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新国立劇場 ヴェルディ:リゴレット|藤堂清

ジュゼッペ・ヴェルディ
リゴレット<新制作>
全3幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉
Giuseppe Verdi: Rigoletto (New Production)
Opera in 3 Acts
Sung in Italian with English and Japanese surtitles

Production of ABAO Bilbao Opera

2023年6月3日 新国立劇場
2023/6/3 New National Theatre Tokyo
Reviewed by 藤堂清 (Kiyoshi Tohdoh)
Photos by 林喜代種 (Kiyotane Hayashi)

スタッフ       → foreign language
【指 揮】マウリツィオ・ベニーニ
【演 出】エミリオ・サージ
【美 術】リカルド・サンチェス・クエルダ
【衣 裳】ミゲル・クレスピ
【照 明】エドゥアルド・ブラーボ
【振 付】ヌリア・カステホン
【舞台監督】髙橋尚史

キャスト
【リゴレット】ロベルト・フロンターリ
【ジルダ】ハスミック・トロシャン
【マントヴァ公爵】イヴァン・アヨン・リヴァス
【スパラフチーレ】妻屋秀和
【マッダレーナ】清水華澄
【モンテローネ伯爵】須藤慎吾
【ジョヴァンナ】森山京子
【マルッロ】友清 崇
【ボルサ】升島唯博
【チェプラーノ伯爵】吉川健一
【チェプラーノ伯爵夫人】佐藤路子
【小姓】前川依子
【牢番】高橋正尚

【合唱指揮】三澤洋史
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

 

新国立劇場の《リゴレット》、新制作の6回公演、その最終日を聴いた。
全体に安定感があり、歌手、オーケストラ、合唱、どれも高い水準の演奏。演出には筋書きを変更するような部分はなく、安心して見ていられる。

リゴレットのロベルト・フロンターリが充実した歌を聴かせた。第1幕の冒頭から、赤い衣装で目立つ存在のうえ、声の力もあり、65歳という年齢を感じさせない。アリア〈悪魔め、鬼め〉、その後のジルダとの二重唱での迫力は聴き応え充分。ジルダのハスミック・トロシャンは透明感のある声、また安定したコロラトゥーラの技巧を聴かせた。アリア〈慕わしい名前〉は優れた出来。マントヴァ公爵を歌ったイヴァン・アヨン・リヴァスは、少しかすれを感じさせるくせがあったが、高音は安心して聴いていられる。〈攫われてしまった〉と続くカバレッタはかっちりとまとまった歌であった。スパラフチーレの妻屋秀和、マッダレーナの清水華澄、モンテローネ伯爵の須藤慎吾といった助演陣もしっかりした歌と演技。
指揮のマウリツィオ・ベニーニは練達の技と言えるだろう。東京フィルハーモニー交響楽団を率い、各歌手が歌いやすいように配慮しながらも、テンポやリズムを大きく揺らすことなく、ゆるみのない演奏を聴かせた。新国立劇場合唱団の安定したハーモニーも挙げておきたい。

エミリオ・サージによるこのプロダクションは、2013年にビルバオで制作されたもの。演出面で各役の性格づけを変えるような読み替えはしていない。舞台自体は時代を遡ったものではないが、その時代の栄華を感じさせるもの。一方、衣装はルネサンスを意識している。
第1幕第1場の公爵の宮殿は、立派なシャンデリアのある豪華な空間、多くの女性たちが公爵やリゴレットを取り囲む。モンテローネの呪いの場面で特に舞台の変化があるわけではない。音楽のみで表されるといえる。フロンターリの声の演技がはまっている。
第2場のリゴレットの家の場面へは舞台のパーツの移動のみで行われる。照明が一気に暗くなることもあり、効果的な舞台転換。リゴレットとスパラフチーレの対話は、舞台装置の隙間で行われる。続く場面でジルダのいるところは閉じ込められているかのよう。
第2幕、第3幕は休憩なしで通して上演された。第2幕の幕切れのジルダとリゴレットの二重唱、公爵への復讐を歌うリゴレットと慈悲をと訴えるジルダ、そこから間をおかずに、第3幕冒頭の二人の場面へと移る。宮殿からスパラフチーレの家へと舞台は変わっているが、会話の内容は同じように復讐と慈悲。しかし「彼はまだ愛している」というジルダの思いを破るように〈女心の歌〉が始まる。
舞台転換のための時間がそれほどなく、音楽が続けられていく。聴衆にとって、聴きやすいプロダクションとなっていた。

瑕の少ないよい公演であった。

(2023/7/15)

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<CREATIVE TEAM>
Conductor: Maurizio BENINI
Production: Emilio SAGI
Set Design: Ricardo SÁNCHEZ CUERDA
Costume Design: Miguel CRESPÍ
Choreographer: Nuria CASTEJÓN
Lighting Design: Eduardo BRAVO

<CAST>
Rigoletto: Roberto FRONTALI
Gilda: Hasmik TOROSYA
Il duca di Mantova: Iván AYÓN RIVAS
Sparafucile: TSUMAYA Hidekazu
Maddalena: SHIMIZU Kasumi
Il conte di Monterone: SUDO Shingo
Giovanna: MORIYAMA Kyoko
Marullo: TOMOKIYO Takashi
Borsa: MASUJIMA Tadahiro
Il conte di Ceprano: YOSHIKAWA Kenichi
La Contessa di Ceprano: SATO Michiko

Chorus: New National Theatre Chorus
Orchestra: Tokyo Philharmonic Orchestra