選出、2020年にはリーダー作『Dancers in Nowhere」がグラミー賞ノミネート、デンマーク・ラジオ・ビッグバンド首席指揮者、オランダのメトロポール・オーケストラ常任客演指揮者として、ジャズ国際界をリードする挾間美帆。今年、自身のジャズ室内楽団m_unitとともに、デビュー10周年アルバム「Beyond Orbits」の発売記念ツアーを敢行する。
9/30@Dream House 大ホール
https://higashiosaka.hall-info.jp/event-information/2023/20230930.html